●屋根上表現

実車編も見ていただきたいが、カトー(1000番台)とトミックス(0番台)では屋根上の仕様がかなり異なるので単純比較は難しい。一応、可能な限りで気付いた点をピックアップしてみた。

●滑り止め表現

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屋根上の滑り止め(作業員が歩くための目印)は実車同様グレーで塗装されている(カトーはグレーがやや明るい)。

他のモデルでも見られる特徴だが、滑り止めの表現はカトーは塗装(印刷)のみ、トミックスはザラザラのモールド+塗装となっている。ちなみに、トミックスの塗装は2004年リニューアル品から施されたもので、初期の製品(8両編成の「E2'系」として発売されていた製品)はモールドのみだった。


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カトーの滑り止め車端部は注意喚起の黄色が印刷されている。在来線と異なり新幹線の屋根上はシンプルなので、見た目には結構効いていると思う。簡単に表現できて効果も高いので、ユーザの工作にも応用できるテクニックではないだろうか。


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上が0番台、下が1000番台でともに2・3号車間。0番台にも黄色の注意喚起はあるがトミックスは表現を省略。まあ、E2系に限った話ではないし、屋根上が汚れてくると目立たなくなるのも確かだが。


●先頭車後方(検電アンテナ等)

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先頭車後方には検電アンテナがあるが、東海道新幹線系統の車両とは異なり屋根に埋め込まれている。

そのアンテナ周辺の窪みの形状が異なっている。実車の写真を見るとカトーの方が近く、トミックスのバスタブのような窪みとは異なる。実車編で書いたとおり、J編成の一部にはアンテナ周辺が写真とは異なるものもあるが、それとも違う。E4系あたりでもモチーフにしたのだろうか?


検電アンテナ前方の四角いモールドは無線アンテナとなるが、トミックスは中央に4点のボルト(?)表現があるのに対し、カトーはフラット。ただし、周囲のボルトは表現している。

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先頭車同士比べてみると(左が東京寄り)、カトーは両側の先頭車で同じパターン=実車通りになっているが、トミックスも同じパターンになっている。しかし、実車編で書いたとおり(上の写真でもわかる)、0番台の東京寄り先頭車は「広い」パターンなので実車とは異なっている。先頭車はボディを共用しているわけではないからエラーだろうか。

ちなみに、カトー「あさま」(0番台)は両端の先頭車で滑り止めの表現を分けているようだ。


●高圧線ジョイント

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実車編でも述べたが、E2系1000番台は500系や700系などのように高圧線が屋根上に露出し、連結部は「直ジョイント」という方式で接続するように仕様変更されている。0番台は高圧線が屋根内部に通されているのだが、「はやて化改造」の際に増結した7・8号車が1000番台の仕様になったため、それに隣接する6号車も含めて高圧線が露出し、直ジョイントによる接続が見られる(「あさま」にはない仕様である)。

カトーは少しピンボケ気味になってしまったが、写真はどちらも6・7号車間の連結部である。大きな違いとしては、カトーはジョイントから車端にかけてケーブルがあり、トミックスはケーブルを省略。これは両社の他モデルでも共通して見られる差分である。カトーのケーブルはまっすぐ伸びているが、実車はケーブルに少したわみがある(同社の500系や700系も同じ)。

ところで、トミックスは6号車(左)と7号車(右)で滑り止めの幅が異なっているが、これは実車の通りである。

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トミックスはやや幅広だがジョイント自体の形状はほぼ同じ、位置はトミックスが若干車端寄りとなっているが、気になるような違いではなく、誤差レベルといってよいだろう。


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1000番台はパンタ車との連結部は高圧線のケーブルが屋根下にもぐっているため、ジョイントの形状が異なっている。

カトーは当然そうなっているが、妻面にケーブルが通る横長の穴がきちんと表現されていて芸が細かい。


E2系_0412

パンタ車との連結部だが、ケーブルが屋根下で渡されているのが分かるだろうか?


●高圧線終端処理

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8号車東京寄り車端にある終端処理。大きさは若干異なるが形状はほぼ同じ。台状になっている部分の滑り止めもちゃんと表現。

違いがあるのは台状の部分からリターンする高圧線で、トミックスは車端に向けてストレートだが、カトーは実車のように車体中心方向に曲げている。ただし、妻面まで回すのは難しかったようで(たぶんカプラーの問題)、中途半端に切れてしまっている。


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この終端処理は0番台、1000番台も同じ(写真は0番台)。「あさま」仕様では見ることができない。


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1000番台の2号車東京寄り車端の終端処理。こちらも曲線を描いて妻面に通されているが、やむを得ないが中途半端な位置で途切れている。実車同様に滑り止めが少しオフセットされているのは芸が細かい。


