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トミックス 923形「ドクターイエロー」レビュー |
カトー 923形3000番台「ドクターイエロー」レビュー |
マイクロエース E926形「East-i」レビュー |
マイクロエース E926形「East-i」工作編 |
マイクロエース 922形・922形10番台レビュー |
2013年5月、マイクロエースからE926形「East-i(イースト・アイ)」が発売された。製品構成は以下の通り。
品番 | 商品名 | 両数 | 商品形態 | 価格 |
A8470 | E926系新幹線電気軌道試験車・East-i 6両セット | 6 | ブックケース | 23,000 |
製品の詳細はアーカイブ(別窓)も参考にしてほしい。
東北新幹線などJR東日本の新幹線区間で活躍する試験車「East-i」が待望の発売となった。
6両編成ということもあり、シンプルな1セット構成。試験車ゆえに行先表示等がなくステッカーなども用意されないが、灯火類のON-OFFに使うプラ製のドライバーが付属する(写真右下のスリーブあたりにある)。
E926形「East-i(イースト・アイ)」は新幹線電気軌道試験車であり、東海道・山陽新幹線で活躍する「ドクターイエロー」と同種の検測車両である。かつては東北新幹線系統にも200系スタイルで黄色に緑色のラインの925形「ドクターイエロー」が存在していたが、その後継車はE3系ベースとなり、車体色も白に赤い帯となり愛称も「East-i」と一新。車体が小さいE3系ベースなので山形・秋田新幹線の在来線区間の検測も可能であり、いわゆる「長野新幹線装備」も備えているため、JR東日本の新幹線区間は全線走行・検測することができる。
そんな「East-i」だが、同世代の923形「ドクターイエロー」と比べると知名度やインパクトは一歩譲る感が否めず、模型もなかなか製品化されなかったが、ようやくマイクロエースからリリースされることに。ベースとなるE3系製品を持つカトーかトミックスではなく、マイクロエースというのは意外な感じするが、同社は922形「ドクターイエロー」や、「East-i」の在来線版 E491系「East-iE」といった試験車の製品化実績があるので、同社らしいともいえるかもしれない。
当初発売予定は2013年4月で、1ヶ月程度延期されたことになるが、発表とほぼ同時に試作品が上がっていたくらいだったせいか、同社にしては延期期間は短かったといえる。国鉄型が多い同社の新幹線製品の中でもJR形は珍しく、今回は300系よりもさらに新しいモチーフである。ミニ新幹線車両も同社初。なにかと注目すべき点が多い製品だと思う。
というわけで早速製品レビューといきたいが、この製品単体で見るだけではなく、やはりベース車との比較は欠かせないと思うので、カトー・トミックスのE3系にも参加してもらった(ていうか、E3系のレビューも早く書こうよ・・・)。
基本的に1号車(東京寄り先頭車)をサンプルにした(E3系は都合により反対側の先頭車も使用)。
最近の新幹線にしてはシンプルな先頭形状な「East-i」とE3系。造形に関しては三者とも大きな差はないと思うが、前面窓の大きさやヘッドライトの位置、または塗装の違いにより、「East-i」はもとよりE3系同士でも雰囲気は結構異なる。カトー・トミックスともに、E3系は連結機構が備わっている関係で、ノーズ部に若干段差が感じられる。
今回製品と実車を比べてみると、ヘッドライト・検測窓の位置や大きさ、塗装とのバランス。なかなか「East-i」しているのではないだろうか。
先頭部側面の比較。やはり全体的なシルエットには大きな違いは感じられないが、細かく見ていくと・・・
まず前面窓。マイクロエースとトミックスはラインがそれぞれ若干違うものの、先頭部と車体側面とのエッジ部分にガラスの縁が達しているのに対し、カトーはエッジまで達しておらずガラス面積が小さいことがわかる。
スカートから台車にかけての、斜めの切り欠きラインはマイクロエースはやや傾斜が立ち気味。車体中央寄り(写真右側)の切り欠き形状も異なるが、これは「East-i」が1号車なのに対し、E3系は16号車だから・・・詳細は後述しよう。
