露出など撮影条件を完全に同じにして「こまち」の塗装比較。さんざんいわれているとおり、カトーのホワイトはかなり暗くもはやグレーといった方が正しいくらい。
トミックスは新旧で色味が異なっており、旧製品はややアイボリー寄りなのに対し現行製品は「白」という感じに。ピンクも鮮やかさが増してビビッドな印象で、光沢感も一歩抜きんでている。
E2系などでも同じこと言っている気がするが(汗)、E3系「こまち」の色イメージってこんな感じじゃないだろうか。白やピンクを見る限り、トミックス現行製品はかなり似ていると思う。
逆光ならばカトーは似てるか?無理があるか・・・
N700系は側版、E3系は上面を向いた先頭部なので受ける光量が違い単純比較はできないけど、N700系が「白」だとしてE3系が「グレー」ってのはさすがに無い。
カトーはホワイト・ピンクはE2系とほぼ同じ。実車もそうなので正しい配色ではあるけど、E2系の時点で暗すぎてE3系がそれに引っ張られてしまった感じ。
それでもE2系がそれほど暗さを感じさせないのは、車体下部の濃いブルーが相対的に車体上部を明るく見せているからだと思う。E3系は車体下部がシルバーなのでコントラストがあまりなく、どうしても上部が沈んでしまうというか。人間は「色を比較して見てしまう」のでね。
一方、トミックスはE2系より全然明るい。実車はそんなに差はねーよ、と突っ込もうにもE3系単体で実車イメージに近いのはやはりこちら。塗装に関しては「実車と同じ」が必ずしも模型にプラスになるとは限らない例といえるだろう。E2系はピンク帯以外はカトーとほとんど同じである。
E2系との差は旧製品も似たようなものだが、ピンクの色はかなり変わっており現行製品はE2系と揃えられている。
今後は「つばさ」旧塗装を比較。トミックス1000番台旧製品の車体下部はグレーというより明るいメタリックブルーとという感じで、古い製品だということを考慮してもかなり不思議な色チョイスである。車体上部もやや緑がかっているのも独特。
その後のリニューアル版では400系とともに実車に近い色合いに修正されたが、車体下部はカトーよりもかなり濃く車体上部もやや暗い。2000番台は1000番台と大きく変わらないものの、グリーンの帯はやたらと濃くなってしまった。
割とカトーに近いイメージで。グリーンは結構違ってしまっているが、露出などで差が出ることがあるのでこんなものだろうと。
この写真だと、リニューアル後の1000番台ならばトミックスもそれほど外してはいないと思う。ただ、2000番台の帯色は違うんじゃないかと。
「つばさ」新塗装はどうか。この写真だとパープルはあまり差を感じないが、実際にはかなり差があり先頭形状の写真等を見てもらう方が早いかもしれない。ちなみに光沢感はトミックスの方が大きく、特にパープル部分がやたらと光沢感を感じるのは実車っぽくてよいと思った。
白はトミックスの方がやや明るい程度で、オレンジも含めてあまり差はないようだ。
「こまち」の号車番号はグリーン車マークなどと一体化した独特なデザインを採用。カトーは印刷精度がいまひとつだがスケール感はいいかも。トミックスは色合い・精度で優れているものの、なんだか横方向に圧縮されたような感じになってしまっている。その他、グリーン車マークや禁煙マーク等の違いも見られる。
トミックス旧製品は発売時期的に「こまち」のロゴ入りとなっている。R18編成以降の増備により0番台は「やまびこ」「なすの」にも幅広く使われるようになり、その後「こまち」の文字は省略された(側面の大ロゴ残ってるじゃんというツッコミはやめたげて)。
上の模型と比べてみてほしい。「こまち」ロゴ入りの写真は画質は良くないがかろうじて残ってた。撮影したのは2002年12月とR18編成が登場してほどない頃でギリギリだった。
「こまち」と比べると標準的な号車番号表記周り。異常拡大しているとはいえカトーは解像度の低さが分かってしまう。「GREEN CAR」の文字はトミックスより見えやすいが何が書いてあるかはまでは読めない。
トミックスは1000番台旧製品から2000番台の間に表記類の改善(大雑把な禁煙マークがきちんと表現されたり、号車番号の文字が白くなったり)されているが、印刷品質に関しては各世代でカスレなど見られず非常に安定している。
