●塗装

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トミックスは同社の700系・N700系などに準じた塗装で、やはり白はピュアホワイトに近い。対するマイクロエースの白も比較的ピュアホワイトに近く、白に関しては両者は近いといえる。

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こうしてみても、白に関してはほとんど差がないことがわかる。一方、青帯はマイクロエースの方が若干明るい感じで、なんとなくカトーの青帯の色味に近いように思う。トミックスは同社他製品と同様のピュアな濃紺である。


300系レビュー406

両者の塗装で大きく異なるポイントが光沢感。トミックスは艶消しに近い半光沢(旧製品から変わっていない)だが、マイクロエースは近年の製品らしく強い光沢が特徴。写真だと少しサメ肌に見えるが、肉眼で見る分には普通の光沢である。

白はほとんど差がないと書いたが、マイクロエースはその光沢の強さゆえに周囲の色を反射することがあり、トミックスと並べると差を感じることがある。


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屋根上編でも触れたが、マイクロエースは光沢の強いボディに対し、屋根上は艶消しとしてメリハリをつけている。


どちらも300系の塗装として全く問題ないといえる。発色も申し分ない。

トミックスは基本的には旧製品の色調や光沢具合を踏襲しているが、細い青帯がシャープになっているなど地味ながら改善されている。一方のマイクロエースは白はトミックス、青帯はカトーという感じの色調となるが、なにより近年のモデルらしい強い光沢が一目でわかるほどの特徴となっている。なんとなく金属感というか重量感が感じられ、この点はトミックスに対してアドバンテージといえるだろう。ただし、ドア点検ハッチ部分など色乗りが悪い個所もあり、その点は少々残念。

●印刷表記類

●印刷表記箇所

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1号車先頭部付近を見る。トミックスは号車番号くらいしか印刷がなく寂しく感じるが付属のインレタで細かい表記を再現可能。一方、マイクロエースは禁煙マークや乗務員扉窓・車体下部にある編成番号はもとより、車体下部のエンド表記、窓の「乗務員室」(細かすぎて肉眼で見るのがつらい)まで印刷済みとなっており、とにかく細かく充実している。同社製品は印刷の細かさが売りとなっていることが多いが、この300系も例外ではない。

それと、塗装の範疇かもしれないが、青帯の曲線ラインが異なっている。

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実車の青帯を見てみる。左のJ22編成、右のF2編成でも異なっているように、実車でも個体差があるのかもしれない。ただ、筆者が撮り溜めた写真を見る限りは、左のJ22編成のラインが大多数を占めていて、F2編成も写真と反対側の16号車ではJ22編成と同じラインだった。少なくとも、J・F編成間の差異とかではないようだ。

再び模型を見てみると、マイクロエースは乗務員扉から先の水平部分がほとんどなく、実車とは微妙に異なる気がする。トミックスとF2編成は近いかもしれないが、標準的とは言い難い。ただし、300系が登場したころの雑誌を見ると、当時はトミックスのラインに近いように見えた。実車が後年ラインを変更した可能性もあり、トミックスに関しては間違っているとは言い切れない。

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車体下部の編成番号とエンド表記(Aと書かれているもの)は、手持ちの画像を見る限りJ編成は青帯と同じ青、F編成は濃いグレーとなっているようだ。画像からGIMPで色情報を取り出してもそんな感じである。

模型ではマイクロエースはJ・F編成ともに青で印刷、トミックスのインレタも青。どちらもJ編成が正しく、F編成は異なっているといえる。


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J編成1号車の後端。トミックスはJRマークと号車番号のみが印刷済みで、形式番号はやはりインレタで表現。マイクロエースはプロトタイプであるJ61編成の形式番号と禁煙マークが印刷済みとなっている。

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F編成はJRマークがJR西日本のブルーであること以外、J編成に準じた構成である。JRマークはマイクロエースは青帯と同じブルーになっているが、トミックスは実車と同じように差を付けている(JRマークは明るいブルー)。ただ、トミックスはマイクロエースに対してだけでなく、自社のJ編成に対してもJRマークがでかい気が。

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比較的賑やかな8号車(グリーン車)も比較。形式番号と禁煙マークも有無については、やはり他と同じ構成になっている。