スカートやスノープラウ部分、トミックスは別パーツなのでパーティングラインがある。この三者の中では最も設計が古い(マイクロエース2013年、カトー2007年に対し、2000年発売)のでやむを得ないかも。マイクロエースはスノープラウ部分のみ別パーツで、カトーはボディからスノープラウまで一体となっている。
全体的なシルエットはどれも実車に似ているといってよさそうだ。前面窓の大きさやラインはトミックスが近いと思う。
台車部の切り欠きについては、マイクロエースはやはり傾斜が立ちすぎている気がする。また、屋根上の架線測定器横にあるヒレの表現も、もう少し強くてもよさそうだ。
スノープラウの終端位置はトミックスが近いと思う。マイクロエースはこの部分のモールドが弱く目立ちにくいがトミックスよりも後方寄り。カトーは前方寄りである。
一方で、スカート部にあるパネルの継ぎ目のようなものを表現しているのはカトーのみだ。
カトーのE3系はヘッドライトの位置が低い(前方寄り)と言われることが多く、実際その通りなんだけど、ライトの位置だけでいえばそれほど大きな差はないと思う。どちらかといえば前面窓の大きさが効いているようで、前面窓とライトの間隔が広いためライト位置が低く見えてしまうようだ。
余計な(?)塗装が施されていない「つばさ」仕様だと窓ガラスの大きさとライトの位置関係がわかりやすい。マイクロエースのライト位置はカトーとトミックスの中間くらいだろうか。前面窓の前後(上下)サイズはトミックスに近い。
鼻先にあるエッジのラインも若干異なる。マイクロエースはこのエッジが弱くあまり目立たない。
実車の写真も置いておくが・・・個人的には、やはり窓の大きさ、ヘッドライトの位置はトミックスが一番適正かなと思う。
ただし、実車に近いかはともかく、デフォルメの結果カトーの方が「カッコよく見える」という向きもあるかもしれない。この辺は完全に好みと主観なので、各自でご判断願いたい。
ええと、E3系じゃなくて「East-i」の話だった(w。どちらかといえばトミックスのバランスに近いので、デフォルメよりも実車に似せる傾向が強いと思う。
正面顔の比較。トミックスが少し傾いているのは筆者所有品の個体の問題。
ここにも実車写真置いておくので各自判断を。
写真は震災後の臨時ダイヤで運転されていた単独「こまち」で、東京駅にE3系R編成が先頭で入線してくるのは珍しい(「つばさ」は何本か単独設定があるが)。
E3系&「East-i」のライトには黒い縁が付けられているがカトー・トミックスは省略。今回のマイクロエースが初めて表現したことになる(モールドもある)。赤い塗装に対し、模型でも結構良いアクセントになっていると思う。
前面窓はカトーは窓枠・ワイパーとも印刷のみの表現で、サイドにスモークがかかっているのが特徴。トミックスとマイクロエースの窓枠はモールド+印刷でサイドは透明となっている。大きさは前述の通りカトーは前後(上下)方向に狭く、トミックス・マイクロエースはほぼ同じくらい。ただし、窓上部のRは結構異なる。
マイクロエースの窓は中央にパーティングラインのようなものがあって、一瞬「窓の中央にパーティングライン?なに考えてんの?」とか思ってしまうが、実車の前面窓の内側にはピラーが1本通っているので、それを表現したものだとすれば実は正しい。
このピラーはE3系ではR18編成以降、L編成全車、そして「East-i」に存在するが、初期車のR1〜17編成には存在しない。
実は筆者も今回のレビュー書いている途中でピラーの存在に気付いたんですけどね。ただ、実車でもそう目立つものではないので、模型としての「見た目」は微妙な気がしなくもない。表現オーバーというか。
今回の「East-i」は最新製品にも関わらずコクピット表現がないのが残念。新幹線模型ではトミックスのE2系以来か。不満ならE3系のを「おゆまるコピー(E2系レビューのコラム参照)」するしかなさそうだ。
マイクロエースは前面窓上部のRが強く一定。E3系は塗装があるので分かりにくいが、ここでもカトーの前面窓が小さいことが分かる。
実車はそれほどRが強くなく、マイクロエースのはちょっと大げさかもしれない。
動画から切り出した画像だが、前述した窓内側中央のピラーがハッキリ見える。R18編成以降であるカトーや、リニューアル後のトミックス、両社の「つばさ」もフォローしてやると面白いかも。
