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カトー 200系東北・上越新幹線 レビュー |
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トミックス 200系「大宮開業30周年記念号」レビュー(2) |
トミックス 200系リニューアル車 レビュー |
トミックス 200系東北・上越新幹線 F編成 レビュー |
トミックス 200系東北新幹線 H編成 レビュー |
2015年3月、トミックスから200系F編成が発売された。製品構成は以下の通り。
品番 | 商品名 | 両数 | 商品形態 | 価格 |
92879 | JR 200系東北・上越新幹線(F編成) 基本セット | 6 | ブックケース | 17,800 |
92880 | JR 200系東北・上越新幹線(F編成) 増結セット | 6 | ブックケース | 15,400 |
200系のもっともスタンダードな姿でありながら、製品に恵まれなかったF編成全盛期をリニューアル車製品をベースに製品化。
基本セット6両と増結セット6両というオーソドックスかつシンプルな製品構成。もちろん12両編成を順に並べ替え可能。動力車は4・6号車(どちらも226-1000)の2両に設定。リニューアル車製品と同じパンタカバーのパーツが付属する。
今回取り上げる200系「F編成」は大宮暫定開業時から存在する「E編成」に対し、1985年の上野開業に備えて増備されたグループである。12両編成でビュフェなどの接客設備は同じながら最高速度を240km/hに引き上げ。使用するパンタグラフを削減するため、現在の新幹線車両では当たり前となった「高圧引き通し」を行っているのが外観上の差異となっている。
F1〜F21編成の21本が登場し、車両は240km/h対応の1000番台となったが、F4編成以降は先頭車が定員を増やした1500番台となり、ビュフェ車も一部小窓が省略されるなどのマイナーチェンジを受けており(こちらは番台変更なし)、F1〜3編成とは差異がみられた。これら純正のF編成のほか、E編成を240km/h対応に改造編入した編成、100顔の先頭車(200番台、2000番台)に置き換えた編成、275km/h対応編成、長野新幹線対応編成など多彩なバリエーションが存在し、まさに標準的かつ最大勢力であった。
しかし、その後は2階建て車を組み込んだ16両編成のH編成、山形・秋田新幹線開業の関係で分割併合装置を組み込んだ10両編成(当初は8両編成)のK編成などへ改造・組み換えが行われ、廃車も含めて徐々に数を減らしていく。そして2007年5月、F19編成を最後にF編成は消滅した。
200系の製品は今日まで各社から多数発売されているが、F編成はマイクロエースが発売していただけだった。最初の製品はF19編成をプロトタイプとしていたが先頭車が0(1000)番台というエラーがあったり(出荷数が少なく入手困難でもあった)、その後の製品は100系顔先頭車(200番台)のF8編成、100系顔先頭車に置き換えられる直前のピンストライプ塗装F52編成といささかマニアックで、もっともスタンダードなF編成は製品に恵まれているとはいえなかった。
その意味では、今回紹介するトミックス製品は先頭車が1500番台、ビュフェ車の小窓が省略されたF4〜21編成という、マイクロエースのF19編成以来のもっともスタンダードなF編成を再現した製品といえる。外観上は運転室側面窓の固定化、パンタカバー取り付け、一部パンタグラフが撤去された1994年以降の姿をプロトタイプとしている。
ただし、製品自体は2013年に発売されたK47編成およびリニューアル車の製品がベースで、一部車両(両先頭車とビュフェ車)のボディを新規制作しただけのものである。というわけで、今回は新規制作された車両を中心にその差異を紹介するだけの簡易なレビューとなってしまった。以前公開したK47のレビューとリニューアル車のレビューにも目を通していただけると助かる。
まずは今回新規制作された両先頭車(221形、222形)を比較してみる。といっても変化があるのは先頭部だけだ。
今回製品の基礎となったK47編成のほか旧製品とも比べた。今回製品は222形で撮影してしまったがご容赦を。
床下を共用することもあって前面窓周辺以外の造形はK47編成と同じだが旧製品も大きな差はなく、30年前の段階でも優れた造形だったことがわかる。ただ、K47編成もそうだけどボンネットのハッチが薄いかな。モールドはあるけど写真では写らなくなってしまった。
K47編成から大きく変わったのは前面窓周辺となるが、今回製品は同社の0系大窓車のようにヘッドライトのリムがボディへの印刷表現になったので印象が変わった(K47編成はヘッドライトに照明が反射してしまった)。なお、下回りは旧製品→K47編成→今回製品で流用しているパーツなので全く変化はない。
リムがボディ側に印刷された関係で、ヘッドライトの穴はK47編成よりも小さくなっている。K47編成や旧製品はリム込みの大きさであることの証左だろう。写真は省略したが今回製品のヘッドライトも3次曲面になっているので正面から見ると少し横に引っ張られているような形状になる。また、0系大窓車では内部構造に大きな変化があったが、今回製品はプリズムのヘッドライト部分のサイズが変更されただけである。
ヘッドライトの光源は電球色LEDで、今回は両先頭車で色の違いはなかった。
光前頭の色は・・・0系もそうだが、実車は個体差があるので解釈次第なところがある。今回製品は左の実車(2002年撮影)の色に近いかも。なので問題ナシ。
旧製品と前面窓周辺を比較。今回製品の前面窓は側面が固定化されたタイプになっていて、トミックスでは初モノである。側面の客用窓もそうだが、K47編成譲りの高い透明度をもつ。また、窓上の手すりの位置が変更されたり、窓周辺のエッジがシャープになっていることもわかる。