グリーンマークの色調に差があるが、実車では経年で色調が異なる事が多く、案外これだという色はない。その意味ではどちらも間違っていない。

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実車のグリーンマークはJ編成(左)は縁なし、F編成(右)は縁ありという差がある。(手持ちの数々の写真を見てもそうなので、恐らく正しい)。

模型ではトミックスは縁なし、マイクロエースは縁ありとなっているがJ・F編成で共通であるため、前者はJ編成、後者はF編成が正しいことになる。


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上がJ56編成、下がF1編成。700系のC・B編成と異なり、300系ではグリーンマークの縁以外は差がない。

注目はグリーンマークと号車番号の位置関係で、実車ではグリーンマークの中心と号車番号の中心が揃っているという点。F編成は号車番号と禁煙マークの中心と揃えていた時期もあるようだが、晩年期はJ編成と差異はなかったようだ。

その意味では、トミックスは実車に忠実であり、マイクロエースは禁煙マーク中心(?)という独特な配置である(喫煙車の10号車は問題なし)。


Y.Ishii様(「趣味の鉄道模型ホームページ」管理人様)より、グリーンマークと号車番号の位置関係の情報をいただきました。情報提供、誠にありがとうございます(2012/9/23)。

印刷個所を一覧で比較してみる。300系は側面ロゴなどがなく、標準的な構成である。

表記箇所 トミックス(J) トミックス(F) マイクロエース(J) マイクロエース(F)
形式番号 なし(インレタ) なし(インレタ) 印刷済み 印刷済み
JRマーク(1・8・16号車) 印刷済み 印刷済み 印刷済み 印刷済み
号車番号 印刷済み 印刷済み 印刷済み 印刷済み
禁煙マーク なし(インレタ) なし(インレタ) 印刷済み 印刷済み
グリーン車マーク 印刷済み 印刷済み 印刷済み 印刷済み
車椅子対応マーク(11号車) 印刷済み 印刷済み 印刷済み 印刷済み
行先表示 なし なし なし(ステッカー) なし(ステッカー)
編成番号(前面窓) なし(インレタ) なし(インレタ) 印刷済み 印刷済み
編成番号(乗務員扉窓) なし(インレタ) なし(インレタ) 印刷済み 印刷済み
編成番号(先頭車側面下部) なし(インレタ) なし(インレタ) 印刷済み 印刷済み
業務用扉表示(業務用扉窓) なし(インレタ) なし(インレタ) 印刷済み 印刷済み
屋根上号車番号 なし(インレタ) なし(実車にもない) 印刷済み なし(実車にもない)

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ざっと一覧を見ただけでも、マイクロエースは表記類のほとんどが印刷済みであることがわかるが、それ以外にも前述した先頭部側面のエンド表記があったり、左の写真にある下向きの三角形マーク(筆者の知識では用途分からず)が各号車に印刷されているなど、トミックスでは対応していない個所も多くありとにかく芸が細かい。

とはいえ、トミックスもインレタを施せば細かい表記は再現できる。旧製品では一切印刷の類はなかったので、相当改善されたといえる。ただし、行先表示だけは伝統的に未対応なので、他社製を流用するか自作する必要がある。


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トミックスのJ編成に付属するインレタ(画像クリックで拡大)。形式番号や禁煙マークのほか、グレードアップ用と称した編成番号や屋根上表記まで含まれおり、おおよそ近年の同社製品に沿った内容である。1枚で16両編成が賄えるが、フル編成で揃えれば2枚用意されるので、ある程度失敗してもリトライできる(余った分は旧製品にでも流用?)。

収録編成はJ2・7・12・15編成と当然プラグドアの編成であり、どれを選択しても実車と相違する部分はない。


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トミックスのF編成にもインレタが付属する(画像クリックで拡大)。基本的にはJ編成と同じだが、屋根上の号車番号は収録されていない(実車にないため)。こちらは1セットでフル編成ということもあり、1枚しか用意されない。

F1・3・4・5編成が収録され(プラグドア車ではF2編成だけがない)、こちらもどれを選択しても実車と相違する部分はない。


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マイクロエースには行先表示のステッカーが付属する。これはJ編成のもので、収録内容は「のぞみ・新大阪」「ひかり・東京」「こだま・東京」の3種。フル編成で揃えれば2枚用意される。


