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トミックス H5系北海道新幹線 レビュー |
E5系は新幹線にしては珍しいメタリック塗装で(他には400系やE3系「つばさ」くらいか)、模型でもインパクトのあるメタリックグリーンを再現している。だが、その色味は結構異なりカトーは青味、トミックスは黄味が強い傾向にある。
色は各自感じ方の差が出るので、あくまでも「個人的に」と前置きしたうえで言わせてもらうと、正直トミックスのグリーンはちょっと違うんじゃないかな〜、実車はこんなに黄色がかってないような〜、と思った。
ピンクの帯色はそれぞれ同門のE2系、E3系に準じたもので、こちらはトミックスの方が「らしい」感じがする。左の写真では分かりにくいけど、ホワイト(実質は明るいグレー)はトミックスの方が若干明るい。
グリーンに関しては、周囲の建物からの照り返しが当たったり、大宮駅のように光線状態の悪い場所だと、このように黄緑がかって見えることもあるようだ。一般的にイメージするE5系の色とは違うような気がするというだけで、トミックスの塗装は必ずしも間違いではないとフォローしておく(それでも、上の写真と比べるとカトーの方が近いかな・・・)。
同門のE6系同士との比較(トミックスのE6系に可動幌が付いていないのは、Z7編成以降に改造中のところを撮影したため)。そもそも配色が異なるE5系とE6系だが、ホワイトについてはそれぞれのメーカーで統一されているようだ。
トミックスの可動幌にはメタリックが入っていないが、実車の外幌もソリッドカラーなので正解。一方、カトーの外幌はボディと同色である。左の写真ではボディと異なるように見えるけど、外幌の後退角により光線の当たり方が違うから。
グリーンはメタリックかつ光沢も強いので、光線状態や見る角度、周囲の色反映などで色調が変化する。トミックスのグリーンも、光を当てた上段の写真だと実車にまあまあ似ているかもしれない。「色調」まで変わりやすいのはどちらかといえばカトーの方で、紙箱の基本セットのパッケージ上からでもそれを認識できるくらいである。
メタリックのラメ感は若干トミックスの方が強いように見えることもあるが、あまり差はないかも。屋根板はどちらもメタリックではないが、トミックスは周囲に溶け込む感じ、カトーは浮いている感じ。メリハリがあるのは後者だが、どちらが良いと思うかは好みの問題ということで。
先頭部の塗り分け。画像が小さくなってしまったので、必要なら前ページの先頭形状の画像も参考に。
ピンクのラインは先端部の収束や太さでトミックスに軍配が上がりそう。カトーは全体的に太めで、先頭形状が原因だと思うがこの角度だとラインが波打っているように見える。
ノーズ部の塗り分けはE6系ではトミックスの方が良かったが、今回はどちらもエッジの上方に塗り分けラインがある(トミックスはやや上方寄り)。ただ、トミックスはノーズ先端からサイドの膨らみに至るあたりで、やや下方にラインが乱れているのが残念。形状的に厳しかったか。
一応、東京駅近くの商業施設「KITTE」の屋上から撮影した実車写真も置いておくのでどうぞ(光線状態よくないが・・・)。
カトーも光沢は強いがメタリック部分だけで、ホワイトは半光沢程度。一方、トミックスは全体的に光沢がある感じで、ホワイト部分は「ありがとう300系」の光沢を思わせるほど。グリーンの色調はともかく、トミックスのうっすらクリア層が乗った感じの塗装は美しく、かつ節度感があり筆者も個人的に気に入っている。
なお、メタリックではない屋根上はどちらも半光沢程度で、ボディとのメリハリを付けている。
塗装は天候や光線状態によって変化するので、一つの正解というものが存在しない。特に実車の時点で色の変化が激しいE5系、模型ではどう表現されるのか注目していた。
今回、こうして比較してみると先行していたカトーの色調は良く似ていると思った。一方、トミックスは後発の割には、グリーンがやや違和感のある色調なのは残念に思えた。とはいえ、トミックスの光沢は非常に美しく、限定品だった「ありがとう300系」で終わらせなかったのは評価できると思う。
総合的に、色調のカトー、光沢のトミックスという感じ。どちらも強い光沢と合わせた色調の変化は面白く、走らせるとその楽しさが実感できると思う。
先頭部の印刷はカトーが形式番号、エンド表記(乗務員扉左下)、座席種別が印刷済みなのに対し、トミックスは号車番号、禁煙マークくらいしかなくシンプルだ。ただし、形式番号はインレタで表現できるし、乗務員扉窓の編成番号、乗務員室マークといったカトーにはない表記類もサポートされている。
カトーは震災復旧前の発売だったため「つなげよう日本」マークはそもそもない。トミックスも発売時点ではマークを剥がした編成が出始めていたので、先を見越してかやはりない。
