●概要

E5系とH5系の模型はカトーとトミックスから発売されている。

初のE5系製品であるカトーの製品化発表は2010年12月(同月発売のカタログ表紙もE5系)で、翌年の3月発売予定とされたのだが、量産先行試作車S11編成が1年以上前から走っていたとはいえ、プロトタイプとなる量産車の入線と同時期の発表であり、発表が早かったとか以前に無謀感すら感じられるスケジュールだった。試作品の発表もなかなかされず、東日本大震災やそれに伴う計画停電の影響も心配されたが、予定通り2011年3月25日に無事発売された。量産車はS11編成から大きく変わることがないことを前もって知っていて、早くから製品開発に着手していたのかもしれない。これ以降、実車のデビューと同時期に模型を発売するというスケジュールが確立されつつあり、後のE6系もそれに準じている。

一方、トミックスは同時期のE5系発売を見送った。実車の話題性が高い時期を逸してしまった感があったが、当時のE5系量産車は3編成しか存在しておらず、カトーとのバッティングを避けたと考えられる。また、同時期に営業運転を開始していた、山陽・九州新幹線用のN700系(S・R編成)を発売しているため(こちらはカトーがスルー)、無理にE5系を発売する必要がなかったのかもしれない。

しかし、新幹線に熱心なトミックスが東北新幹線の主力となる同車をいつまでもスルーし続けるとは思えず、発売は時間の問題ともいえた。そして同社の2013年のカタログで相方E6系と共に製品化発表。しかし、ミニ新幹線であるE6系の方が先の発売という、これまでにないパターンとなっている

同社のE5系の発売がここまで後回しにされたのは、プロトタイプの選定を迷っていると予想していた。E5系量産車は2013年1月現在、約20編成ほど登場しているが仕様上の変化がなく、カトーとバッティングしてしまう。その一方で、試作車のS11編成は先頭部の客用扉などに差異があり、量産化改造後のU1編成をプロトタイプにして差別化すると踏んでいたのだった。しかし、後の仕様発表では初回限定品を含めて量産車をプロトタイプにすることが確定。筆者の予想(願望ともいう)は見事に外れ、カトー発売から2年以上経過した2013年11月に発売となった。E6系もトミックスの後追いだったが、ここまで期間が空いたのは初めてのことだ。

2016年春に北海道新幹線が開業したが、JR北海道所有のH5系がかなり早くに登場して試運転を行っていたとはいえ、模型は開業から半年以上も早く2015年7月に発売された。車体は同じで塗装とロゴマークが異なる程度なのでE5系のバリエーション展開といえるが、とうとう開業時どころかその半年以上も前に発売される事態に。その後はカトーからもH5系が発売されることになったが2016年9月発売と、E5系とは異なりトミックスよりも出遅れることになった(ていうか、トミックスの早さがチートレベルなだけだけど・・・)。

今後は実車に大きな仕様違いが出てくれば新たな製品が発売される可能性があるが、N700系のように80編成も在籍しながら仕様差がほとんどない例もあるためなんともいえない。とはいえ、E5系は今後も30編成以上の増備が続くし、H5系も含めて「これからの車両」である。模型も息の長い製品になるはずだ。