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こちらはマイクロエースF編成に付属のもので、収録内容は「のぞみ・東京」「ひかり・岡山」「こだま・名古屋」とJ編成と異なる。晩年は山陽新幹線での運用は少なかった300系だが、「岡山」を入れたのはJR西日本所有車ということを意識したのだろうか。


禁煙マークについて、マイクロエースは下記の「2006年3月〜2011年3月」の通りに印刷されている。

  • デビュー時〜1996年3月 1・2・7・8・12・13・14号車が禁煙車
  • 1996年3月〜2001年10月 1・2・5・6・7・8・9・12・13・14号車が禁煙車(5・6・9号車追加)
  • 2001年10月〜2006年3月 1・2・5・6・7・8・9・11・12・13・14号車が禁煙車(11号車追加)
  • 2006年3月〜2011年3月 1・2・4・5・6・7・8・9・11・12・13・14号車が禁煙車(4号車追加)
  • 2011年3月〜引退時(2012年3月) 1・2・3・4・5・6・7・8・9・11・12・13・14号車が禁煙車(3号車追加)

トミックスは禁煙マークがインレタなのでどの時期も再現可能だが、シングルアームパンタ仕様は「2001年10月〜2006年3月」以降が妥当であり、マニュアルもそのように提示している。ちなみに旧製品(下枠交差型パンタ仕様)に流用する場合は「1996年3月〜2001年10月」以前にするのが妥当である。

●印刷品質

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トミックスは形式番号なしになってしまうが(インレタ未施工)、形式番号とJRマークの印刷を比較(一番下は実車)。

JRマークはどちらもくっきりしており、形状も実車に非常によく似ている。前述の通り、トミックスのF編成は青帯と色分けされているもののサイズが大きめ、マイクロエースはサイズは妥当だが青帯と同じブルーという問題点をそれぞれ抱えている。J編成はオレンジの発色も含めてどちらも問題ない。位置については、青帯との距離感から判断するとマイクロエースF編成が一番近い気がする(個体差あるかも)。


マイクロエースは形式番号が印刷済みとなるが、シャープでカスレなどもなく、非常に高い印刷クオリティをもつ。実車の金属の切り文字に合わせて銀色で印刷している上、そのフォントの特徴もよく捉えていると思う。JRマークとの比率もかなり実車に近い。

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号車番号(一番右が実車)も両者よく印刷できているが、ここでもマイクロエースの印刷クオリティが光る。ブルーの地の部分と文字の比率に関しても、トミックスより実車に近いといえるのではないだろうか。禁煙マークも全体的に安定しているように思う。

車椅子マークは実車に対してトミックスは小さめ、マイクロエースは大きめ。しかし、どちらもシャープに印刷できている。マクロ撮影による異常拡大なので普通に見る分には気にならないが(というか見えないし)、こんな細かい表記まで印刷しているのは本当に恐れ入る。


印刷表記類の比較はたいてい、カトーvsトミックスの場合は後者の方が有利に終わることが多いのだけど、トミックスvsマイクロエースとなった今回、極めてハイレベルな戦いになったと思う。

マイクロエースは自ら印刷は得意というだけのことはあり、トミックスの「グレードアップ用」に分類される表記に加え、それにも収録されていない細かな表記も印刷済みであり、印刷品質も総じて高い。カトーの「Ready to Run」にも通じる、ユーザがほとんど手を入れる必要がない点も手軽である。

一方、トミックスは同社他製品と同様にインレタの収録内容は充実しており、全て施せばマイクロエースと遜色ないと思うが、インレタによる施工個所はかなり多く、その手間がユーザを選んでしまいかねない懸念はある(施工後は愛着もわくと思うが)。全く印刷表記がなかった旧製品と比べれば相当な改善であるといえるし、印刷済み個所のクオリティも決して悪くないが、今回は少々相手が悪かったようだ。

●灯火類

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進行方向に応じて、ヘッドライト・テールライトが点灯する。ヘッドライトの光源はどちらも電球色LEDだが、マイクロエースは若干黄味が強い。300系はヘッドライトがそのままテールライトとなる(赤いフィルタをかぶせる)ので、模型でもヘッドライトと同じ光り方となる。