1号車後位はカトーの行先表示が印刷済みになっている以外、印刷個所に差はないようだ。
印刷個所を一覧で比較してみる。
表記箇所 | カトー | トミックス |
形式番号 | 印刷済み | なし(インレタ) |
JRマーク(1・10号車) | 印刷済み | なし(インレタ) |
号車番号 | 印刷済み | 印刷済み |
禁煙マーク | 印刷済み | 印刷済み |
グランクラス・グリーン車マーク | 印刷済み | 印刷済み |
「はやぶさ」ロゴマーク | 印刷済み | 印刷済み |
行先・座席表示 | 印刷済み | なし |
編成番号(前面窓) | 印刷済み | なし(インレタ) |
編成番号(乗務員扉窓) | なし | なし(インレタ) |
編成番号(先頭車側面下部) | なし | なし |
乗務員扉マーク | なし | なし(インレタ) |
エンド表記 | 印刷済み | なし |
他の製品でも見られるように、カトーは印刷済み個所が多くトミックスは少ない感じだが、後者はユーザが施工する必要があるもののインレタで表現することが可能であり、乗務員扉の細かい表記のように、カトーがフォローしていない部分にも対応している。
「はやぶさ」ロゴマークはどちらも2色のドット階調表現で、「JR EAST〜」の文字はトミックスがやや鮮明、カトーは少し影が付き過ぎな気はするが、どちらが上というほどの差はほとんどないといっていいだろう。かつてのN700系や800系のように、「印刷はトミックスの方が有利」というのは過去の話になりつつある。
カトーは近年の同社製品の例にもれず行先表示が印刷済み。10号車(上段)にはグランクラスマークも入っている。号車によっては(中段)「新青森」の文字がつぶれ気味だったりでやや安定性がないように思えるが、かなり細かいので気になることはない。
トミックスは前述の通り、ガラス表現なので行先表示の表現がなく、カトーの独壇場なのだった。
またまたカトーのみになってしまうが、形式番号はU2編成のものが印刷済みで、各号車ともカスレなどは最小限で、失礼ながら同社にしてはきれいに印刷できていると思う。実車もカスレじゃないけど微妙に剥がれたりしているので、模型も許容範囲ということで(苦笑)。
トミックスはデフォルトの印刷済み番号は特になく、先頭車のJRマークもろともインレタによる表現となる。
号車番号はどちらもグレー地に白文字いう点を忠実に再現。文字サイズはカトーの方が実車に近いように思えるが、印刷の鮮明さはトミックスがよさそうだ。
E5系は登場時から全号車禁煙ということもあり、禁煙マークはどちらも印刷済み。カトーはやや大きめながら、赤いラインの太さやなどで実車に近い印象。同社の従来製品と比べてもかなり良くなった気がする。トミックスは大きさは忠実で品質も安定しているが、赤いラインがちょっと太すぎ(濃すぎ)な感じだ。
グリーン車マークはどちらも他製品と同じ緑色が使われているが、色調的にトミックスの方が目立つ。カトーはマークの上部が切れているが、筆者所有品の個体による問題だろう。
一方、グランクラスマークは形状、色ともにトミックスの方が似ていると思う。マークに光を当てるとメタリック感があってリッチな印象だ。また、色調が要因と思うがトミックスはマーク下の文字もそれなりに目立っており、相当拡大しないといけないがグリーン車は文字の判読も可能。一方、カトーのグランクラスはゴールド感に乏しく、文字もほとんど見えない。
実車と比べると、グランクラスマークはトミックス、グリーン車マークはカトーが似ているかもしれない。
トミックスに(基本・増結どちらにも)付属するインレタはU7・8・12・19編成を収録。全体的に同社他製品と同じような内容だが、E6系と同様に先頭部下部側面の編成番号は省略されている。カトーへの流用はU12編成をうまく使えばできそう?
カトーはすっかりおなじみの「Ready to Run」コンセプトで、行先表示や細かい部分も印刷済みでユーザによる施工を必要としない。一方のトミックスは印刷少なめ・インレタ施工の手間がかかるという、こちらも「おなじみ」のものだけど、カトーにはない部分もフォローしていたりするので一長一短だと思う。
印刷品質はカトーのウィークポイントだったが、E5系ではかなり改善されているような気がする。その後のE6系、N700Aにいたってはトミックスとの差もかなり縮まってきており、カトーがそれなりに追いついてきたといえるのではないだろうか。
ヘッドライト・テールライトは前面窓の内側で点灯。ヘッドライトの光源は白色LEDで実車のHID光とよく似ている。テールライトは赤色LEDで点灯する。しかし、トミックスのこれは・・・点灯しているのだろうか?
