●床下機器

●モールド

E2系_0601

先頭部付近の床下はどちらも実車に忠実な印象。ハッチの有無などに若干差があるが実車もそのようなので、0番台と1000番台の差といってよいだろう。

トミックスはモールドが見えづらいが、塗装や光の当たり具合が原因。一方、カトーは塗装編で前述したとおり塗装の薄さからモールドのエッジが目立つ格好となっている。モールド自体に差があることは確かだが、床下が濃いブルーのE2系では塗装の影響も大きいようだ。

E2系_0602

このままだと比較してもわかりづらいので以降は横倒しで撮影。

中間車のダクトを比較すると、塗装の厚みも影響しているだろうが、ダクトのモールドはカトーの方が深いようだ。一方、トミックスは床下カバーと車体との間のボルトを表現していて細かい。ダクトの大きさや配置の差については、実車編でも述べたとおり0番台と1000番台の差を忠実に再現した結果である。

E2系_0603

1号車のハッチ類も実車のパターンを忠実に再現しているが、やはり塗装の差が出ているようだ。トミックスの塗装はE4系ほど濃いわけではないが、Nゲージサイズのモールドには厳しいのかもしれない。しかし、その分発色は良いような気がするので難しいところだ。


E2系_0604

2004年のリニューアルで追加された「はやて」仕様の7・8号車はモールドが濃くなっている。上が7・8号車を除く従来からの製品、下が7・8号車。「あさま」仕様は上の薄いモールドのみである。


E2系_0605

トミックスは車両側面向かって右側の、台車隣のダクトがない。0番台実車にはあるのでエラーかと思ったが、カタログを見るかぎりカトーの「あさま」も同じ。

こんな目立つ場所を両社揃ってエラーにするとは思えないので、模型が発売された1997年頃は実車にもこのダクトはなく、後に増設されたのではないだろうか。カトーの「はやて」は発売時期が新しいから、当然ダクト付き。


E2系_0606

偶数号車−奇数号車間、海側の写真で、ここも実車を忠実に再現している。一部を除いてどの連結部分も同じパターンであり、E2系のユニット構造のシンプルさが伺える。


E2系_0607

こちらは奇数号車−偶数号車間。1000番台がプロトタイプのカトーには車体間ヨーダンパの切り欠きはあるものの、ダンパーのモールドはない。また、トミックスは0番台なので車体間ヨーダンパ自体がない。


E2系_0608

山側のパンタ車連結部にあるハッチ形状も0番台と1000番台の違いを忠実に再現している。


E2系_0609

上からカトー、トミックス(7・8号車以外)、トミックス(7・8号車)の台車カバー。トミックス7・8号車のモールドが濃くなっているのは台車カバーでも一目瞭然である。

車体側面に空いている穴のモールドはトミックス(7・8号車以外)はかなり薄いので、黒を入れたくなる。カトーは車体とカバーの間のボルト表現はないが、実車ではチラッと見えているヨーダンパ受けの細い隙間がモールドされている。一方、トミックスはこの隙間は省略されているものの、そこだけボルトの間隔が広くなっていることが分かる。


E2系_0610

床下底面はカトーはパネル調、トミックスはフラット。この辺は他のモデルでも同じような感じだし、通常は見える個所ではないので気にするような差ではないだろう。共にメーカーの刻印がモールドされている。


E2系_0611

トミックスの床下パーツにはなぜかモールドが・・・

実はこれ、同社の300系の床下パーツなのだ。E2系はボディと一体型の床下ゆえに隠れてしまうので、実用上は全く問題ない。

台車と座席パーツをE2系用に置き換えてしまえば・・・まさに流用設計の妙。


E2系_0612

カトーには(今のところ)300系はないから当然ながら専用設計の床下パーツだが、同じような設計(ボディと床下が一体)になっているのが面白い。

トミックスも先頭車については300系からの流用は利かずに専用設計である。一見中間車用に似ているが、モールドが省略されたものを使用している。


●バリエーション

使用号車 画像
A K:1
T(J・N):1
E2系_0619 E2系_0613
B K:2,4,6,8
T(J・N):2,4,6
E2系_0620 E2系_0614
C K:3,7
T(J):3,5,9
T(N):3,5,7
E2系_0621 E2系_0615
D K:5
E2系_0622
E K:9
E2系_0623
F T(J):7
E2系_0616
G T(J):8
E2系_0617
H K:10
T(J):10
T(N):8
E2系_0624 E2系_0618

カトー・トミックス共に6種類の床下パターンが用意されているが、その内容はかなり異なる。

カトーは先頭車が2パターン、偶数号車が1パターン、奇数号車が3パターンとなるが、これは実車を忠実に再現した結果である。中間の偶数号車には1パターンしかないのに、奇数号車はダクトやハッチの有無で3パターンもあるのが面白い。