2000番台は身障者対応マークが追加されたほか、グリーン車マークが拡大されたことに注目。前ページ「車体各部表現」で書いた通り、車掌室窓の位置が修正されたことによる。
扉横の丸い「つばさ」マークも、新旧製品で色味が違うとはいえ明らかにトミックスの方が上手。このマークは2000番台にはないが、実車の2000番台においてもごく初期の編成には貼られたもののすぐに剥がされてしまったようで、後の編成では貼りつけられたことはないようだ。400系の廃車か震災の影響かいつ無くなったかは定かではないが、2012年くらいには1000番台からも撤去されている。
普通指定席車の号車番号の横に小さな指定席マークがあるが、小さすぎるのか模型では表現されていない。
1000番台では水をあけられていたカトーだが、2000番台はあまり差がなくなった。トミックスの印刷クオリティは従来通りだとすると、カトーのレベルが上がっていると判断できる。
グリーン車マークの色合いや身障者対応マークの細さあたりはトミックスよりも良く感じるくらいで、2000番台に関してはカトーもかなりがんばっていることがわかる。
0番台の「こまち」ロゴ比較。カトーは「Akita〜」に文字ややカスレがみられるものの(なお、この文字は銀色で印刷。トミックスはグレー)、全体的には水準以上のクオリティだと思うし、色遣いについてはトミックスよりも実車に近いように思う。トミックスは安定の印刷クオリティであり、「KOMACHI」の文字の繊細さも良く出ている。中段の現行製品は「ま」「ち」の一部がずれているような気がするが、たぶん個体差。
旧製品も現行製品と同じくらいのクオリティを持っているが、現行製品は色調が変更されて自然な感じに。
こうしてみると、やっぱり「KOMACHI」の繊細な感じはトミックスの方が出てるかな。色合いはカトー>トミックス>トミックス旧ということで。
続いて「つばさ」旧塗装のロゴ比較。こちらは模型にとってはグラデーションがかなり苦しことがわかる。特にカトーは目に見えて解像度が低く、グラデーションは頑張っている感があるものの、全体的なシャープさや繊細さはトミックスには及ばない感じ。
トミックスは旧製品からシャープさを維持しているのはさすがで、「EAST JAPAN〜」の文字もくっきりしている。旧製品から1000番台現行製品に変わった段階でグラデーションの見直しや2枚目の翼がグレーで塗りつぶされるなど細かく改善されている。
2000番台は1000番台とほとんど変わらないが、「TSUBASA」文字色が変更されている。もっとも、この文字色が一番近いのは旧製品だと思う。
「つばさ」新塗装は塗装だけではなくロゴマークも派手。しかも11号車・16号車、海側・山側でそれぞれデザインが異なっているという。上段から11号車海側、山側、16号車海側、山側という順番である。
実車が多色なだけに模型での厳しさは旧塗装以上で、どちらもザラザラな感じになってしまっている。ぱっと見た感じはトミックスの方が明るいセッティングで、印刷品質はあまり差はないように思えるが、11号車海側と16号車山側の「EAST JAPAN〜」、樹木の幹はカトーの方がはっきり出ている。もっとも、どちらも色数をケチっている感じが全然しないし相当頑張っているんじゃないだろうか。実際、普通に見る分には特に不自然さは感じないし。
なお、実車写真山側は下部に赤やピンクの帯があるが、東京駅の可動フェンス(っていうのアレ?)が写ってしまっただけ。
0番台の車番。カトーは文字がやや大きく濃ゆい感じ。トミックスは車番の印刷があるのは旧製品のみ(その後の製品はインレタ)なので比較もそれでやるしかないのだけど、古い製品ながら印刷のカスレなどが全くないのは感心。
1000番台の車番。カトーは印刷がかなり粗くかろうじて読める程度で、ロゴマーク、号車番号もそうだったが全体的に印刷はやや見劣りしてしまう。トミックスは0番台と同様に印刷があるのは旧製品のみで、こちらは「E」の文字がややつぶれてしまっているがそれでもスケール感、印刷クオリティはなかなかのもの。
2000番台もカトーの方が文字が大きい傾向は変わらないが、印刷クオリティはかなり良くなった気がする。トミックスは文字が小さいとはいえ、前述の0番台・1000番台と比べるとシャキッとせず、「E」の文字が少し離れていたりとどこか精彩に欠くところも。
