100系
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模型の概要&製品ラインナップ(暫定版)
トミックス 100系山陽新幹線・復活国鉄色K編成 レビュー
マイクロエース 100系9000番台X0編成 レビュー
トミックス 100系山陽新幹線・復活国鉄色K編成 レビュー

●概要

2011年12月、トミックスから山陽新幹線「こだま」で活躍していた100系K編成・復活国鉄色が限定品で発売された。製品構成は以下の通り。

  • 92987 【限定品】JR 100系山陽新幹線(復活国鉄色・K編成) \18,480

100系K編成(6両編成の山陽「こだま」専用車)の模型はトミックスから「フレッシュグリーン」として発売実績があり、2011年1月に通電カプラー化などのリニューアルを受けているが、今回の製品も基本的には同じもので、塗装と付属インレタが違う程度の「塗り替え品」である(実車も塗り替え品のようなものだったが)。

100系は2012年3月で引退し、旧塗装(白青)となったK53〜55編成の3本が最後まで活躍をしていたが、今回の製品はこの3編成がプロトタイプとなっていて(インレタも3編成分収録)、事実上の「さよならセット」といえるだろう。限定品ではあるがパッケージは通常製品と同じで、特に装飾されたものではない。

100系レビュー

左が「フレッシュグリーン(リニューアル前の旧製品)」、右が今回レビューする「復活国鉄色」。

6両と手軽だったし、発売年夏に山陽・九州遠征に行った影響か(旧塗装はまともに見れなかったが・・・)、購入することに。


●トミックス100系の歴史を振り返る

トミックス100系の歴史は古く、量産先行試作車X0編成が登場してほどない1986年には製品化されている。

その後、わずかな期間で量産車と同じ仕様に変更され(このためX0編成は激レア製品となり、ヤフオクなどでは高値で取引されている)、長らくカタログ製品として存在していたが、100系が東海道新幹線から引退する際のさよなら運転を模した「さよなら100系セット」を2004年に限定品で発売、いくつかの形式が新規製作されたり、屋根上の改良が行われた。

2005年には前述のフレッシュグリーン仕様と、「さよなら100系セット」をベースにしたX編成・G編成セットを発売し、2011年にフレッシュグリーンのリニューアル、そして今回の復活国鉄色の発売につながっているが、これまでに一部形式の新規製作は行っているものの、基本的には初期製品・・・30年近く前の基本設計のまま現在まで乗り切ってきたという点は、レビューや評価の前提として意識しておく必要があると思う。

●まずはお顔から

100系レビュー

全体的なモデリングは100系を忠実に再現できていると思うが、ベースがX0編成から変わっていないため、ややツリ目なヘッドライトが特徴。


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ノーズ下にあるのはモーター冷却用のダクトで、印刷で表現されている。


100系の量産先行試作車(X0→X1編成)はヘッドライトの傾斜が強い「ツリ目」で、量産車(X2編成〜)では水平に近くなったという経緯があるのだけど、前述のようにトミックスの100系は最初期の製品(X0編成)から大きな変更がないため、その後発売された製品はすべて「ツリ目」のままであり、今回の製品も含めて実車とは異なっている。

しかし、古い設計ながら先頭形状はきちんとしているし、ツリ目も単体で見る分にはそれほど違和感を感じないのも確かだ。気持ち次第かもしれないが、ツリ目がむしろ精悍に感じなくもないし、デフォルメと考えれば許容範囲ではないだろうか(だからこそ、メーカーも無理に修正してこなかったのかもしれない)。

●塗装

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2005年に発売されたX編成(右)と比較してみた。可動幌の黄ばみは持病のようなものなのでスルーしてほしい。


ぱっと見た感じ、今回の製品はブルーがかなり濃くなった。しかし、車体下部のブルーはほとんど差がないので、色調が変わったというよりは塗装がしっかり乗るようになったと考えた方がよさそう。一方、白についてはほとんど差はないようだ。また、ピンストライプ(細い青線)は若干細くなり、実車の印象に近くなった。

表記類などの印刷は先頭車のJRマークのみで、形式番号・号車番号は全て付属のインレタで表現する(3編成から選択)。窓ガラスに貼る編成番号なども収録しているので、すべて施せば見栄えすると思う。

ちなみに、K53編成は旧塗装で登場しており、フレッシュグリーン塗装を挟んで2回目の旧塗装となる。一方、K54・55編成は当初からフレッシュグリーン塗装であり、6両編成化されてからは初の旧塗装となる。

●床下

K編成は基本的にJR西日本のV編成(グランドひかり)がベースなので、先頭車が電動車か否かなど差異があるX・G編成(JR東海)をそのまま流用というわけにはいかず、フレッシュグリーンを製品化した段階で、1号車(博多寄り先頭車)の床下、4号車(車掌室付き)のボディ、6号車(新大阪寄り先頭車)のボディ+床下を新規製作して対応している。

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上の2005年発売X編成に対し、下の今回製品は異なる床下であることがわかる。車体中央から後方にかけて出っ張っている「LCXアンテナ」も表現された、K編成専用の床下パーツである。


