●収納性

カトー・トミックスともに、フル編成を2つのブックケースに収納することが可能である。

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カトーは4両増結セット(左)と、8両増結セット(右)がブックケースである。


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4両増結セットには4両分を収納するスペースが用意されている(ウレタンに切り込み入っているのでそれを抜く)。そこに基本セットの4両を収めることで、16両フル編成を2つのケースに収納することができる。

ウレタンの切り欠きの関係で、号車順に並び替えることはできない。


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トミックスは増結セット(左)Aと増結セットC(右)がブックケースである。N700系の写真が載っているスリーブは簡単に外せる。


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増結セットA、Cともにそれぞれ3両づつ収納するスペースが用意されている(ウレタンを抜くのはカトーと同じ)。そこに基本セットと増結セットBのそれぞれ3両を収めることで、16両フル編成を2つのケースに収納することができる。車両の横にある細いスペースに入っているのは付属パーツ。

2つのケースにわたり、1〜16号車の順で並び替えることができる。


いずれもスマートに収納できるし見た目も美しいが、車両の収納位置は異なる。

カトーは8両増結セットは買ってきたらそのままで、4両増結セットのケースに基本セットの4両を入れることになるが、車両を入れる位置はあくまでも決まっているということ。ウレタンの切り欠きの関係で、先頭車2両は必ず4両増結セットのケースに入ることになる。

一方、トミックスは2つのブックケースに8両づつ収納できるが、5・12号車の位置にパンタ車が来てもいいような切り欠きになっているため、1つ目のケースには1〜8号車、2つ目のケースには9〜16号車に並び替えることができる。

カトーはウレタンの切り欠き位置が決まっているから、どうしても編成順にはならない。先頭車とパンタ車以外はどのようにも放り込めるし、N700系は号車番号が大きく、屋根にも号車が印刷されているから実用上困ることはない。ただ、個人的には号車順に並ぶトミックスのほうが直感的で分かりやすく美しいと思う。

ところで、トミックスには非常に褒めたいポイントがある。

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カトーの基本セット。外箱は紙の化粧箱なのだが、内部はプラスチックの単品ケース4つが入っている。N700系に限らず、500系や700系も同じ構成。


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トミックスの基本セットは紙の化粧箱なのは同じながら、内部は切り欠きのある発泡スチロールというシンプルなもの。これも同社他製品の基本セットと同様の構成である。上の小さな窪みは付属パーツが入る。


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3両入りの増結セットBも、基本セットと同じ紙の化粧箱+発泡スチロールという構成である。従来ではこのセットに相当するものはカトーの基本セットのように、紙パック+単品ケースだったのだが…


これだけ見ると、プラスチックの単品ケースに収められたカトーのほうが高級感があり、トミックスにはチープな印象を受けると思う。しかも、従来は単品ケースだった増結セットBも発泡スチロールになっているので、ますますケチな印象を持たれても不思議ではない。

しかし、両者ともフル編成をブックケースに収められるのだから、他のセットのパッケージは不要になる。その意味では紙パックと発泡スチロールなので躊躇なく処分できるトミックスに比べると、カトーの単品ケースは立派なだけに処分に躊躇してしまう。無駄なケースが余るわけだ。

実はトミックスも過去の製品ではカトーのように紙パック+単品ケースというセットもあって、やはり行き場を失ったケースが大量発生していた。こちらのケースも立派なので処分をためらうし(筆者だけ?)、小物入れ程度には使えても置き場に困る代物であったことは確かだ。

その点、このN700系では増結セットBが発泡スチロールになったことで、無駄な単品ケースが出なくなった。これは「無駄をなくそう」という発想だったのか、単なるコストダウンなのかは不明だが、結果的には筆者は非常に高く評価しているポイントである。

基本セットだけで楽しむユーザもいるだろうから、それに対する高級感を出すのも悪くはないが、発泡スチロールでも収納には困らないはずで、むしろ近年のフル編成志向を考えたらその方が無駄もなくて合理的なのは明らかである。カトーのN700系は基本セットのケース4つが無駄になるのが残念だが、最近はE231系(在来線)などのセットを見ていると、カトーも発泡スチロールに移行しつつある。エコだなんだと振りかざすつもりは毛頭ないが、このような「もったいない」をなくしていこうとするメーカーの姿勢は歓迎するし、これからも続けてもらいたい取り組みである。

●付属品

付属品については、以下のような構成となっている(スリーブや注意書き等は除く)。

まずカトーから。

製品 付属品
基本セット(4両) マニュアル
4両増結セット(4両・ブックケース) マニュアル・セット名表示シール
8両増結セット(8両・ブックケース) マニュアル

ユーザが買ってきてすぐに楽しめる「Ready to Run」がコンセプトなので当然といえば当然なのだが、カトーはとにかく付属品が少ない印象だ。

4両増結セットに付属する「セット名表示シール」というのは、ケースには"N700系新幹線「のぞみ」4両増結セット"と印刷されている上に貼って、"N700系新幹線「のぞみ」"に変えるもの。基本セットが入っているのに「増結」はないだろという人向けのアイテムといえる。ちなみに、トミックスもケースが2つとも「増結」になるのは同じなのだが、あちらはケースのジャケット自体を入れ替えることができるので、メーカーも特に意識はしていないようだ。

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ケースの色に揃えられたシールが付属する。背表紙用も用意される。ソフトビニールのケースにシール(表面がプラスチックの高級トランプのような質感?)を貼るのだが、質感の違いは…また、このシールを貼ると品番などが隠れるが8両増結セットはそのまま。少し中途半端な印象ではある。


続いてトミックス。

製品 付属品
基本セット(3両) マニュアル・屋根上パーツ(パンタ車投光器+位置決め治具)・動力台車取り付け補助棒
増結セットA(5両・ブックケース) マニュアル・インレタ・屋根上パーツ(3号車高圧線ジョイント+位置決め治具)
増結セットB(3両) なし
増結セットC(5両・ブックケース) マニュアル・インレタ・屋根上パーツ(パンタ車投光器+位置決め治具)・動力台車取り付け補助棒

こちらはすでに述べたようにインレタや屋根上パーツが付属する。同社としては平均的な付属品の量である。増結セットBのように付属品が一切ないセットも存在するが、他のセットの付属品でカバーできるので問題ない。フル編成で購入すればインレタも屋根上パーツも2つづつとなり、実質スペアがあるということで安心感がある。

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再掲だが屋根上パーツの図。上が「3号車高圧線ジョイント+位置決め治具」、下が「パンタ車点検用投光器+位置決め治具」。パンタ車用はもうひとつ付属するので、ぞれぞれのパーツは1両分づつスぺアが存在することになる。


屋根上パーツはセットにより付属内容が異なり、パンタ車が含まれる基本セット・増結セットCは点検用投光器、3号車が含まれる増結セットAは高圧線ジョイントが付属する。

写真は掲載しなかったが「動力台車取り付け補助棒」というのが動力車が含まれる基本セット・増結セットCには付属する。メンテナンス等で動力台車を外し、取り付ける際に用いるプラスチックの棒で、通電カプラー付き動力台車はこれがないと確かに取り付けが難しい。

ところで、この補助棒は筆者は1つしか持っていない。実は基本セットに付属しているはずなのだが、初期のロットは欠品状態で市場に出回ったらしく、後にメーカーのサイトでお詫びとして通知していた。このとき申請すればメーカーから送ってくれたが、同じものが増結セットCにも含まれていたため、筆者を含めてこのセットを買った人には問題なかったようだ。現在出回っているロットはおそらく問題ないと思う。


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