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光量はけっこう差があり、トミックスはヘッドライト全体が光り、ボディとの隙間から光が漏れるほど明るいのに対し、マイクロエースは実車のように奥まった位置で光りながらも、光量は不足気味でかなり暗い。

走行させている場合は特に差が顕著で、トミックスは明るい場所でも点灯していることがはっきり分かるが、マイクロエースは視点を下げて正面がちに見ない限り、点灯しているかどうか分からないほど。

暗いマイクロエースはもとより、ヘッドライトとボディの隙間を除けばトミックスも変な個所からの光漏れはなかった。トミックスは極端に暗い場所だとボディに光の透けが見られたが、通常の明るさなら問題ないだろう。


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実車はこのように4灯点灯するが、模型では両者とも残念ながら表現できていない。


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実車のヘッドライトが奥で光っている図。ヘッドライト全体が光るトミックスに対し、マイクロエースはこの点についてはアドバンテージがある。


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トミックスが全体的に光るのは、表面のヘッドライトが導光プリズムと一体化しているため。プリズムは左右で独立しており、黒いパーツはその押さえである。

一方、マイクロエースはヘッドライト表面のレンズのみがボディに取り付けられ、点灯部分とは分離されていることがわかる。


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トミックスは旧製品(左)も並べてみた。現行品(右)は光源が1つしかないのに対し、旧製品は2つある。


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旧製品はヘッドライトとテールライトの光源がそれぞれ用意されているが(0系や100系と同じ設計)、設計上光り方が偏ってしまっていた。


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その点、現行品は光源が1つにまとまり偏りは解消している。光漏れ防止の黒いパーツも新たに製作されたことがわかる。


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光源はLEDが1つだけ・・・実はこのLED、1灯で電球色と赤色を賄えるという何気にスゴイものである。

同社の0系や100系などのグレードアップにも使えそうだが・・・残念ながらASSYパーツは用意されておらず、マニュアルでも修理対応と書いてあった。

秋葉原の電子パーツ屋でもこんなの見たことがないが、LEDだけでも容易に入手できるなら改造用として重宝しそうだ。


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マイクロエースはコクピットと一体化した光漏れ防止パーツの先端にプリズムが出ている。見ての通り、実は4灯点灯する設計にはなっているのだが、ボディ側のライトレンズで歪められてしまい、残念ながらその設計が無駄になってしまった感がある。


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マイクロエースの光源はチップ形LEDで1枚の基板の両面に実装されている。写真にあるオレンジのチップがヘッドライト用で、テールライト用は裏側にある。

こちらも光の偏りは一切ないが、プリズムまで結構距離がある上に、プリズム自体も長さがあるため、最終的な光量が不足してしまっているのではないだろうか。


トミックスは走行時などの光量は十分ながら、4灯点灯は最初から諦めている感じだし、実際にはあまり気にならないが、ボディとの隙間から光が漏れているなど、基本的には20年前の旧製品の設計そのままであり、やはり古さは隠しきれていないようだ(LEDなどに改善も見られるが)。

一方のマイクロエースは20年の設計差を見せつけるものになったかというと・・・残念ながら半端な4灯表現になってしまい、頑張ったが力及ばずといった感じである。また、工学設計が複雑になった結果、光量も不足してしまったように思う。

やはりNゲージサイズの4灯表現は難しいということだろうか。特に300系のような形状だと、手品のような工学設計が必要なのかもしれない。

●車内表現

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両者ともJ編成で、右から普通車・グリーン車・動力車。実車同様、普通車は2+3列シートとなっている。300系は普通車・グリーン車ともにシート生地の色が同じなので、模型でも特に色分けされていない。

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グリーン車のシート比較。トミックスは肘掛の表現がないベンチシート(?)だが、マイクロエースはグリーン車の幅広肘掛も再現。ちなみに、トミックスのシートパーツは100系と共用である。

色合いはオレンジに近く明るいトミックスに対し、マイクロエースは落ちついたブラウンという感じ。同社お得意の(実車とは違う形状だが)枕カバー塗装も施されておりリッチな印象だ。

マイクロエースはなぜか右側のシートの背が若干低い。壁状のものは室内灯の押さえ用。


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普通車は2+3列になっている以外、グリーン車と全く同じ。トミックスは普通車も100系パーツの流用となる。