K編成(と4両編成のP編成)はV編成(グランドひかり)がベースになっていると書いたが、同編成は9編成しかなかったので先頭車不足を補うために、G編成の先頭部を流用して先頭車化改造したり、G編成の一部車体を流用した編成も存在する。いうなれば、元V編成の車両のみで構成された純血種と、G編成のパーツを流用した混血種が存在するわけだ。

今回の製品に当てはめると、K53・54編成は前者であり、K55編成は後者となる。大部分の見た目に違いはないが、先頭車、特に1号車(博多寄り)にはいくつか差異がみられる。

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上がK59編成(K53・54編成と同仕様)で、下がK57編成(K55編成と同仕様)。黄矢印が前述したLCXアンテナとなるが、G編成ではLCXアンテナが前方に付いていたため、「混血」の編成ではその名残がある(赤矢印)。また、床下機器のカバーも垂直に切り立った「純血」に対し、「混血」は逆台形になっていて、元中間車だった名残がある(水色矢印)。


なお、6号車(新大阪寄り)にはLCXアンテナはないので、床下機器カバーの差のみとなる。

以上の考証からすると、今回の製品(フレッシュグリーンも)は床下機器カバーは逆台形のK55編成仕様だが、G編成時代のLCXアンテナ名残がないK53・54編成仕様を折衷したような、ちょっと中途半端なものになっている。

中間車の床下については、動力車のほかは1種類しかない。というか、X・G編成からの流用なのでそもそも異なっている。正直、床下に関しては期待しない方がいい。全体の雰囲気を乱しているわけではないから、妥協したほうが幸せかも。

●連結部

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上が2005年の製品、下が今回製品。

フレッシュグリーンがリニューアルされた際に、通電カプラーの採用、可動幌の形状変更、連結間隔の短縮が行われているが、今回製品も継承している。


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左が2005年の製品、右が今回製品。

前より良くなっているのは確かだが・・・0系などと同様「初期型フックリングカプラー」に属する製品であるため(「連結部分研究」も参照)、やはり古さや大味さは隠せていない印象だ。


●その他特徴

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フレッシュグリーン旧製品では、このように車端部の窓ガラスが省略されていたが・・・


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フレッシュグリーンのリニューアル後からは窓ガラスが追加されているため、今回製品も継承している。


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パンタグラフも固定式から可動式に変更。パンタカバーや車端部のケーブルヘッドガイシは別パーツが付属しているため、ユーザ取付で表現することになる。


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ヘッドライトは電球色LEDが採用されている。


比較に用いたフレッシュグリーンは筆者所有の旧製品で、リニューアル後の製品では車端部の窓入れ、パンタの変更、電球色LEDなどの定番メニューは採用済みである。今回の製品は、それらをすべて引き継いだことになる。

●室内表現

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中間車のシートは共用パーツであり、2・4号車(上)に合わせてあるらしく、3・5号車(下)ではズレてしまっている(3号車は動力車)。他の製品でもズレている例はあるが、100系は窓が大きいのでいささか目立つようだ。また、実車は2+2列シートとなっているが、2+3列のままである(覗きこまないとわからないけど)。


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シートの色は奇数号車がブラウン、偶数号車がグレーと、実車同様色分けしてある。写真は上が1号車、下が6号車となるが、シートパーツの色が乗務員・客用扉の窓にも表れてしまっているので、この部分は黒く塗ってやるといいかもしれない。


ところで、フレッシュグリーンはリニューアル製品も含め、シートの色パターンが今回の製品とは逆になっている。いろいろ調べたり自分で撮ってきた写真を見る限り、どうもフレッシュグリーンが間違っている模様。その意味では、今回の製品は正常化したといえる。

●各形式写真

左が博多寄り。

●1号車(121-5000 or 5050)

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●2号車(126-3000)

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●3号車(125-3700 or 3750)

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動力車となる。

●4号車(126-3200)

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●5号車(125-3000)

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●6号車(122-5000 or 5050)

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●総評

同社の他の製品にもいえることだが、極力新規パーツを抑えて、可能な限りのリニューアルを行うという点ではなかなか頑張っていると思うが、根本が古い製品である以上、残念ながら随所にアラがあることは否めないようだ。もろ手を挙げて素晴らしい製品だとオススメできるかというと・・・正直ちょっと自信ない。

ただ、大きな目で見れば「100系K編成旧塗装仕様」としてイメージを損なっているわけではないし、評価は各人の許容ラインというか、気の持ちよう次第ではないだろうか。6両編成でもフル編成には違いないし、レイアウトにも優しい。ややマニアックな製品ではあるけど、余り深く考えず、お手軽に旧塗装の100系を楽しむのであれば、決して悪くない製品だと思う(限定品なので入手が難しい可能性もあるが・・・)。

100系レビュー

2階建て車がない100系は・・・という人もいるかもしれないが、K編成だって100系の現実の姿には違いない。100系最後の盛り上がり(?)というシチュエーションで、フレッシュグリーン塗装と並べて楽しむのも悪くないと思う。



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