なお、トミックスは基本セット分の3両は車番印刷済みだが、増設セットの車両には印刷はなくインレタ表現となる。旧塗装は車番印刷はなくインレタのみとなる。
カトー2000番台の17号車の車番は外幌ぎりぎりまで達してしまい、かなり印刷が苦しそう。1000番台はやや余裕があるが「1」「2」のフォント幅の差が出たのだろう(少しハッチにかかってしまっているが)。
トミックスは「E」が離れてしまっているものの、文字が小さいのでスペースに余裕がある。また、こちらは印刷クオリティにも問題はないようだ。
実車の17号車車端、おりしもカトーと同じL64編成なので比較するにはもってこい。やはり車番の比率はトミックスが近いようだ。
トミックス2000番台インレタ(上が旧塗装、下が新塗装)。拡大画像はアーカイブを見てほしい。旧塗装は裏紙が波打っておりスキャンで出てきてしまった。
収録編成は旧塗装がL62・63・71・72編成、新塗装はL66・67・68・69編成で、新塗装の基本セットにはL66編成がデフォルトで印刷済みである。どちらもカトーのL64編成は避けている。
ちなみに、0番台は旧製品がR17編成、現行製品がR19・20・23・26編成。「ありがとうこまち」も同じインレタとなるがR20編成が適合するはず。「なすの」はR21、22編成で、別売の屋根パーツセットの付属インレタはR2・7・11・14編成。実車がそれしかないが、1000番台はL51・52・53編成、旧製品はL51編成という陣容である。
カトーが0番台がR22編成、1000番台がL53編成、2000番台がL64編成と考えると、これだけのバリエーションでかぶっている編成はR22編成、L53編成のみということに。
塗装に関しては「こまち」がトミックス>カトーで、「つばさ」旧塗装がカトー>トミックスだと思った。「つばさ」新塗装はパープルの色調に好みが分かれそうだけど優劣をつけるのは難しいかもしれない。まあ、好みを問われたら個人的にはトミックスかなぁ。
カトーとトミックスの最大の違いは、ヘッドライトのHIDとシールドビームの色違いを表現しているかどうか。この点は設計が新しいカトーの方が有利で、1000・2000番台ともに実車と同じ配列で点灯する。2000番台のシールドビームはやや黄色が濃いようが気もするが、光量は十分にある。
トミックスは色の違いは再現されていないが、2000番台は当初「色の違いを再現」とアナウンスされたことがある(ホビーサーチ様の製品紹介画像に証拠あり)。筆者はもともとこの部分には期待していなかった(同社がやるわけないと思ってた)ので、後から読者様から知らされて「えっ、そんなこと書いてたの?」と驚いたくらいで、後に公式から訂正が出たし、それにしても大きく出たなというか何を間違えたんだろうと苦笑した程度なので、個人的にはそれほど叩く材料ではないかなと。
トミックス1000番台は見る角度により光軸が変わり明るさに差が出る(正面が一番明るい)。その点、2000番台はフラットになったしシャープに光るようになったなと思う。こちらの光量も十分。
なお、ここでは1000番台をサンプルにしたが0番台も構造は同じである。トミックスは片側が動力車なので微電流にしないと動いてしまい撮影には苦労した。
トミックスは設計時期が古いので仕方がない部分もあるが、点灯面がカトーよりも奥まった位置にあるので斜め横からだと不自然に見えてしまうことがある。後述するが灯火類部分を新規制作した2000番台といえども根本的な設計は変わらない。トミックスの1000番台はヘッドライトが暗く見えるが、前述のとおり正面からだと明るく光る。
余談だし写真もないが、トミックスは動力車となっている東京寄り先頭車(E311形)はヘッドライトとテールライトが同時点灯することがある(ヘッドライトと同時にわずかにテールライトも光る感じ。その逆も)。動力がない反対側の先頭車ではそんなことはまったくなく、さらにいうと400系旧製品ですら見られる現象なのでヘッドライト基板と動力車との相性が良くないのかもしれない。