乗務員扉と周辺はどれも似たような感じ。カトーは窓枠がないように見えるが、光の反射によるもので他と同様銀色の枠がきちんと存在する。ドアノブのモールドはカトーが一番細かくシャープで、マイクロエースはやや浅い感じ。ドア横の手すりを銀色で塗っているのはマイクロエースのみ。ドア下のステップはカトー、マイクロエースは塗装されているがトミックスは未塗装。しかしモールドが細かいのはトミックスだったりする。
「East-i」の派手なロゴは実車に忠実で、カスレもなく美しく表現されている。「i」の赤色は車体の帯と異なるなど芸が細かい。
「East-i」は試験車なので印刷表記類は号車番号と形式番号くらいしかないが、乗務員扉の窓にある「S51」や、窓下にある乗務員室マーク、右側手すり下にあるATS表記(「P」と表記されている)と、先頭部はそれなりに細かい表記がある。 しかし、マイクロエースはこれまでの新幹線製品では側面下部にある編成番号を必ず表現していたが、今回は「S51」表記が省略されていて、ちょっと同社らしくないところも。
他社E3系はJRマークくらいしかないが、号車番号は客用扉部分にある(「East-i」1号車には乗務員扉しかない)。その他の表記は、トミックスは窓の編成番号、側面下部の編成番号、乗務員室マーク、ATS表記は付属のインレタで表現できる(ただし、2010年リニューアル以降の製品)。カトーは残念ながら写っている状態が全てで、細かい表記類はほとんど省略である(番号に関わるものでなければ、トミックスのインレタを流用可能)。
写真は6号車なので台車横の床下カバーの切り欠きが若干異なるが、「S51」の文字はけっこうきわどい位置にあるので、印刷を諦めたのかもしれない。ちなみに、E3系「こまち」仕様の編成番号はもう少し右側の広い位置(上の写真でいうとダクト右側のパネル)にある。「つばさ」仕様は「East-i」と同じ位置だが、一応トミックスはインレタを用意している。
1号車の乗務員扉周辺を見ると、ほとんどの表記類が忠実に再現されていることがわかるはず。ただし、ステップ下に見えるエンド表記(「A」、反対側は「@」)は省略されている。とはいえ、他社E3系も再現していないし(トミックスのインレタにも未収録)、そもそもエンド表記を表現している新幹線製品自体がほとんどないのだけど。
「East-i」にも客用(?)扉がある6号車後位を比較(E3系は16号車)。客用扉のモールドがもっともハッキリしているのがカトーで、トミックスはややあっさり気味。マイクロエースも同じくらいだが、気になるのはやや段差があり引き戸っぽい点。実車はプラグドアのはずだが・・・扉右側下部にあるドア点検ハッチはどれも四隅のボルトまで再現。カトーはこのボルトを省略することが多いので珍しいといえる。
ドアステップは前述の通りカトーとマイクロエースは塗装してあるのだけど、後者はなぜか銀色で表現しており、E3系と同じ実車のステップと比べると違和感がある。トミックスは未塗装だが、モールドが細かいのは前述のとおりだ。
「East-i」の塗装は特に問題ないだろう(E3系はご覧の通りかなり違うが、これについて触れると長くなるのでいずれまた)。点検ハッチに少し塗り残しがあるが許容範囲ではないだろうか。
塗装に触れたついでに。先頭車の赤い塗装、個体差があるかもしれないが、特に右の6号車は塗装の端が前面窓まで達していないのが残念。
光沢は半光沢レベルで、最近の新幹線模型にしては光沢感が物足りない感じがした。
その他、各号車の海側にある機器搬入口も再現されているし・・・
一部号車山側にある側面のダクトも再現。この車両はこうしたダクトや搬入口が側面にあるので、ドクターイエローより小柄なのにゴツイ感じがする。
ドクターイエローもそうだが、屋根上はこの手の試験車の見せどころといえる。今回の「East-i」も滑り止めのグレーのラインがメリハリを付けており、なかなか見栄えしていると思う。
E3系と比べると、カトー・トミックスは滑り止めのパターンでは塗ってなく、屋根全体でグレー表現としているので、メリハリという点では「East-i」は抜きんでているようだ。
なお、トミックスには一応滑り止めのパターンでザラザラのモールドはある。マイクロエースはモールドはあるがザラザラなし。カトーはモールド自体がない。
実車はこんな感じ。今回製品はメリハリと実車への忠実度をある程度両立できていると思う。