●製品ラインナップ

カトー
E5系新幹線「はやぶさ」
発売日:2011年3月25日
発売区分:新製品
プロトタイプ:U2編成
量産車のトップナンバーU2編成がプロトタイプ。実車の運転開始からほどなく発売された。メタリックグリーンのボディが華やかで派手な印象だが、同社名物オープンノーズカプラーを採用しないなど、使い勝手を重視した堅実な面も併せ持つ。
カトー
H5系 北海道新幹線 <はやぶさ>
発売日:2016年11月25日
発売区分:新製品
プロトタイプ:H3編成
同社のE5系をベースにしたH5系製品。公式的にボディの流用がアナウンスされているが、同社のE5系は初期型なのでパンタ周りなどが実車と異なることになる。セット構成などもE5系に準じたものになる。
E509
カトー
E5系新幹線「はやぶさ」
発売日:2020年11月27日
発売区分:新製品
プロトタイプ:U4編成
従来製品をベースに実車の現在の姿を反映。偶数号車普通車の大型荷物置き場設置による窓埋めが再現され、行先を「新函館北斗」に変更。編成プロトタイプはU2→U4編成に変更される。
E511
カトー
E5系新幹線「はやぶさ」
発売日:2023年10月31日
発売区分:新製品
プロトタイプ:U4編成
2020年11月に発売された製品の価格変更版(変更されたのは増結セットのみ)。プロトタイプがU4編成であることなど、模型の仕様は従来製品と同じ。
E513
カトー
E5系新幹線「はやぶさ」
発売日:2025年2月予定
発売区分:リニューアル
プロトタイプ:U3編成
同社E5系の従来製品をベースに、奇数号車の窓埋めを追加した製品。屋根上滑り止めのグレー塗装や「Treasureland TOHOKU-JAPAN」ステッカーははない模様。プロトタイプがU4→U3編成に変更。モーターも新型に変更される。
E514
カトー
H5系北海道新幹線「はやぶさ」
発売日:2025年2月予定
発売区分:リニューアル
プロトタイプ:H1編成
同時発売のE5系をベースにH5系に仕立てた製品。従来製品同様、H5系としては一部ディテールが異なる。プロトタイプがH3→H1編成に変更。こちらは行先表示機の印刷はなく、ステッカーが付属する。セット構成も変更されている。
トミックス
JR E5系東北新幹線(はやぶさ)
発売日:2013年11月29日
発売区分:新製品
プロトタイプ:U編成
量産車がプロトタイプで、細かく見るとU5〜20編成に相当する。通電カプラー+可動幌の連結方式やインレタによる編成選択など、同社の標準的かつ手堅い製品仕様になっている。格納式TNカプラーによりE6系との併結運転が可能。
トミックス
JR E5系東北新幹線(はやぶさ)
発売日:2013年11月29日
発売区分:特別企画品・限定品
プロトタイプ:U21編成
こちらは初回限定品で、模型自体は通常品と同じながら、U21編成の車番が印刷済みで特製外箱入りの10両フル編成となっている。
トミックス
JR H5系北海道新幹線
発売日:2015年7月25日
発売区分:新製品
プロトタイプ:H編成
通常品は基本セットにH1編成の車番が印刷済みとなる。模型自体はE5系に対し帯色・ロゴマークに違いがある程度だが、セット構成が異なりややスターター向けな印象。E6系との併結運転にも対応している。
トミックス
JR H5系北海道新幹線(はやぶさ)
発売日:2015年7月25日
発売区分:特別企画品・限定品
プロトタイプ:H2編成
こちらは初回限定品で、模型自体は通常品と同じながら、H2編成の車番が印刷済みで特製外箱入りの10両フル編成となっている。
E507
トミックス
JR E5系東北新幹線(はやぶさ・増備型・Treasureland TOHOKU-JAPAN)
発売日:2017年3月24日
発売区分:特別企画品・限定品
プロトタイプ:U編成
2016年から1号車と10号車にロゴマークTreasureland TOHOKU-JAPAN」 が貼りつけられた姿を再現したセット。基本仕様は従来製品と同じだが、外幌が黒い増備型(U28編成以降)がプロトタイプとなっている。
E508
トミックス
JR E5系東北・北海道新幹線(はやぶさ・増備型)
発売日:2019年3月23日
発売区分:新製品
プロトタイプ:U編成(U28編成以降)
同社の従来製品をベースに、外幌が黒いU28編成以降で後年偶数号車への荷物置き場設置による窓埋め(塗装表現)が実施され、1号車と10号車に「Treasureland TOHOKU-JAPAN」ロゴが貼りつけられた姿がプロトタイプとなる。
E510
トミックス
JR E5系東北・北海道新幹線(はやぶさ)
発売日:2022年10月21日
発売区分:新製品
プロトタイプ:U編成(U28編成以降)
従来製品をベースに「最新状態のE5系」にグレードアップ。荷物スペースの増設(窓埋めは塗装からボディへのモールドに変更)、屋根上滑り止め塗装のほか、ヘッドライト周りの構造が変更される模様。セット構成もスターターを意識したものに変更される。
E512
トミックス
JR H5系北海道・東北新幹線
発売日:2024年9月27日
発売区分:リニューアル
プロトタイプ:H編成
2022年10月にE5系製品に対して行われたグレードアップ(荷物スペース窓埋め、屋根上滑り止め塗装など)をH5系にも反映。製品構成は基本と増結の2セット構成に変更された。