上方からの視認性はカトー旧製品は良好だが、2000番台ではやや微妙な感じに。トミックス1000番台は点灯面の位置の問題で、ヘッドライト・テールライトともにほとんど点灯がわからない。ただ、2000番台は光量による力技(?)というか、特にテールライトは最も光っているように思う。
2000番台実車のヘッドライト点灯の図。カトーはちょっと色の違いが大袈裟か。トミックスに着色する場合、控えめにした方がよさげ。
0番台(1000番台も同じ)のヘッドライト点灯と2000番台のテールライト。トリミングしているとはいえ、よくこんな写真撮れたなと(那須塩原で撮影)。
左が1000番台、右が2000番台。プリズムとそれを保持するフレームのパーツが新規制作され、配列も変更されていることがわかる。左右のライトの中央部に仕切りも用意されている。
トミックスの1000番台はヘッドライトのプリズム先端に黒印刷して4灯表現するというプリミティブな方法だったが、2000番台ではコクピットパーツも新規制作の上でプリズムが独立した。この辺がもしかして「ヘッドライトの色違い」誤報につながっていたのかも。プリズム内部は独立していないので、どのみちカトーのように色変えするのは無理である。ユーザ加工で先端部側に着色するのがいいだろう。
カトーのコクピットは座席部分が深いのが特徴。コンソールにはマスコン類もきちんとモールドされている。
トミックスもマスコン類などのモールドがきちんとあるが、パーツ自体が薄く仕切りの壁が離れている。もっとも、外から見る分には気になることはない。なお、マイクロエースの「East-i」に移植(おゆまるコピー)する場合は薄い分トミックスの方が有利で筆者もそうした(「East-i」の改造記事参照)。
写真は2000番台のもので、前述のとおりプリズム上部までカバーされた新規制作のパーツである。
上から1000番台(0番台も同じ)普通車、2000番台普通車、グリーン車で1000番台と2000番台の比較。普通車は左が指定席、右が自由席。2000番台は指定席と自由席の格差がなくなったのでどちらも同じパーツ・色となる。
他形式でも見られる傾向だが、カトーは座席が狭く窓側にもひじ掛けを表現している。色については指定席車グレー、自由席車ブルーと色分けしているがその色味はそれぞれ異なっている。グリーン車についてはトミックスは動力車となるため申し訳程度に座席のモールドがあるだけだが、肩の部分を斜めに落とすことで少しでも立体的に見せているようだ。1000番台と2000番台ではグレーの色味が異なっているが、カトーはその差が激しい。
2000番台は実車において自由席車のシートピッチが変更された関係で、カトー・トミックス共に17号車の室内パーツが新規制作されている(中間車は従来の指定席パーツを流用)。上が1000番台、下が2000番台で後者は座席の間隔がやや広く1列減っていることがわかる。
写真左が運転席側なので座席の向きが異なることになるが、カトーは17号車のみ下り(山形・秋田)方向でその他は上り(東京)方向、トミックスは全号車上り方向で統一されている。
カトーの11号車車端部は壁などが表現されていて芸が細かい。この点、トミックスは動力車なので苦しいが、外からはほとんど見えないので大きな問題はない。
トミックスのE3系は2000番台においても引き続き400系の床下が流用されているが、ボディでカバーされるので問題はない。ちなみに、動力車となるE311形は400系(411形)の床下形状の都合(LCXアンテナのようなものがある)で流用できず専用の床下パーツとなっている。
全番台通してカトーはダクトの縦桟までモールドしているのに対し、トミックスは横桟のみでかなりあっさりしている。0・1000番台はトミックスの発売時期が古いこともあると思うが、2000番台でも特に変化はないようだ。ただ、実車はほとんど横桟しか見えないのでトミックスの表現でも問題ないと思う。なお、カトーのモールドが強めなのは他形式の製品でも見られる傾向。床下カバーと車体の接合部のボルトはどちらも表現されている。