側面窓の固定化が行われた時期が明確に示された資料がないのでなんともいえないが、鉄ピクの200系特集記事を見る限りは1991〜1992年ごろに順次行われたようだ。これまでは入手困難なマイクロエースのF19編成製品にしかなかったが、今回製品のパーツを使えば従来製品のK編成などに流用できるかも・・・ということで分売よろ。
前面窓上の手すりの位置。今回製品で適正化されたことがわかる。
改めてK47編成を見ると、検電アンテナの根元に窪みがあることを発見。
改めて実車の写真を探ってみると、リニューアル車の実車に窪みがあったことに今更気づく。今回製品ではなくK47編成とリニューアル車のレビュー追記になってしまうが、きちんと再現されていることをお知らせしようと。
両先頭車と同じく新規制作されたのがビュフェ車237形。K47編成・リニューアル車には存在しなかったためだが、それより前の製品には存在していたのでやはりボディのみ新規制作である。
筆者の所有品の都合で、旧製品は2000番台として発売されていたピンストライプ入りになっているが、海側は左のビュフェ部分(厨房)の小窓と右の客用扉脇にある電話室の小窓が、今回製品では省略されてF4〜F21編成(237-1004〜237-1021)の仕様になっていることがわかる。ちなみに、H編成に暫定的に組み込まれていた237形はすべて0番台なので旧製品の小窓付きで正しい。
旧製品の優れている点として、厨房側(東京寄り)の空調装置がやや大きいのを再現している(反対側は通常サイズ)。今回製品は屋根が別パーツになっているので225形と共用になってしまい、この差異は再現されなくなってしまった。K47編成・リニューアル車にあったビュフェ車からの改造車(225-490)も同様である。
当然ながら、今回製品の237形のモールドは前後の車両に合わせてある(行先表示の表現など)。旧製品と差が目立つのは点検ハッチや雪切室ルーバー、雨どいの太さだろうか。それよりも旧製品のグリーン塗装の乗りの悪さがハンパない件。
印刷は号車番号、JRマーク、グリーン車マークくらいで、車番はすべてインレタ施工となる。
付属インレタはおなじみの内容で、車番、編成番号のほか禁煙マーク等一通り収録されている。編成はF10・12・17・19編成から選べるほか、F17編成から改造された長野新幹線乗り入れ対応のF80編成の編成番号も「付録」として収録されている。
インレタについていろいろ考証してみる。収録されているF10・12・17・19編成について今回製品のプロトタイプとなった1994年以降を追ってみると、1997年にF10編成はK44編成、F12編成はK46編成にそれぞれ改造されている。後年リニューアル改造を受けて数年前まで走っていたことは記憶に新しいが、F編成としての期間は3年程度しかなかったことになる。
F17編成は1998年に長野新幹線対応改造を受けてF80編成となり2004年6月で引退している。今回製品ではF17編成の車番+F80編成の編成番号が収録されているから(車番の変更はなし)、8号車と12号車のパンタと撤去後を入れ替えればF80編成も再現可能・・・といいたいところだけど、小型のパンタカバー(側面がないやつ)を1組、別途調達する必要がある。「おゆまるコピー」は片面取りになるからちょっと厳しいかな・・・
ちなみに、275km/h対応のF90番台編成のうち、F92(元F14)編成、F93(元F16)編成は純粋なF編成に近く、車番等の調達、パンタの位置変更やケーブルヘッド近くの小型カバーを自作する必要はあるが、今回製品をベースにすれば比較的再現しやすいかもしれない。いずれも模型で作る東北新幹線様の資料が詳しい。
F19編成は2007年5月まで生き残った最後のF編成で、基本的な外観は1994年以降ほとんど変化はないが、末期には号車番号がグレー地になったり(200系は緑字が標準)、禁煙マークがピクトグラムになったり表記類に若干変化がある。リニューアル車を除く2005年くらいまでの200系はピクトではないので、今回収録の編成ではF19編成が唯一の対象車ということになるが、それに対応したインレタがしっかり収録されており抜かりない。面白いのは3・10号車のみグレー地の禁煙マークが用意されていることで、これはおそらく2007年3月の全車禁煙化の影響だろう。廃車まで2ヵ月程度しか無い状況だったのでマークも急造だったと思われる。なお、マイクロエースのF19編成は発売時期の関係で禁煙マークがピクトではなく、現在のところ今回製品が唯一F19編成末期を再現できることになる。
また、以上のことからF10・12・17・80編成とF19編成の2005年くらいまでは外観や表記類に大きな変化はなかったといえるだろう。
前述のとおり、今回製品は一部ボディが新規制作されただけなので室内パーツも従来品と全く同じである。可動幌用のスプリングが付いているのも同じ。色はK47編成やリニューアル車とは異なり普通車・グリーン車ともにグレー1色である。1994年以降の実車がそうだったのかはちょっとわからなかった。
既存製品をベースに一部車両を新規制作しただけのバリエーション展開なので、概ね長所・短所はK47編成・リニューアル車製品に準じていることから、今回はあまり書くことがなく終わってしまった。
とはいえ、今回新規制作された先頭車両を見ると0系大窓車もそうだったけど、やはりヘッドライトのリム表現があると引き締まって見え、良い改良だと思った。本音をいえば、K47編成・リニューアル車の段階でやってほしかったけど・・・今回製品にも不満はなくはないが、K47編成のレビューで書きつくしたから改めては書かない。むしろ、これまで200系F編成は入手しづらく、出来が微妙なところもあるマイクロエースしかなかった状況が改善されただけでも良しとしていいのかもしれない。安定しているといえばそうなので、F編成全盛期が欲しい人にはまずまずの良製品といえるだろう。
最後にいい加減しつこいが(苦笑)、そろそろH編成も期待したい。先頭部も修正するとなると、100系の新規制作リニューアルが必要か・・・だったら、この際100系を0系大窓車クオリティでリニューアル、その勢いで200系H編成も!
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