実車について |
模型の概要&製品ラインナップ |
比較レビュー1 序・先頭形状・車体各部表現 |
比較レビュー2 屋根上・パンタ周辺 |
比較レビュー3 塗装・灯火類・室内 |
比較レビュー4 床下・連結部分・ギミック |
比較レビュー5 全形式比較 |
比較レビュー6 収納性・付属品 |
比較レビュー7 総評 |
トミックス E4系新塗装 レビュー |
比較レビューに用いる製品は以下の通り。
手前がトミックス、奥がカトー。特異な形状がよく再現されている。
トミックスはBセットを所有。コンスタントに再生産されたBセットに比べ、Aセットは再生産がなく入手しづらい時期の購入だったので(Aセットは2009年7月にようやく再生産)、手っ取り早くBセットで揃えたためである。
実車のバリエーションが無いに等しいため、プロトタイプは同じにならざるを得ず完全な競作となっている。カトーはP21編成をプロトタイプにしているのに対し、トミックスは特定の編成をプロトタイプにしていないが、インレタで編成を選ぶため編成の重複は避けることができる(6編成から選択可能)。
後に発売された、トミックスの新塗装はこちらで紹介。
各製品ごとの詳細は「模型の概要&製品ラインナップ」ページから「アーカイブ」を参照してほしい。
E453形(東京寄り先頭車)をサンプルとした。
両者共に、E4系のユーモラス(?)な雰囲気をよく表現できているといえる。
全体的な形状はほぼ同じながら、カトーは車高が若干低く、その分ノーズも低い。先端部(連結器カバー)もやや鋭いし、塗装の強い光沢も相まってトミックスとは少し印象が異なる。
普通に見るだけではどちらが実車に近いかを判断するのは難しく、好みが出るほどの差はないと思う。
ところで、実車ではあまり見る機会がないせいか、斜め上から見るE4系は案外カッコイイすね・・・
後方から見た印象も大きくは変わらない。カトーは乗務員扉上部から黄色の塗装にかけてパーティングライン(プラの継ぎ目)が少し見えるが、実用上は気にならないレベルである。
真正面から見ても、どちらも実車の雰囲気を良く再現できていて好印象。後述するがライトの形状に少し差があり、トミックスはややツリ目。タレ目(?)がちな分、カトーの方が若干ファニーフェイスな印象だ。
トミックスBセットは連結器装備(左)と非装備(右)の先頭部があるが、非装備側もカバーは別パーツになっているので見た目の差はほとんどない。
カトーは実車よろしくカバーが割れる仕組みなので、上の真正面からの写真のように段差が出ることがあるが、写真が非常に拡大しているからで普通に目視する限りは気にならない。
全体的な形状は同じながら、カトーはラインが少し直線的なのに対し、トミックスは滑らかな曲線を描いている。また、大きさはカトーの方が若干大きく、トミックスはややツリ目。
どちらもパーツのはまり具合はよく、ボディにきちんと馴染んでおり、出っ張りすぎたり引っ込みすぎたりすることはまったくない。
実車と比べると・・・うーん、どっちも正しいような気がするな。
結局、カトーとトミックスで解釈の差はあるし、比べて見れば差異もわかるが、先頭形状全体からすればそれほどの差はないということだろうか。
狐につままれたような気がしなくもないが(w、どちらも違和感を感じない以上、そうとしか言えない。
前面窓の形状・大きさはほとんど差がないが、トミックスは窓枠部分でガラス(透明プラ)の厚みが目立つ。先頭形状比較の写真でもわかるとおり、光の当て具合によってはプリズム状になってしまい、窓枠自体が光ってしまうことがある。カトーはガラスパーツにややスモークがかかっているため、見る角度により透明になったり黒くなったりするが、ガラスの厚み対策は上手いようだ。
窓を分割するピラーやワイパーは両者とも印刷で表現。ピラーはカトーは正面から見てやや逆ハの字になっているが、実車と比べた場合はまっすぐなトミックスの方が近い気がする。また、トミックスは窓の下端までくっきりと印刷できている。ワイパーの位置は両者ともどっちつかずで、カトーは上方すぎるしトミックスは下方すぎという感じ。実車のサイド窓部分はスモーク処理されているが、両者とも表現していない。
カトーはプロトタイプとした「P21」の編成番号が印刷されているが、トミックスは付属のインレタから編成を選択、ユーザが施工・表現するため印刷は省略されている。
上方から見ても差は少ないが、ガラスの厚み自体はカトーの方が厚いようだ。トミックスはサイドの部分がボディからはみ出して見えるが、前述の通り窓ガラスの厚みがそう見せてるだけで、きちんとボディとツライチになっている。