この製品はヨドバシで購入したのだけど、青い矢印の部分、ハッチのような個所に一部塗り残しがあるが、購入時にわざわざ「これは仕様です」と説明を受けた。メーカーから通達があったとのことだが、個人的にはこの手の塗り残しはよく見るのでそこまでしなくても、という感じが(苦笑)。まあ、不満なら近似のグレーでタッチアップしてやればよかろう。
また、黄色の矢印部分は車体の白で表現しているが、これについても一つ言及しておきたい。
左は日暮里で撮影した動画を切り出したもので、上から順に見ていくと黄色矢印の部分に架線もしくは架線柱が写り込んでいる。 2枚目はその位置が少し変わり、3枚目で消えている。周辺はそのままだから「影」ではないはずだ。
おそらく、先の黄色矢印の部分、実車は鏡みたいになっているのではないだろうか。実際に動画を見ていると「写り込んでいる」ようにしか見えないのだ。
秋葉原で撮影しても同様で、左側(手前)と右側(奥)で色味が違っている。その意味では、マイクロエースの白というのは少々物足りない気がする。銀色で塗装するとか「メタルック」とか貼ってやると、さらにメリハリが出るのではないだろうか(メタルックは試したら難しかったので訂正。詳しくは次ページの工作編で)。
ただ、「鏡のように」というのは、あくまでも筆者が動画から判断した推測なので、本当にそうなのかは保証できない。その辺割引いて読んでいただけると助かる。
両先頭車の運転室直後には架線測定装置がある。左(6号車)と右(1号車)で配置が前後している点もきちんと再現。
ここには点灯ギミックがあるのだけど、今回製品が出る以前から「East-i」を自作されている凄腕サイト「模型で作る東北新幹線」様によれば、この部分はカメラ(丸)と赤外線レーザー(四角)であり、本来は点灯しないとのこと。
実車の架線測定装置を見ると、確かに(少なくとも丸いカメラ部分は)点灯していないことがわかる。マイクロエースがこのことを知っていたかどうかは定かではないが、点灯ON-OFFスイッチ(後述)を備えていることを考えると、あくまでもデフォルメや演出のために点灯させているのだろう。不満なら消してねと。
「光る」ことに納得して改めて見てみると、その光り方は見る角度により結構ムラがある。1粒1粒がビシッと光るような精密感はハッキリいって無い。
裏側はこんな感じ。透明なグリーンとオレンジで着色されたプリズムがあるだけだ。
そこに車体側から1つのLEDで照らすというプリミティブな方法なので光が拡散せず、ムラが出るのは当然といえる。電球色っぽいLEDはかなりの高輝度なので直接見ないように。
ヘッドライトのあたりまで黒いカバーが覆っていて遮光は良く考えられているが、コクピット表現がないのは前述のとおり。
パンタグラフに目を移すと、パンタの色はトミックスに近いことが分かるが、マイクロエースは材質が少々安っぽく、ガイシもパンタと同じ色なので少々チープに見える。
カトーとトミックスは同じE3系なのにパンタの位置やカバーの長さが若干異なっているが、トミックスはE3系「つばさ」仕様に合わせているのに対し、カトーは「こまち」「つばさ」で作り分けているから。後者の方が「こまち」仕様として正しい。
それにしても、カトーの車体は白というより完全に「グレー」。
信じられないかもしれないが、左の写真はパンタグラフを目いっぱい上げている状態。シングルアーム仕様の300系もあまり上がらなかったが、今回製品は輪をかけて上がらなくなってしまった。同社には新幹線用のシングルアームパンタはまだまだまともに作れないということか(下枠交差型もあまり褒められたものではないが・・・)。今後も新しい形式を手掛けるつもりなら、早急に改善してほしいと思う。
下はカトーで正直差がありすぎ。トミックスは写真を省略したが、同じくらい上がる。一応、マイクロエースのも(難易度は低くないが)ユーザ側での調整は可能。詳細は次ページの工作編で。
サーチライトを備えた4号車のパンタ周辺はなかなか派手。サーチライトの形状のせいか、ドクターイエローよりもアナログな感じする。ピンクのパンタグラフと相まって編成中でも見栄えするが、パンタ観測窓は窓が空いておらず印刷表現なのが残念。
筆者は窓、開けてしまったけどね(次ページ)。