●各製品の詳細

カトー  E5系新幹線「はやぶさ」  発売日:2011年3月25日
品番 商品名 両数 商品形態 価格
10-857 E5系新幹線「はやぶさ」 基本セット 3 紙パック 10,500
10-858 E5系新幹線「はやぶさ」 増結セットA 3 ブックケース 6,300
10-859 E5系新幹線「はやぶさ」 増結セットB 4 ブックケース(小型) 7,300
フル編成価格
基本セット×1 増結セットA×1 増結セットB×1 
24,100 円
矢印
東京
新青森
矢印
CarInfoItem1
1号車 E523-2
基本セット
CarInfoItem2
2号車 E526-102
増結セットB
CarInfoItem3
3号車 E525-2
増結セットA
CarInfoItem4
4号車 E526-202
増結セットB
CarInfoItem5
5号車 E525-402
増結セットB
CarInfoItem6
6号車 E526-302
増結セットA
CarInfoItem7
7号車 E525-102[M]
基本セット
CarInfoItem8
8号車 E526-402
増結セットB
CarInfoItem9
9号車 E515-2
増結セットA
CarInfoItem10
10号車 E514-2
基本セット
E5系概要_0101

3つのセットで構成される。中央が基本セット、後ろのブックケース右が増結Aセット(3両)、左が増結Bセット(4両)。すべて揃えて10両フル編成となる。増結セットBはサイズが小さいブックケースが採用されている。

基本セットが3両というのは発売当時のカトーにしては珍しいが、スターター向けを意識してコストを下げたかったのだろう。パッケージ裏の説明を見ても、「まずは基本セットを購入して、増結でステップアップ」と書いてあることがそれを裏付けている。その後、923形ドクターイエローやE6系にもこの路線が継承されている。


実車が営業運転を始めてから間がなく本数も少ない時期での発売のため、量産第1編成のU2編成をプロトタイプに選定。実車の編成を忠実に再現しており、車両は10両分用意され形式代用はない。

動力車は7号車に1両組み込まれているが、基本セットが3両ということで動力車の位置がパンタ付き中間車に制限されるため、カトーにしては動力車の位置がやや偏っている。


カトー  H5系 北海道新幹線 <はやぶさ>  発売日:2016年11月25日
品番 商品名 両数 商品形態 価格
10-1374 H5系 北海道新幹線 <はやぶさ> 基本セット 3 紙パック 10,500
10-1375 H5系 北海道新幹線 <はやぶさ> 増結セットA 3 ブックケース 6,300
10-1376 H5系 北海道新幹線 <はやぶさ> 増結セットB 4 ブックケース(小型) 7,300
フル編成価格
基本セット×1 増結セットA×1 増結セットB×1 
24,100 円
矢印
東京
新函館北斗
矢印
CarInfoItem1
1号車 H523-3
基本セット
CarInfoItem2
2号車 H526-103
増結セットB
CarInfoItem3
3号車 H525-3
増結セットA
CarInfoItem4
4号車 H526-203
増結セットB
CarInfoItem5
5号車 H525-403
増結セットB
CarInfoItem6
6号車 H526-303
増結セットA
CarInfoItem7
7号車 H525-103[M]
基本セット
CarInfoItem8
8号車 H526-403
増結セットB
CarInfoItem9
9号車 H515-3
増結セットA
CarInfoItem10
10号車 H514-3
基本セット

H3編成がプロトタイプ。実車の編成を忠実に再現しているが、ボディはE5系と共用しており塗り替え製品ともいえる。大まかな見た目は同じだが、同社のE5系は初期型(U2〜4編成)であるためパンタグラフ周りや台車カバーなどが実車と異なっている。また、セット構成はE5系と全く同じである。


トミックス  JR E5系東北新幹線(はやぶさ)  発売日:2013年11月29日
品番 商品名 両数 商品形態 価格
92501 JR E5系東北新幹線(はやぶさ) 基本セット 4 ブックケース 13,000
92502 JR E5系東北新幹線(はやぶさ) 増結セット 6 ブックケース 14,800
フル編成価格
基本セット×1 増結セット×1 
27,800 円
矢印
東京
新青森
矢印
CarInfoItem1
1号車 E523-0
基本セット
CarInfoItem2
2号車 E526-100
増結セット
CarInfoItem3
3号車 E525-0
増結セット
CarInfoItem4
4号車 E526-200
増結セット
CarInfoItem5
5号車 E525-400
増結セット
CarInfoItem6
6号車 E526-300
基本セット
CarInfoItem7
7号車 E525-100[M]
基本セット
CarInfoItem8
8号車 E526-400
増結セット
CarInfoItem9
9号車 E515-0
増結セット
CarInfoItem10
10号車 E514-0
基本セット
E5系概要_01021  

基本と増結の2セット構成となるが、基本セット(左)は目立つ紙パックではなく通常のブックケースである。

10両編成なので少し余裕が出てしまうが、ウレタンを入れ替えることで2つのブックケースに号車順に収納できる。5+5にするのが一番無難な気がするが、6+4とかにもできるのでお好みで。