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JR西日本が所有するF編成はシート生地の色がグレーであるため、模型でもそうなっている。写真は普通車だがグリーン車も同様。パーツもJ編成と全く同じだ。

3列シートはトミックスが写真左側にあるのに対し、マイクロエースは右側となぜか異なっているが、理由は後述する。


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トミックスのN700系等で採用されている仕様であるが、マイクロエースは床板とシートパーツが別パーツになっているのでシートの位置をずらすことができ、車両(号車)に応じてシートパーツを作り分けずに済んでいる。


300系レビュー432

マイクロエースは普通車の7号車とグリーン車の10号車が動力車なので、シートパーツもそれぞれ作り分けている(普通車同士で動力車にすればいいのに、というのは野暮なツッコミか)。

動力車はシートの別パーツ化は不可能なので作り分けるしかないのだが、「どうせ専用設計するなら」ということだろうか、車端部にあるトイレ・洗面所などの壁を再現している。ボディをかぶせてしまえば全く見えないのだが、非常に奥ゆかしくて面白い。


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室内灯パーツはトミックス・マイクロエースで互換性があるが、トミックスは元が古い製品なので、室内灯はいわゆる「幅広」と呼ばれる古いもの、マイクロエースは新しい「幅狭」を使う。そのため、室内灯の集電スプリング受けの形状が異なっている。

マイクロエースの集電スプリング受けの形状は近年のトミックス製品と同じものだが、トミックスが古いタイプで、マイクロエースが新しいタイプというのは皮肉に感じる。


300系レビュー434

トミックス(上)は客室とコクピットまでが一体化しているため、運転台コンソールの色も違ってしまっている。マイクロエース(下)は光漏れ防止パーツ側にコクピット表現があり、客室とは分離されている。

ここで客室内に注目すると、2+3列の配置が逆になっている。写真は1号車のもので、実車では海側(写真右側)が3列になるのでマイクロエースが正解である。

トミックスは1号車と16号車で室内(というかボディ以外)を共用・反転させているだけなので、基本的には博多寄りにシートが向いている中、16号車のみ東京寄りを向いているのだが、なぜか他の号車と揃って博多寄りを向いている1号車が間違っていて、逆向きの16号車は正しいという結果になっている。

マイクロエースは別パーツであることを活かし、全号車博多寄りを向いているため3列シートの位置は海側で揃っている。


300系レビュー435

グリーン車(上から8・9・10号車)の窓とシートピッチの関係。

トミックスはシートパーツが1種類なので、8号車以外はズレてしまってる。9号車は逆向きに見えるが、これでも他の号車と同じ向きである。

マイクロエースはシートが別パーツであることを活かし、動力車(10号車)も含めて揃っている。


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普通車(号車失念)も同様にトミックスはズレがあるが、マイクロエースはズレ皆無ではないけどかなり揃っている。

塗装の項では触れなかったが、窓と青帯の位置関係も微妙に違うことに気付いた。ここはトミックスの方が実車に近いかもしれない。高さも安定しているし。


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室内灯を装備し点灯させると(トミックスの白色タイプを使用)、J編成(上)とF編成(下)のシート色の違いが外からでもわかるようになる。トミックスの方がシートが明るく見えるが、室内灯取り付け向きにより光源位置が異なる(トミックスは手前側、マイクロエースは奥側から照らしている)ためだ。マイクロエースは枕カバー表現が効いていると思う。

トミックスはベンチのようなシート表現、100系パーツを流用している上に作り分けもないので窓とシートの位置が合わないなど、設計の古さを考慮してもチープと言わざるを得ないようだ。300系の窓は小さいので、覗き込まない限りはトミックスの表現でも十分といえば十分だが、それでもマイクロエースはトミックスの問題点をほとんど解消しており、室内に関してはトミックスより優れていると判断してよいだろう。

マイクロエースはシートが別パーツになっていたり、室内灯が幅狭だったり、言ってみればトミックスの最新仕様を採り入れているわけで、それに対し本家のトミックス製品が古いゆえに苦戦(?)しているのは皮肉に思えた。

最後に、灯火類の項も含めてのお願いであるが、くれぐれも安易な分解は避けていただきたい。工作の心得がなかったり、自己責任でできない人は分解しない方が無難である。


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