実車のパンタ観測窓にはカメラも見える。マイクロエースはこういうの好きそうなんだけどなあ。サーチライトは全体的に向きがバラバラな気が。実車は向きを変えられるのだろうか。
パンタの色はマイクロエース・トミックスの蛍光ピンクみたいに派手ではなく、もっと落ち付いた感じのピンクである。カトーはカトーで色が濃すぎる気がするけど。
サーチライトは点灯する。同社の922形ドクターイエローでも実現していたギミックで、カトーのドクターイエローも点灯するから、もはや珍しくはないかもしれないがやはり見栄えする。
この4号車は動力車なので通電させると動いてしまい(w、撮影はなかなか苦労した。モーターが動き出すところを寸止めで。
サーチライトの裏側はこんな感じ。カトーのドクターイエローは精密感があったけど、こちらは結構プリミティブな造り。表ではちゃんと点灯するので、これで特に問題はないのだけど。
サーチライトは黄色○にあるスイッチを操作することでON-OFFが可能。動力車なので車外からアクセスする方法がなく、どうしてもボディを開ける必要あるのだけど・・・この製品、動力車のボディを外すのが難しく(筆者の個体だけ?)、このスイッチの操作は非推奨。とういうか、正直なところ室内灯の取り付けすらやめようと言いたいくらい。今回のレビュー用にボディ外したら、床下を固定するツメが一部折れてしまったよ・・・それでも分解するのであれば、くれぐれも慎重に。
ついでに室内表現も見てしまおう。ドクターイエローと同様、実車は常にブラインドを下ろしているが、カトーのようなブラインド表現はせず、車内は号車ごとに作り分けている。実車に忠実なのかどうかはわからないけど(乗れないし・・・)、同社らしい作り込みだと思う。
室内灯の組み込みは可能だが窓が少ない検測車。効果はどうかな。
ヘッドライトを正面から見ると、なんか眠そう(w。ヘッドライト下の赤外線投光器(というらしい)も点灯するようになっているが、これもいまいちクッキリしない。ヘッドライトのカバー自体がプリズム状になっているので、拡散してしまうのかもしれない。その一方で、やや上から見るとクッキリすることもある。
ヘッドライト・赤外線投光器ともに白色LEDとなるがやや青味が強い印象。テールライトを含めて光量は並み。
実車のヘッドライト部分は基本的にE3系と同じはずで、外側のHIDはもう少し青白い感じの時もあるような。赤外線投光器はまさに真っ白。模型ではすべていっしょくたに青白くなっているが・・・
それにしても車体が汚い。筆者が「East-i」撮ると、必ずといっていいほど汚れている(苦笑)。
内部的にはヘッドライト・赤外線投光器ともにちゃんとしているので、表面の点灯がアレなのはやはりライトレンズのプリズムが原因だろう。
中央の2灯をクリアーオレンジで塗装したりフィルタかけたりして電球色化するのも面白いと思うが、外部の光り方があれでは・・・
E3系もチェックしてみよう。E4系でも実現しているが、カトーは内側のシールドビームと外側のHIDの色分けを再現しているうえ、正面からでも斜め上からでしっかり光が見えて非常にリッチな印象だ。光量も申し分ない。
トミックスは正面から見ればそれなりだが、色分けはない。また、斜め上からでは見えなくなってしまう。ちなみに、個体差なのか筆者が持っている「つばさ」仕様は激マブの明るさだった。設計が古い割にはよくやっていると思うが、カトーと比べるとやや大味な印象だ。
テールライトはどちらも同じくらい。
両先頭車の先頭台車付近には、屋根上の架線測定装置(ここでは「サーチライト」)とヘッドライト下の赤外線投光器のON-OFFスイッチがそれぞれ用意され、自分好みにセッティングできる。スイッチの操作は付属のプラ製ドライバーを使うが、カトーのドライバーでも可。
4号車のサーチライト操作はボディを外して分解する必要があり、そしてそれをお勧めしないのは前述のとおりだ。
床下はカトー・トミックスのボディ一体型に対し分割式となっていて、東北新幹線系統の模型にしては珍しいといえる。トミックスは400系の床板を流用しているから床下まで一体型ボディなわけで、マイクロエースはそうしたしがらみがないからかもしれない。
モールドを比べるとトミックスはかなりあっさり気味で、同時期の同社製品では標準的なものといえる。カトーはダクト内まで目が細かくビシッとしている。マイクロエースは比較的濃いといえるがやや大味な印象。