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なお、0番台は6号車のパンタカバーまでしか高圧線が露出していないので、トミックスにはこちらの終端処理はない。また、「あさま」仕様にもない。


●ケーブルヘッド

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4・5号車間は東海道新幹線系統の車両ではおなじみの(?)傾斜型ケーブルヘッドで高圧線を渡している。1000番台(しかもJ54編成以降)で見られる仕様なので、今回はトミックスはお休みである(カトーはJ68編成)。

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ガイシ(白い巻貝みたいなパーツ)自体は他のモデルからの流用なので若干ずんぐりしているが、傾斜部の角度や形状はなかなか近いと思う。ただ、周辺の滑り止め表現は少々歪みがあってラフかも。

トミックスは先頭車後方などに実車と異なる個所はあるものの、他の滑り止めのパターンはほぼ実車通りだし、特に増結車(7・8号車)を見ていても極力実車に忠実にしようとしていると思う。

カトーは実車に忠実なこともさることながら、上から見ることが多い模型ではやはり黄色い注意喚起はアクセントとして効いている。これ以降のカトー製品はこうした塗装による屋根のアクセントを重視していく。

そもそも実車の時点で仕様の差異が大きい両者だが、概ね実車を忠実に再現していると思うし、大きな不満を感じることはないのではなかろうか。

●パンタグラフおよび周辺

こちらも結構差がある(というか全然違う)のだが一応比較。サンプルはどちらも6号車。

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実車と同様、カトー(1000番台)は基底部が低騒音ガイシになっているシングルアームパンタ、トミックス(0番台)は大型の防音カバーに覆われた、オーソドックスな下枠交差型パンタとなる。

カトーのパンタは当然折りたたみができるが、トミックスはエッチング製の固定式なので折りたたみができない。ただし、2010年リニューアル後の製品では可動式パンタに変更されたため、折りたたみが出来るようになっている。

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カトーは最大で左の写真くらいにリフトできるが、もう少し低く抑えた方が見た目のバランスはよさそう。パンタの横にある謎の凹凸(パンタカバーの準備工事?)はモールドがかなり強く、表現オーバーな気がしないでもない。

トミックスは固定式となるが、リフトしたときの形状自体は完全な菱形になっていて悪くない。E4系の記事でも書いたが、可動式の菱形パンタはかなり細かいので、ビシッと立てるのは案外難しかったりする。


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カトーのパンタ車の写真だが、上が4号車、下が6号車となるがパンタの向きはもとより、滑り止めのパターン、車端方向にある四角く盛り上がった部分、高圧線がもぐる部分など微妙に差がある。


E2系_0422

これは実車(上が4号車、下が6号車)でも見られる差異だが、4号車と6号車はパンタと反対側の車端にケーブルヘッド有無があるからボディはそれぞれ専用設計になるとはいえ、きちんと作り分けているのはお見事と思った。


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トミックス(カトー「あさま」もだが)は0番台の特徴である2両にわたる大型パンタカバーもきちんと再現。カバー側面に四角い穴がモールドされているが、海側だけに存在するのも実車の通りである。

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0番台ではパンタカバー車端部に高圧線を引き渡すためのガイシが直立しているが、付属の別パーツを取り付ける必要がある。編成中使うのは4本で、その割にはパーツ数は多いのでスペアには困らないが、細かいので慎重に取り付けたい。全部回収できたが、筆者も何度ピンセットでパーツを飛ばしたことか(苦笑)。

トミックス「あさま」もパーツの取り付けが必要。カトー「あさま」は最初から取り付けられているようだ。


カトーのパンタについては特に問題がないのでコメントはないが、トミックスは少しフォローを。

E4系パンタの記事も併せて参考にしていただきたいが、トミックスE2系は2010年リニューアルで可動式パンタに変更されたものの、基本セットは固定式パンタのままであり、増結セットBに付属する可動式パンタに交換する必要がある、という点は注意したい。他の製品では見られない手法ではあるが、紙の化粧箱に入った基本セットはスターター向けという扱いなのだろう。初心者でも扱いやすい固定式を採用したようである。

固定式パンタは設計が古いパーツだし、なんだかチープな印象があるかもしれないが、誰が扱ってもビシッと形が決まる手軽さも見逃せない。トミックスE2系「はやて」の基本セットはE4系のBセットとコンセプトが似ているといえよう。

なお、現行の製品で固定式パンタを採用しているのはトミックス「はやて」の基本セットのみで、フル編成で販売されている「あさま」は最初から可動式パンタが装着されている。また、トミックスの可動式パンタは固定式と取り付けに互換性がある上、パーツの入手性も比較的良いので、2010年リニューアルより前の製品でも容易に可動式パンタに交換できる。

最後に、カトー「あさま」は当初より可動式パンタが採用されている。


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