一番下の実車写真は0番台のR24編成とR16編成のものだが、中央2つのダクトの大きさが異なっている。下段の小さいダクトの方が古く、0番台のR1〜17編成、1000番台のL51・52編成、「East-i」が当てはまる。それ以外の編成は上段の大きいダクトとなる。それに照らし合わせると、0番台はR18編成であるカトーは正解、トミックスは旧製品のR17編成、前期形に仕立てた現行製品は正解となるが、R18編成以降なら異なることになる。不覚にも「East-i」レビューのときには気が付かなかったのだけど、カトー1000番台はダクトが小さくL53編成(車番と外幌の形状から同編成がプロトタイプのはず)とは異なっている。一方、トミックスはL53編成を選択しなければ正解である。2000番台はどちらもボディを新規制作していることもあって両者とも正解。
床下パターンの再現度については、0・1000番台は同一編成内でボディの共用ができないので床下もすべて作り分けできるはずだが、トミックス0番台は13・14号車(特に後者)が実車と異なっている。これは1000番台の14号車を流用しているためだ。一方、1000番台ではきちんと再現されており、パンタカバーの項で前述したとおり、同社のE3系が1000番台をベースにしていることの証左でもある。カトーは0番台・1000番台それぞれで13・14号車を作り分けておりパーフェクトに再現(1000番台はダクトが小さくなってしまっているが・・・)。2000番台は指定席と自由席の窓ピッチが共通になったので13・16号車でボディ共用できるはずだが、両者ともきちんと床下を作り分けている。
写真は省略したが(アーカイブ参照)、トミックス0・1000番台、カトー1000番台の山側には両端のダクトがない。古い雑誌を見ると山側にダクトがない写真があったため、ある時期にダクトを増設したのかもしれない(E2系にもそんなのあったし)。
トミックスの1000番台は旧製品ともども400系台車の流用なので軸ダンパが軸箱上にあるなどE3系のものとは異なっているが、2000番台では通電カプラー化に伴いE3系専用の台車が新規制作された。同時期に発売された0番台「なすの」もこの新台車が採用されている。カトーはもともとE3系用の台車だったが、ヨーダンパの傾きなど少々表現オーバー気味で、今となっては後発のトミックスの方がバランスが良いように思える。また、発売時期の関係でトミックスは軸箱の下に逸脱防止ガードが表現されているのが特徴。
実車とカトー、トミックス1000番台のヨーダンパ上部には突起がみられるがトミックス2000番台にはない。調査したところ突起があるものとないものが存在するようで、特に編成や番台での区分もないようだ。ある時期のL63編成には突起があると思いきや、翌月の同編成は突起がなくなってた(ヨーダンパ自体もきれいになっていた)ので、E3系全体で検査のタイミングで持ちまわっている模様。したがって、模型はどちらも正解ということにしたい。
台車カバーの切り欠きについてはEast-iの記事を参考に。2000番台はカトー・トミックスともに完璧だった。
カトーは0番台から2000番台まで一貫してKATOダイアフラムカプラーを採用。E5系などではスプリングが仕込まれて中央に復元するよう改良されていたが、それより後の2000番台には反映されていない。
トミックスは0・1000番台では改良型フックリングカプラーだったが、2000番台(と同時期に出た0番台「なすの」)はフック・U字型の通電カプラーに変更された。可動幌はいずれも採用されているが、2000番台では形状は従来と同じながら新規制作パーツとなった。0・1000番台では塗装の塗り分けをパーツ分割で表現していたが、「つばさ」新塗装では400系新塗装の先頭部のように強引に塗装で済ませてしまうことはなかったようだ。なお、2000番台旧塗装も新パーツとなっている(アーカイブの画像を見るとわかるが塗装が断面部まで回っていない)。
カトーはすべての番台でKATOダイアフラムカプラーを採用しており、連結間隔(安定の狭さをキープ)や見た目はほぼ同じ。外幌の形状も肩部から下部の小幌(くどいけど秘境駅ではない)までよく再現できている。
トミックスは2000番台では通電カプラーに変更されているとはいえ、可動幌の形状や連結間隔など見た目はやはり共通している。E3系は車体が小さいので連結間隔を狭めるには有利であり、非伸縮カプラーの割に狭い連結間隔は頑張っているといえる。ただ、可動幌の構造上、肩部まで高さが達していないし下部の小幌も省略されている。小幌は0番台はR18編成以降、1000番台はL53編成以降、2000番台は全車が装備しているもので、L51・52編成がプロトタイプの1000番台を除くと実車と異なっている。
