●調べるたびに謎が深まる(?)

「ゼビ○ス(F○版)」のキャッチコピーではないが、ここまで書き終えての正直な感想はこれ。

もともと700系の記事を書くにあたって、同形式にはそれなりの知識を持って臨んでいたつもりだ。この記事はカトーとトミックス・・・転じてJR東海車とJR西日本車の比較ということになるが、模型を見比べているだけでも新たな発見が次から次へと出るわ出るわ・・・

例を挙げると、グリーン車マークの位置の違いや屋根上の滑り止めパターンなどがそれで、一瞬模型のどちらかが間違っているのではと思うのだけど、調査してみると実車もそうした違いがある気付く。そのたびに、写真が必要なのと自分の目で確かめるべく東京駅に出撃。帰ってきたら記事のリライト。一歩進んで二歩下がる。こんなことの繰り返しだったのである。

実車編で「つまらない印象がある」とか「地味」とか書いたが、とんでもない。一応筆者もそれなりにマニアック(バリエーション厨を自称)なことは自覚しているが、それさえも唸らせる面白さ。車両研究が好きな人にもオススメできるだけの面白さがこの形式にはある。

●模型映えする700系

模型と関係ない話を書いてしまったので本題。これまで書いたとおり、模型は三者三様(トミックスは2種類あるが発売時期が離れているので仕様に差がある)でそれぞれに味があるのだが、全体的に思ったのは700系は模型映えする車両だなということ。実車の見た目はぱっとしないが、模型になると引き締まってカッコよく見える車両がまれにあるが、700系はそれが当てはまると思う。

「700系の模型」としては、大多数の人を満足させられるレベルにある。そのうえで、これは700系に限った話ではないが、傾向としてカトーはデフォルメがうまく、トミックスは実車に忠実な印象である。もちろんこれらは両社のコンセプトの違いであり、どちらが正しいというわけでもない。

カトーはそのデフォルメにより、実車のどこかもっさりした感じがシャープでカッコいい印象に変わっていて、前述した「模型映え」もこちらの方が強く感じる。トミックスは実車に忠実な分、実車の持つもっさり感も再現していて、それはそれで700系らしさをうまく表現できている。不思議なのは、コンセプトの違いが見た目に表れているにも関わらず、両社のモデルを並べても(少なくとも筆者には)ほとんど違和感を感じないことだ。700系の形状がそのへんをうまく吸収してくれるのだろうか?ますます「謎が深まる」・・・

そうした「いつもの」カトー・トミックスの違いがある中で、付属品についてはカトーが多く、トミックスは少ないという逆転現象も見られて興味深い。

●だけど、不満がないわけでは・・・

「700系を再現した模型」としては非常にレベルが高いと思うのだが、そうした次元とは別の、製品仕様上の問題が気になった。具体的にはカトーの側面ロゴをステッカーで表現せざるを得ない点や、トミックスE編成で車端の行先表示の表現ができない(ステッカーも貼れない)点などがそれだ。

これらは妥協できる人もいるとは思うが、もう少しなんとかならなかったのかなと思う。ロゴの印刷がステッカーとか、行先表示は穴が空いてるだけというのは、(少なくとも新幹線模型では)他のモデルには存在しない問題なだけに残念。全体的な模型のレベルは高いのでなおさらだ。コストの問題もあってなかなか難しいとは思うが、今後のリニューアルで改善されればと思う(トミックスE編成はリニューアルにより改善された)

鹿本様より、リニューアル後も車端部の行先表示機にはガラスが追加されていないという情報をいただきました。情報提供、誠にありがとうございます。

また、これは贅沢な不満ではあるが、700系のバリーションの豊かさを味わう点ではまだまだ不足。実車の本数が少ないJR西日本車はともかく、JR東海車は初期型(C3編成)だけ。結構違いの見られる最終増備車(C55編成以降)なんかもあれば、また楽しめると思うのだが・・・この車両の引退が話題になるようになったら、また違うのだろうか。マイクロエースさん、どうっスか(w。

まあ、ライトユーザが多いと思われる新幹線模型。普通の人は初期車と後期車、どちらも同じ700系にしか見えないだろうし、メーカー完成品で望むのは無理な話かもしれない。となれば、あとは自分で・・・そのうち工作・改造にチャレンジしてみようかな。自分のサイト参考にしながら(w。700系のバリエーションを楽しまないなんて、もったいなさすぎる。

●購入ガイド

そろそろターニングポイントを迎えるとはいえ、700系は現役バリバリの主力車両。そのせいか模型も定期的に再生産が行われていて入手は比較的容易かと思う。カトーは「ベストセレクション」という商品群に含まれているし、ヤフオクでも中古のタマ数は多い。トミックスE編成もリニューアルの情報があるまでは定期的に再生産されていたし、リニューアル後もそうなるのだろう。トミックスB編成は最近は店頭でも見かけなくなったが、待っていればいつかは出るという感じで、入手困難なプレミア品には程遠い状況といえる。

そうした状況の中、700系は三者三様・プロトタイプが異なり、純粋な競作とは言い難いオンリーワン製品。JR東海車が欲しければカトーしかないし、JR西日本車ならトミックスしかない。結局のところ、どの実車を模したモデルが欲しいのか。それにまかせて購入すれば満足な結果となるだろう。C・B編成の違いよりも、カトー・トミックスの表現の違いに好みを感じるなら、模型メーカーで選択するのもまた一興である。

もちろん、サイフが許せば全て揃えるのも面白い。プロトタイプもかぶらないから、コレクションとしても満足きるはず。逆に安く抑えるならトミックスE編成あたりがよいかもしれない。西日本に住んでいないと馴染みのない車両かもしれないが、フル編成で8両というのはサイフだけでなく、レイアウトのスペースにも優しいかと思う。


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