いずれも2両目(「Easi-t」は2号車、E3系は12号車)をサンプルにしていて、カトーは右から2・3個目のダクトがやや大きいが、これはプロトタイプとしているE3系後期車(R18編成以降)がそうなっているから。トミックスのプロトタイプR17編成以前はダクトが小さく、「East-i」も同様。ちなみに「つばさ」仕様はL51・52編成が小型、L53編成(未確認だが)は多分大型。L61編成以降は大型であることを確認した。
なお、今回の「East-i」床下のダクトパターンなどは、各号車・海側山側とも実車に忠実に再現されているようだ。
床下下端の曲率は各製品異なり、マイクロエースとカトーは結構絞り込んでいるが、トミックスはあまり絞りがない。実車は結構絞り込んでいる気がするが、模型を普通に見る分にはそれほど差を感じることはない。
マイクロエースの動力車はなにかと床下の幅が広くなる「メタボ動力」が名物(?)だが、今回は車体が小さな「East-i」でもきちんと幅に収まっている。やればできるじゃん。
「East-i」の台車は、3号車の軌道検測台車以外はE3系のものとほぼ同じである。
マイクロエースの台車は悪くはないものの、軸箱が大きめでモールドも全体的に甘め。彫りも深くなく、材質的にもややチープに感じられる。その点、カトーはモールドのシャープさ、全体的なバランスでかなり優れた台車だといえるだろう。トミックスもシャープさやバランスは悪くないのだが、400系の台車の流用なのが残念(軸箱の上に軸ダンパがある)。
余談だが、400系でも増結車(429形)はE3系と同じタイプの台車が採用されている。
3号車は軌道検測台車となっていて、特徴的な2段ヨーダンパももちろん再現。 全体的に似ているとは思うが、他の通常台車と同様、彫の深さがもう少し欲しいところだ。
台車横のカバー切り欠きも形状が異なっている。
細かい点だが、E3系&「East-i」において、実は台車カバー車体中央寄りの切り欠きは2種類ある(黄色○を付けた方が車体中央寄り)。上のタイプを「A」、下のタイプを「B」と呼ぶとして、「こまち」「つばさ」「East-i」、それぞれ海側・山側でパターンの組み合わせがあるので後述しよう。
模型はどうなのかというと、カトーは「こまち」「つばさ」仕様ともに「A・B」のパターンを完全再現。トミックスは「つばさ」は完全だが「こまち」は14号車のみ異なる(「つばさ」14号車とボディ共用のため)。マイクロエースは・・・海側・山側、全号車すべて「A」パターンという結果に。3号車の検測台車横でさえ「A」である。
なお、これも今回のレビューで初めて知ったことである。前面窓のピラーの件といい、調査は大変だがこれだからレビューはやめられない(?)。
おまけとして、E3系&「East-i」の台車カバーのパターンをまとめてみた(パターン「C」は検測台車横のみ)。左が東京寄り。
基本的に、海側は(A-A)、山側は(A-B)が中心で一部(B-B)という感じで、ある程度パターン化されている。「こまち」14号車は前期型では増結車なので海側も(B-B)という例外的なパターンになっているが、当初から6両編成のR17編成以降もそれに合わせてある。
同社の300系ではTNカプラー互換の伸縮式アーノルドカプラーが採用されていたが、今回製品は同社でおなじみの「マイクロエース新幹線カプラー」を戻った。
妻面はシンプルながらローリングダンパのモールドも存在し、まずまずの表現。
以下、連結部のビジュアルを一気に。
ぱっと見でわかってしまうが、マイクロエースはとにかく連結間隔が広い。計測すると6.5〜7.0mmというあたりで、これは同社他製品と比べてもさらに広く、車体が小さいミニ新幹線なので数値以上に広く感じる。とても伸縮カプラーとは思えず、もう少し何とかならなかったのかと思う。
連結部の狭さでは定評があるカトーはさすがといえるもので、マイクロエースの半分くらいに見える。トミックスは伸縮カプラーではないものの、400系も含めて同社のミニ新幹線は車体が小さい分間隔を狭くできるようで(実際5mm切ってる)、結構いい線いっている。
実車の連結部はこんな感じで、外幌の形状や大きさだけは実車に似ているといえそうだ。
ちなみに、「East-i」の外幌はE3系L51・52編成と同じタイプである・・・以下説明しよう。