11号車(東京寄り先頭車)は2000番台においてもカトーはオープンノーズカプラー、トミックスは格納式TNカプラーと従来製品を踏襲している。カトーはE5系、E6系ではオープンノーズカプラーを採用しなかったので、2000番台でも採用しない可能性が考えられたが引き続き採用となった。ただし、操作性の悪さは相変わらずなので扱いにはご注意を。
カトーは同社のE5系+E6系と比べたらマシであるものの、それでも他形式と連結させた場合は広くなってしまう。トミックスは実車より広めとはいえ模型としては標準的であり、中間部と比べてもよいバランスとなっている。
2000番台について考証にこだわると、新塗装の相方は現状E2系1000番台のみであり、いずれE5系も相方になると思われる(なお、トミックスは1000番台発売前の撮影なので0番台で代用している)。ただし、E2系1000番台でもカトーのSuicaペンギンラッピングと復旧一番列車(「つなげよう日本」とかのロゴがある)は新塗装との併結実績はないので注意。2000番台旧塗装はトミックスに限られるが、こちらはE4系も相方にできる。
今回比較したE3系も設計時期の差が大きい(たいていトミックスの方が古い)製品となるが、改めて比較して見ると時期の差が出ているような個所は見られるものの、他の製品でも見られたようにやはり圧倒的な差は付かないんだなと思った。
設計が新しいカトーは全体的な精度感が高く、当初から0番台と1000番台作り分けをしているなど後発の強みがある。同社の他製品にも言えるが屋根上の細かい印刷も凝っているし、印刷済みの行先表示などユーザがあまり手を入れることなく楽しめるのも良い点。一方で造形、特によく指摘されるライトの位置や「こまち」塗装の暗さなど残念な点もあるし、オープンノーズカプラーも個人的にはE2系のものよりも扱いづらいと感じる。後発だからといって、これらの点でトミックスに必ずしも優っているとは言えない。
前述のとおり、トミックスは1000番台をベースにしているので0番台ではパンタ周辺や床下に実車との違いがあるし、特に旧製品ではワイパーや屋根上の考証不足がみられる。いかんせん設計が古いので仕方がないが、現行製品においても同社の流用癖が随所ににじみ出ており不満な点が少なくない。とはいえ、例えばパンタカバーや床下などは「言われなければわからない」レベルであり(暴露しまくる当サイトぐう畜)、良くも悪くも巧妙というか、E3系を違和感ないレベルでスケールダウンできていることも確かだ。旧製品では「つばさ」塗装など首をかしげたくなることもあるが、現行製品では大幅に改善されているし、先頭部の造形などはカトーよりも実車に近い感じがして、古くても素性はよい製品ということだろうか。
2000番台の製品化は実車の登場から結構時間がかかったわけだけど、カトー・トミックスともに従来製品がベースながらボディの新規制作が必然だったことから、カトーはヘッドライトの位置、トミックスは11号車車掌室窓の位置など、従来製品の欠点すべてが解消されたわけではないけど、改良できるところは改良するという姿勢が良いと思った。物議をかもす「つばさ」新塗装も、模型としてなら案外悪いものではなく(見慣れてきたってのもあるかも)、むしろ色調も含めて新鮮な感じで模型映えしているのは間違いないと思う。なにより、E5系やE6系と並べると東北新幹線の「今」という感じがすごく出るので、コレクションに加える価値は十分にある。
カトーかトミックスか?は相方にもよるので単純に選ぶわけにはいかないが、前述のとおりクオリティに極端に差があるわけではないので、好みで選んでも問題ないと思う。持ってないんでレビューの対象にはならなかったけど、トミックスの「ありがとうこまち」「なすの」、カトーの「とれいゆつばさ」なども基本的には今回紹介した製品がベースなので参考になるはず。
で、0番台の「つばさ」転用車と「現美」はどうなるんですかねえ・・・
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