 

カトーの発売から2年以上経過し、実車がすでに20編成以上在籍している時期に発売されたこともあり、カトーがプロトタイプとしている初期のU2〜4編成、台車カバーから吸音パネルが省略されたU21編成の間に生産された、U5〜20編成をプロトタイプとして付属インレタでU7・8・12・19編成から選択可能となっている。いずれも実車の編成を忠実に再現しており、車両は10両分用意され形式代用はない。

動力車が1両で7号車に位置するのもカトーと同じである。編成中心からはやはり偏っているが、E6系との併結を前提とするならバランスの良い位置かもしれない。


トミックス  JR E5系東北新幹線(はやぶさ)  発売日:2013年11月29日
品番 商品名 両数 商品形態 価格
98910 JR E5系東北新幹線(はやぶさ) 10両セット 10 特製外箱+ブックケース×2 27,800
フル編成価格
10両セット×1 
27,800 円
矢印
東京
新青森
矢印
CarInfoItem1
1号車 E523-21
CarInfoItem2
2号車 E526-121
CarInfoItem3
3号車 E525-21
CarInfoItem4
4号車 E526-221
CarInfoItem5
5号車 E525-421
CarInfoItem6
6号車 E526-321
CarInfoItem7
7号車 E525-121[M]
CarInfoItem8
8号車 E526-421
CarInfoItem9
9号車 E515-21
CarInfoItem10
10号車 E514-21

前述の通常品と同時発売された初回限定品。基本的には通常品と同じながら、特製外箱入りの10両フル編成のセットであること、U21編成をプロトタイプとして車番が印刷済みであること、インレタ内容が異なる(編成選択不可)といった差異がある。なお、価格は通常品と全く同じである。

2つのブックケースは当初より10両編成が1〜5、6〜10号車の順で収納されている。


トミックス  JR H5系北海道新幹線  発売日:2015年7月25日
品番 商品名 両数 商品形態 価格
92566 JR H5系北海道新幹線 基本セット 3 紙パック 9,900
92567 JR H5系北海道新幹線 増結セットA 3 ブックケース 7,700
92568 JR H5系北海道新幹線 増結セットB 4 ブックケース 10,400
フル編成価格
基本セット×1 増結セットA×1 増結セットB×1 
28,000 円
矢印
東京
新函館北斗
矢印
CarInfoItem1
1号車 H523-0
基本セット
CarInfoItem2
2号車 H526-100
増結セットA
CarInfoItem3
3号車 H525-0
増結セットB
CarInfoItem4
4号車 H526-200
増結セットB
CarInfoItem5
5号車 H525-400
増結セットB
CarInfoItem6
6号車 H526-300
増結セットB
CarInfoItem7
7号車 H525-100[M]
基本セット
CarInfoItem8
8号車 H526-400
増結セットA
CarInfoItem9
9号車 H515-0
増結セットA
CarInfoItem10
10号車 H514-0
基本セット
E5系概要_0402  

E5系とは異なり、基本セットはスターターを意識した紙パック仕様。増結セットはブックケース仕様で2つ用意されている。10両フル編成を号車順に収納できる点はE5系と同じ。


実車の営業運転開始から半年以上も前から発売された。基本セットにはH1編成の車番が印刷済みで、付属のインレタでは他にH3・4編成に対応。いずれも実車の編成を忠実に再現しており、車両は10両分用意され形式代用はない。


トミックス  JR H5系北海道新幹線(はやぶさ)  発売日:2015年7月25日
品番 商品名 両数 商品形態 価格
98945 JR H5系北海道新幹線(はやぶさ) 10両セット 10 特製外箱+ブックケース×2 28,000
フル編成価格
10両セット×1 
28,000 円
矢印
東京
新函館北斗
矢印
CarInfoItem1
1号車 H523-2
CarInfoItem2
2号車 H526-102
CarInfoItem3
3号車 H525-2
CarInfoItem4
4号車 H526-202
CarInfoItem5
5号車 H525-402
CarInfoItem6
6号車 H526-302
CarInfoItem7
7号車 H525-102[M]
CarInfoItem8
8号車 H526-402
CarInfoItem9
9号車 H515-2
CarInfoItem10
10号車 H514-2

E5系と同様、通常品と同時発売された初回限定品。基本的には通常品と同じながら、特製外箱入りの10両フル編成のセットであること、H2編成をプロトタイプとして車番が印刷済みであること、インレタ内容が異なる(編成選択不可)、細かいところで製品名に「はやぶさ」と記載されている、といった差異がある。


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