カトーはヘッドライトの光が前面窓先端に伝わってしまう点以外は問題ないが、トミックスは前面窓に施されたブラックアウト処理が原因で、上方からではヘッドライト・テールライトが全く見えない。そして、運転室内が明るく照らされてコンソール前方が強烈に反射するという、ちょっといただけない仕様になっている。
カトーは光量は標準的ながら、明るい環境でも狭いスペースに4灯をくっきり点灯できている。実車はそうではなさそうだが、仕切り板に反射している光もリッチな印象を与えていると思う。
トミックスはやはりコンソールが光ってしまう。カトーよりもかなり光量が多いので、離れて見ても前面窓の内側がなんか光ってる程度には認識できるが・・・
実車の前面窓にもブラックアウトはあるが控えめで、上からでもヘッドライトが十分視認できることを考えると実車と近い、とも言い難い。上方から見る機会が多い模型としてもどうかと思うし、なんでこんな設計にしたのか理解に苦しむ。
ところが、トミックスも目線高さなら点灯をきちんと視認できる。カトーほど鮮明ではないのは光量が多いからだろう。 ノーズ上に反射している光を見ている限り、4灯表現ができているのは間違いない。カトーは前面窓のレンズ効果で光が歪んでしまっているが、トミックスはそんなこともない。
比較的4灯が視認できる角度で。なんていうか、上方から見るよりも目線高さでの見た目にこだわったのだろうか。実車を忠実に再現するという意味では間違っていないと思うが、模型としてはどうなのと。
カトーは運転席・コンソールまで上方の仕切り板が覆っているけど、トミックスはコンソール部分が覆われていないので光が漏れているのだと思う。
プリズム自体はどちらも4灯になっているのがわかる。その上で、カトーは仕切り板の形状が3次曲面になっていて、前面窓パーツにぴったり合うようになっているのに対し、トミックスはそこまで徹底していないこともわかる。
Nゲージの世界だと、ライバルメーカーの先行製品の研究ってあまりしないのかね・・・
光源はどちらもチップ型の超小型LEDで、上がヘッドライト用の白色、下がテールライト用の赤色(トミックスは逆かも、ちょっと失念)。重ねてのお願いだが、安易な分解はしないように。
コンソールに対し座席の位置がかなり違うが(カトーは座るの大変そうw)、光源設計の差が出ているのかもしれない。
ついでにコクピット表現も見てしまおう。トミックスは3つのモニターをモールドで表現。外からは見えないのに良くやっていると思う。ただし、カトーにはあるブレーキレバーはない。ちょっと分かりづらいが、マスコンの位置がカトーはノッチオフ状態なのに対し、トミックスはフルノッチ(?)である。
どちらも上からだと前面窓後方上部に光漏れがある。いずれもパーツの隙間ではなく、ガラスパーツの黒が塗りきれていないことによるもの。自信があれば黒を入れてフォローしてもよいかも。トミックスはボディ部分でうっすら光が透けてしまっているが、かなり暗くしてもこの程度。普通の明るさではまず認識することはできないだろう。
前面窓内側上部で4灯光るというのは、E2系などですでにあるので目新しい感じは正直ない。しかし、前面窓内側の狭いスペースから放たれた白い光は、メタリックなボディと併せてE5系が「新時代の新幹線」という演出に大きく影響していることは間違いないだろう。その意味では、やはりトミックスの表現(設計)には不満。E6系では半ば神がかったヘッドライトでカトーを圧倒した感があったが、E5系では残念ながら逆転してしまっていると思う。
左からグランクラス、グリーン車、普通車。どちらも実車のシートの色に沿った色分けもなされており、車内の表現はぬかりない。
普通車は座席色がグレーとなるが、トミックスは明るい感じ。シートの幅はトミックスが広いが窓側の肘掛は省略。これは他形式の製品で見られる差でもある。
グリーン車も同様の意匠。トミックスは背もたれの一体感が強いが、中央のアームレストの幅が広い点を再現。
そしてグランクラス。カトーは発売前に公式サイトでいち早く試作品画像も出していただけに自信があったのだろうか。かなりバランスのよいシート表現といえる。対しトミックスは妙に座面が長いのが気になる。レッグレスト出した状態でも再現した?
どちらも実車同様バックシェルも再現しているが、ここの形状もカトーの方が近い。E5系は窓が小さいので覗きこんでわかるものではないけど、グランクラスに関してはカトーが一歩抜きんでているようだ。
ところで両者シート、向きは同じなのに2列と1列の位置が逆になっているのは?
カトーは(行先表示が印刷済みということもあるが)新青森向きにシートが向いているのに対し、トミックスは全車東京向きだから。左の写真で言えば、上方が先頭部(新青森寄り)となり、それぞれ座席の向きが逆転していることがわかる。
なお、カトーは1号車のみ東京向きになっているので他の号車と逆転している。対しトミックスは全号車で東京向きに統一されている。
5号車は多目的トイレなども作ってあり凝っている。この部分には窓がないのでほとんど見えないのだけど、特にトミックスは他の号車も細かく作り込んであり感心。
室内灯を入れてみる。推奨は電求色だが、都合により白色(カトーはかなり青いな)を入れているのでご了承のほど。上段がグリーン車で下段が普通車。グランクラスは割愛した。どちらも窓が小さいものの、シート色の違いが味わえる。どちらかといえばトミックスの方がしっかり色がわかると思う。
E5系は窓が小さいので、車内のシートの違いは覗きこんでもほとんどわからないのが実情だ。にもかかわらず、グランクラスのシートはカトー、付帯設備はトミックスが凝っているなど、きちんと車内を作り込んでいるのは高評価。
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