運転台のコンソールはカトーの方が前方寄りで、メータークラスターの形状(モコモコ具合)も表現が強い。マスコン・ブレーキハンドル・シートの形状や位置、表現の強弱なども差があって面白い。
オレンジのラインがメーラークラスターの先端、黄色のラインが前面窓上辺の位置。トミックスの方が実車に近く、カトーはかなり前に出ていることがわかる。
カトーが間違っているというより、あくまでも演出を重視したと考えたい。
カトー、トミックスともに、E4系の複雑な形状を忠実に再現できているといってよいだろう。
ライトの形状や、塗装の光沢や窓ガラスの厚みなど細かい部分での差はあるし、造形もおそらく全く同じではないはずだが、結果的に両者とも違和感を感じないのはデフォルメ=味付けの妙なんだろうか。たいていはデフォルメの差で少し雰囲気が違ったりするものだが、E4系については好みが出るほどの差はない。それだけ、両メーカーが上手くまとめているということではないだろうか。
実車だとなかなか見ることがない視点を楽しめるのは模型の特権だが、「癒し系(?)」のE4系も斜め上から見ると意外とカッコイイことに気づく。これもハイレベルな造形あってのものだろう。
扉の位置関係や窓の大きさに大きな差はないが、全体的にカトーはモールドが深く、離れていてもわかりやすいのが特徴。乗務員扉は上端と比べてサイドの隙間が大きいのだが、カトーはそこも表現。一方、トミックスは単純なラインで表現しているのみ。
乗務員扉の窓枠はどちらも銀色が入っているが実車と比べると太めな印象で、カトーの方が表現が強い。トミックスは下端の塗装が欠けているように見えるが、筆者所有個体の問題だと思う。
大きさはほぼ同じだが、雨どいの表現や窓枠のエッジはやはりカトーの方が強く、シャープな印象である。
ここもカトーの表現が強い。形状的にはどちらも問題ないが、やはり窓枠は太め。ただ、Nゲージではこのくらい表現が強い方が見栄えすることもあるので、デフォルメとして妥当な線かと思う。
客用扉下部脇にあるドア点検ハッチは・・・ご覧の通り、トミックスは省略されているのではと思うくらい薄い。左の写真でもかすかに見える程度だが、露出などの撮影条件は両者まったく同じである。
トミックスはモールドが薄めなだけでなく、塗装でボッテリ埋もれてしまっている感じである。カトーは正面からでも問題なく写るが、トミックスは少し斜め方向から撮るなど、光の当て方を工夫しないとまともに写らないほど。
モールド自体はカトーでは省略されている四隅のボルトもきちんと表現しているし、目視ならば見えないこともない。そもそも細かい部分なので走行させる場合などは気になる個所でもないのだが、E2系など他の製品ではこのような例は見られないだけに惜しい。
2階建て車ならではの平屋部分の機械室。E4系では2・3号車間、6・7号車間の海側で、写真のような機械室のハッチを見ることができる(見た目は2・3号車間、6・7号車間ともに同じ)。
カトーとトミックスでは車体長が若干違うので一概には言えないが、客用扉との距離感などからすると、大きさについてはトミックスの方が実車に近いようだ。また、ハッチ周囲のモールドは珍しくトミックスの方が深い。実車はシールされているのか黒いラインが目立つので、模型でも黒を入れると側面が引き締まるかもしれない。角のRについては、カトーの方が近いようだ。
右側のハッチ(3・7号車側)にあるルーバー(通風窓)のモールドは、深くて細かいカトーに対してトミックスはやや大味な印象。大きさはどっちつかずで、実車に対しカトーは小さめ、トミックスは大きめである。
左側のハッチ(2・6号車側)には小さなハッチが付いていて、ハッチを留めるボルトの数が両者で異なっている。カトーはボルトが少なく、トミックスは多い。
実車の写真はP8編成(左)とP19編成(右)で、実車編で述べたとおり、P10・11編成を境にボルトの数が異なっている。参考にしたプロトタイプが異なるというだけであり、どちらも間違っているわけではない。
トミックスの1号車山側、5号車山側車端には2つのハッチがある。実車編で述べたとおり、このハッチはP21・22編成のみにあるので、トミックスは同編成をプロトタイプにしたのだろうか?しかし、付属インレタにはP16編成以前しか収録されていないし、4・8号車の海側車端にあるはずのハッチがなぜか存在しない。
一方で、カトーもP21編成をプロトタイプに・・・という割には、同編成の特徴である車端ハッチは表現していないし、前述の機械室ハッチもボルトが少ない方をチョイスしているなど(P21編成はボルトが多いタイプである)、ホントにP21編成をプロトにしたの?と意地悪なツッコミをしてしまったり。
