800系の模型はカトーとトミックスから発売されている。
2004年3月に九州新幹線が暫定開業(新八代〜鹿児島中央先行開業)し、800系が同時に営業運転を開始することとなったが、カトー・トミックスともに同年11月には製品化しており、かなり早い展開だったといえる。カトーはU002編成、トミックスはU003編成をプロトタイプとしたがバリエーション的には同一の仕様であり、完全に競作となった。
時期的に側面に「つばめ」ロゴが掲げられた初期の姿を再現し、先頭部の形状などに両社の味(解釈)がそれぞれ出ている。800系は車体に細かなレタリングが多数施されていて、表現が細かくなるNゲージにはきつい車両といえるが、両社ともきちんと再現。ただし、印刷精度はトミックスに軍配が上がるようだ。
カトーは他形式の従来製品から大きく仕様が変わっておらず堅実な印象を受けるが、トミックスは同社の新幹線模型としては初採用となった伸縮式のTSカプラーを新開発。レタリングなど全体的な表記類が細かすぎるのか、編成・形式番号は特定の編成のものが印刷済みでインレタよる選択ができないなど、ある意味同社らしくない製品となった。
6両編成と手ごろなためか、トミックスは発売当初よりバリエーション展開が豊富で、通常製品と同時期にU005編成を限定品として発売している。内容的には編成・形式番号の変更(通常版U003編成→U005編成)、6両1セットに製品構成変更、パッケージデザインの変更(通常版赤基調→白基調)といった程度で、大部分は通常版と変わらない(後年、N700系R2編成限定品で同じような商品展開をしている)。
また、九州キオスク名義(トミックス名義ではないので品番は未設定)でU001編成の限定品も発売されており、こちらも模型自体は編成・形式番号を変更しただけとなるが(U001編成はパンタ周辺に検測機器があるため厳密には実車と異なる)、特製パンフレットなどの付録が多数同梱されたコレクターズアイテム的な製品となっている。出回りが少なかったのか、ヤフオクなどの中古市場ではプレミア気味である。
2011年3月に九州新幹線が全線開業すると、800系は「つばめ」だけでなく「さくら」にも充当されることとなり、側面の「つばめ」ロゴは新しいロゴに変更された。また、全線開業に備えて増備された新800系(U007〜009編成)に合わせて多目的室を設置、一部窓が埋められるなど外観に変化が生じた。この動きにいち早く対応したのはカトーで、同年7月に従来品をベースに新ロゴに変更し「さくら・つばめ」として発売。多目的室が設置された5号車も新規製作された。
2013年1月にはトミックスからも新ロゴに変更された後の旧800系に加え、新800系(1000番台)が発売された。プロトタイプはそれぞれU004編成、U007編成となり、基本的な仕様は共通。大きな変更点としてTSカプラーをやめて通電カプラーに変更されたが、ボディの新規製作が面倒くさかったのか可動幌への変更すら行われず、外幌がない30年前の仕様が採用された。その他、ロゴやレタリングの印刷が一部省略化されるなど、カトーや旧製品よりも見劣りする個所も多く、残念な製品となってしまった。
カトーからは今のところ新800系の製品化予定はなく、実車の増備計画もないことから、ひと段落したと思われる。現時点の発売済み製品をざっと見てみると、
U003編成が重複しているが、実車が9編成しかないことを考えると模型化率はかなり高いといえるだろう。一方、模型になっていないのはU006・008・009編成ということになる。個人的には、トミックスの旧800系はU004編成ではなくU006編成にしてほしかった・・・旧800系のうち、U006編成のみ外幌が黒いという違いがあり(U001〜U005編成は白、U007〜U009は黒)、カトーのU003編成と差別化できると思ったので。しかし、実際に発売された製品は外幌が省略されたため、そんな期待は無駄になってしまった。
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