E3系の外幌は3種類あって、左がR1〜17編成のウレタンタイプ。中央は材質が異なりR18編成以降とL53編成、L61編成以降が装備、車体下部に「小幌」(秘境駅ではない)があるのが特徴で、カトーはそれを忠実に再現。右は材質は中央と同じながら小幌がないタイプでL51・52編成、そして「East-i」が採用している。
幌の間隔が微妙に異なるのは、カーブイン側・アウト側によるもの。東京駅は微妙にカーブしているからだが念のため。
冒頭で書いたとおりマイクロエースらしいニッチ路線であり、JR形で比較的新しく、しかもミニ新幹線だったりとなにかと見るべき点が多い今回の「East-i」。大きく見ればしっかり「East-i」していると思うし、水準は十分満たしている製品だと思う。一方で、あまり力を入れてない感やチープさを感じる部分があったり、ちょっとビミョー(「微妙」じゃなくて「ビミョー」。ニュアンスが伝わるだろうか・・・)な点も多々あって、正直、「褒めちぎる」のは難しい製品であるとも思った。
とはいえ、同社が製品化しなければなかなか手にすることができなかった車両であることも事実。他社のE3系を改造して作ること自体大変なことだし、さらに今回製品と同等かそれ以上の仕上げられる人は限られている。その意味では、完成品が出てきただけでも良しとするべきなのかもしれない。レビューで挙げた不満な点も、根本的なもの(前面窓上部のRとか)は無理でも、手を入ればある程度改善できる点も多いから素性は悪くない。
最近のマイクロエース製品はやたらと高価なのが不満だが、今回製品の定価24,150円はどうだろうか。同じ試験車である923形「ドクターイエロー」は、カトーが22,155円、トミックスは20,790円。これらは7両編成と考えるとやはり割高感は否めないが、トミックスのE3系「こまち」は6両編成で20,790円。それにサーチライトの点灯ギミックとON-OFFまでできると考えると、比較的割安だと思うのは筆者の感覚がマヒしているのだろうか?
それよりも、今回は出荷数の少なさが気になった。筆者が発売日に購入した時も最後の1品。元がレア車でそれほど売り上げが期待できないというのもあるだろうし、作りすぎて在庫がダブつくのも問題だろうけど、それにしても少なすぎじゃないだろうか。今回製品に限らないが、せっかく待望の完成品が出てきても数日で入手困難というのは悲しい。同社は再生産ペースが遅いのでなおさらだ。
マイクロエースの新幹線はこれまで0系、200系といった国鉄型が中心で、昨年はJR形の300系を発売しているとはいえ、どうしても古い形式にラインナップが偏っていた感があるが、「East-i」は比較的新しい車両(それでも10年以上経ってるけどね・・・)。この世代以降の車両も同社が製品化する幕開けになるかもしれない。
とはいえ、新しい車両はカトー・トミックスが実車の運用開始と同時発売するくらいの激戦区なので、なかなか割って入りづらいことも確か。それゆえに古い車両になってしまうのだろうけど、「他社がやらないニッチ路線」ならばまだまだ製品化の余地はある。純粋な試験車である「STAR21」とか「300X」とかはさすがにマイナーすぎるだろうが(個人的には期待している)、一般的な形式の量産先行試作車関係はアリじゃないかと思っている。今回はミニ新幹線も作ったわけだから、E3系R1編成、400系L1編成とか、E2系N21編成に「East-i」の軌道検測車を挟んだ仕様とか(「East-i」の3号車には影武者がいて、一部E2系に挟んで検測が可能)。東北新幹線系統だと、併結ギミックをどうするかが問題だが・・・他には300系J1編成、700系C1編成とかね。もはや願望だけど(苦笑)。
乱暴にいえば、同社製品はどうせ一発売り切りの限定品みたいなものだ。それならば、他社がやらないマイナー車路線に期待したくなる。なにかと(特に製品品質には)不満はあるけど、やはりこういうメーカーがいないと面白くない。
今回のレビューを見て、同社はJR形もそこそこやれると思うか、やっぱり駄目だと思うかは各自判断をお任せしたいが、個人的には大きな期待はしないながらも、より精進してラインナップを拡充してほしい・・・今回の「East-i」は、そんな期待を十分持てる製品であると思った。
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