どちらも中途半端で釈然としないものがあるが、細かい部分だし全体的にE4系の雰囲気を損ねるものでもないので、気にしたり突っ込んだりするのは野暮なのかもしれない(自分でソレ言うか)。
他のモデルでもそうだが、カトーは走行中など離れて見ることを重視している傾向があり、結果的にモールドを強めにすることがあるが、E4系も例外ではないようだ。とはいえ、決して大袈裟な表現ではなく、非常にバランスのよいモールドになっていると思う。
一方、トミックスは一般的には問題ないレベルのモールドだし、部分的にはカトーより繊細な表現もあるのだが、白と黄色の部分はともかく、ブルー(紫苑ブルー)の塗装が特にボッテリしており、モールドが埋もれてしまっているのは残念。生産技術的な問題だと思うが、もったいない。
両者ともE4系としての表現には問題ないが、模型のバランスとしてはカトーの方が一歩抜きんでている印象である。
窓の大きさや形状は両者ほぼ同じ。ガラス(透明プラ)の平面性・透明性も良好である。ガラスとボディとの関係はカトーはやや奥まり気味で、トミックスはツライチに近いがガラスの厚みが感じられる。この辺は両社の他のモデルにも言える特徴を踏襲している。
カトーの奥まり具合は遠目に見る分にはあまり気になるものではなく、エッジが立っているのでトミックスよりシャープに見える場合がある。
窓の内側にあるブラインド用のレールも両者表現されている。当然車内側にモールドで表現されている。
左の写真は階下席からの撮影だが、防音壁が高い東北新幹線ではほとんど地下鉄状態ですな。寝てるのがベストかも。
車端部平屋部分や客用扉の窓ガラスも同じような感じで、カトーの奥まり具合やトミックスのツライチだがガラスの厚みが感じられる点が分かると思う。カトーは段差はあるものの、段差部分にも比較的塗装がまわっているためか、それほど違和感を感じない。
トミックスは連結方式により可動幌というパーツが車内に入ってくるが、E4系は一部を除き車端部に窓がなく、2・4・6号車の車端部(平屋の客室)の窓もそれほどシビアな位置にはないので、トミックスの可動幌製品にありがちな、車端の窓ガラスが省略されているということはない。
1枚の窓ガラスパーツで車端から2階席・階下席までカバーするのは両者同じ。カトーはガラスにややスモークがかかっていて、トミックスは無色透明となるが、これも他モデルで見られる特徴である。
トミックスの屋根裏にある黒い板は室内灯を取り付けた場合の遮光板となる。
ボディとの段差やガラスの厚みなど、他のモデルでも見られる特徴を踏襲しているものの、両者ともNゲージとしては全く問題ないといってよいだろう。
無難なコメントで申し訳ないが・・・だって本当に問題が見当たらないんだもん(w。
トミックスは行先表示・座席表示共にオーソドックスなガラス表現だが、カトーはどちらも印刷済みとなっている。
一番下の実車写真がグリーン車になってしまったので客用窓の大きさには差があるが、そこから比較した場合、行先表示機の大きさはトミックスの方が適正で、カトーは少し大きいように思う。座席表示は両者同じくらいだが、実車より少し大きいかもしれない。
位置的には両者ともまったく問題ないといっていいだろう。座席表示機は客用窓中心より少しずれた位置にある点も忠実に再現されている。
最近は行先表示などを印刷済みにするカトーだが、この後発売されたE3系、N700系が車体に印刷しただけなのに比べると、E4系は車体に少し窪みがついていて好感が持てる。座席表示や号車表示も同じように窪みがある。
在来線の模型も含めて、近年のカトーは「Ready to Run」という、買ってきてすぐに楽しめるように行先表示などを印刷済みにしているが、E4系は新幹線では最初の印刷済み製品となる。
印刷済みということはユーザが変更する余地もなくなるわけで、行先表示のステッカーが付属していて、ユーザが貼るのが当たり前と思っていた発売当時は結構大胆な仕様だなと思った。最近はユーザも工作をあまりしないようなので(ステッカー貼り程度のものを「工作」なんていったら、ガチ工作派から怒られるか)、カトーの判断ではこの路線でよいということなのだろう。E4系は車体に窪みがあるが、その後は窪みすらなしに印刷しているので、少しさびしい気もするのだが・・・
トミックスは変更の余地があるといえるが、伝統的に行先表示ステッカーなどは付属しないので、サードパーティのステッカーを使うか自作して表現するしかない。実車の走行中は消灯しているので、裏から黒で塗りつぶすのも表現方法の一つではある。
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