一方、トミックスは先頭車2パターン、偶数・奇数それぞれ1パターンの計4パターンが基本となるが、7・8号車は専用のパターンF・Gが用意されている。トミックスはダクトの一部が再現されていないと前述したが、7・8号車は登場時からダクトがあるし、模型もボディを新規製作で作った以上はダクトの省略はできないだろう。結果的にF・GパターンはそれぞれC・Bパターンに台車脇のダクトを追加したような内容となった。7・8号車とそれ以外の車両の発売時期の差で6パターンになってしまったというわけである。

なお、増結車両がない「あさま」については、カトー・トミックス共にこのような問題は発生していない。

東海道新幹線系統の車両(500系や700系)ではボディと床下は別々になっているのだが、E2系はボディが床下までカバーしている。E3系も同様で、なぜかカトー・トミックスともに足並みを揃えている仕様である。

床下パーツが別となると代用されることもままあるが、車体と床下が一体ボディということは、ボディを作り分けている限り原理的に代用はないことになる。カトーは屋根上の高圧線やケーブルヘッドの問題でボディを作り分けなければならなかったし、トミックスは4号車と6号車で同じボディを使用しているが実車も差がないため、両者とも実車に忠実な床下を再現できているという結果になった。

ただ、トミックスは発売時期が原因で「はやて」仕様にダクトの有無が出てしまったのが残念。かといって、これを是正するにはボディを作り分けるしかない。塗装の問題もあって床下のモールドはあまり目立たないし、E2系としての印象を大きく損ねるわけでもないので、ここは妥協もやむを得ないのかもしれない。

●台車

E2系_0625

ヨーダンパの向き以外、実はE4系レビューの台車編の写真と全く同じだったりする・・・

両者を見比べると台車中央部付近が特に異なるが、E4系のレビューで書いたとおり、カトーの台車はもともとE1系用で、E2系用に作られたものではない。対して、トミックスはE2系用に作られた台車で実車に忠実である(E4系はこの台車を流用したため異なってしまっているが・・・)。

台車の見た目自体はなかなかのもので、どちらも設計時期を感じさせないシャープな仕上がりだと思う。

E2系_0626

E2系は台車カバーが深く、台車が見えにくいのは実車も模型も一緒。カトーは他形式の台車を流用しているとはいえ、主に異なっている部分が隠れてしまっているので、実際には全く問題ないといえる。

ただ、カトーは軸箱や支持板(軸箱につながる2枚の板)が大きく、ゴツイ印象がある。車体とのマッチングというか、スケール感はトミックスの方がいいかも。


E2系_0627

両者ともオーソドックスなビス止めとなっているが、カトーは2007年3月の再生産で仕様を若干変えており、その時からビス止めではなくスナップオンという方式になっている。筆者のカトーE2系は、その再生産よりも前のロットということになる。


他形式の台車をそのまま流用というのはカトーにしては珍しい気がするが、E2系のように大部分が隠れてしまい、実用上問題ない場合は結構大胆にパーツの流用をするようだ。

なお、トミックスは2010年のリニューアルで通電カプラーになったため、台車も新規に製作されている。基本的に大きく違わないと思うが、今回紹介したロットの台車とは若干異なる部分があるかもしれないので、そこはご了承いただきたい。

●連結部分

E2系_0628

カトーは「ダイアフラムカプラー」、トミックスは「改良型フックリングカプラー」という連結方式を採用している。

それぞれの連結方式の特徴は、カトー「ダイアフラムカプラー」、トミックス「改良型フックリングカプラー」、リンク先に解説があるのでそちらをご覧いただきたい。

E2系_0629 E2系_0630 E2系_0631

ぱっと見には、同種の連結方式を採用する他のモデルと同じような感じである。カトーは伸縮カプラーなので連結間隔がかなり狭く、トミックスは大きな差を付けられてしまったようだ。

トミックスは真横から見た場合の連続感は悪くないのだが、ピンクの帯の高さが車体と揃っていないのが残念。また、上方から見ると可動幌の後退角がかなり大きいことが分かる。

E2系_0632
E2系_0633

この角度の比較は他のモデルでもやっていて、トミックスの連続感は悪くないことが多いのだが・・・E2系は可動幌の後退角が大きすぎる気がする。

カトーの外幌もそれなりの後退角があるため、この角度では妻面が見えてしまう(同社の他モデルにも共通する特徴)。

E2系の外幌は密着度が高いため(ある程度密着した外幌がローリングダンパの代わりとなっている)、模型との比較に使うのは少々酷な話か。


E2系_0634

前述の通り、E2系は300系の床下を流用していることもあり、改良型可動幌にも関わらず初期形並みの後退角が付いている。ピンクの帯のあたりに段差があるのも、何を意図したものなのかよくわからない。

ついでに、可動幌とカプラーの間隔が狭く、連結時にカプラーと干渉することがあり使い勝手にも影響している。通電カプラー化後も同じ可動幌なので、その辺は改善されていないのではないだろうか。


E2系_0635

トミックスのR=317mmのカーブを通過中(アウト側)。まあ、毎度のようにNゲージなので大目にみましょうか。

カトーの「はやて」は独自調査で個体差があるかもしれないが、一応当サイトの連結間隔ランキングで狭さナンバーワンの記録を持っている。基本的には他モデルのダイアフラムカプラーと変わり映えしないが、見た目や連結構造は相変わらずの安定っぷりであり、今回のレビューでも特にコメントすることはない。

一方、トミックスは非伸縮カプラーなので連結間隔の広さはやむを得ないにしても、初期型並みの後退角の大きさ、ピンク帯の段差といった、可動幌の仕様が連続感を損ねている感が否めない。

E2系の床下は初期型可動幌の300系用を流用しているため、可動幌の後退角の大きさはやむを得ないとも考えられるが(詳細)、連結時にカプラーが干渉するなど使い勝手も今一つで、筆者は同社の改良型フックリング&可動幌はどちらかといえば好意的に見ているが、E2系については正直言って完成度が低いように思う。

ボディは改良型基準になっているのに、可動幌が足を引っ張っていてはもったいないと思うが、床下流用から見直さなければならないため、リニューアルされて間もないことを考えると改善はほとんど期待できなさそうだ。

●ギミック

カトー・トミックスともに「はやて」仕様の先頭部に分割併合用の連結装置を備えている。詳細についてはこちらもご覧いただきたい。

●先頭部連結器

E2系_0636 E2系_0637
E2系_0638

カトーは「オープンノーズカプラー」、トミックスは「格納式TNカプラー」を備えている。カトーはご覧の通り、実車同様にカバーが車体内に格納される方式で、カバーの「チラ見せ」がリアル。

一方、トミックスはカバーはキャップのように外れるし、車体のプラも厚めなので見た目では一歩劣るようだ。ただし、車体から連結器が出ている長さや、連結器自体の精巧感はトミックスの方が上手に思う。


E2系_0639
E2系_0640

連結器は実車同様10号車(新青森寄り先頭車)のみ装備され、E3系「こまち」と連結することができる(「つばさ」も可能)。連結器には互換性がないため、E3系はあくまでも同じメーカーの製品に限られる。


カトーの「オープンノーズカプラー」は、E2系「はやて」が初の採用である。非常に精巧なギミックであり、登場時はけっこう驚いたものだが、使い勝手に難があることも否めず、E5系「はやぶさ」では採用が見送られてしまった。

トミックスはここ最近「格納式TNカプラー」を新たに採用した製品がないが、今後E5系・E6系あたりを製品化(するとしたらね)した時に引き続き採用するのでは無いだろうか。ギミック度も見た目にもカトーに劣ることは否めないが、実際に「使う」ギミックはシンプルで扱いやすい方が生き残るのかもしれない。

●走行性能

走行性能については、メンテナンス状態、レールレイアウト、個体差などの要素があるので、あくまでも筆者の主観が強いことをお伝えしておく。また、簡単に済ませたい。

動力車の両数は「はやて」が10両編成中1両、「あさま」が8両編成中1両で、カトー・トミックス共に同じ。平坦区間を含めて、通常のレイアウトなら動力車1両で特に問題はないが、「はやて」の場合は勾配がきついレイアウトだと苦しい場面があるかもしれない。ただし、「こまち」を連結すれば16両編成となるが動力車を1両追加できることになる。

なお、トミックスはレイアウトの条件によって走行が苦しい場合に備えて、別売りで予備の動力ユニットを用意しており、任意の中間車を動力車化できる(メーカーは4号車を推奨)。動力ユニットはトミックス製品のパーツを通販している「テックステーション」で購入できるが、2010年リニューアル品以降はフライホイール搭載の動力ユニットに変更されているので注意が必要(あまり厳密に考える必要はないと思うが、動力の新旧は揃えた方が良い)。

個人的には、10両編成で動力車2両が必要というのはかなり厳しい条件だと思う。E3系を連結すれば動力車3両になってしまい、オーバースペックどころかパワーパックの電源容量にも厳しい。E3系の連結は全く想定せず、かつレイアウト条件が厳しいという場合には動力の追加はアリか?かなりニッチな需要な気もするが、トミックスなりの配慮なのだろう。

カーブ通過半径はメーカー公称値はカトーがR=315mm、トミックスがR=280mmとなっているが、カトーもR=280mmをクリアすることは可能である(このページのコラム参照)。


<前ページ Speed Sphereトップ 次ページ>
<前ページ Speed Sphereトップ 次ページ>