●概要

2015年5月、トミックスからE4系上越新幹線・新塗装が発売された。また、約1か月後の2015年6月には従来製品のリニューアルという形で旧塗装も発売された。

トミックスE4系新塗装レビュー01

2014年4月、E1系を引き継ぐように帯を朱鷺ピンクに変更して登場したE4系新塗装。模型ではトミックスから発売されることに。

トミックスE4系新塗装レビュー02

基本セットと増結セット、それぞれ4両づつでフル編成を構成。意外だったのは増結セットもブックケースだったことで、ケース一つ当たり6両まで、2つで8両収納というわけだけど・・・

カトーやキャスコのウレタンを見るにつけ、1つのケースで収める考えはなかったのかと。今回製品は可動式パンタなので高さの問題はないはずなのにパンタ用の切り欠きがあったり。E1系のウレタンを流用したのかとも思ったけど、見る限り新規制作されたウレタン。一応号車順にはできるし2両あぶれる旧製品の収納と比べたらマシとはいえ、なんか釈然としない気が・・・

まあ、このメーカーは収納に関してはN700系0番台や0系大窓でもやらかしてるので今更驚くこともないが・・・結局、筆者はキャスコのウレタンに入れ替えて1ケースで収納した。


付属品は新旧塗装で共通のマニュアルと動力台車補助棒、あとはインレタくらい。増結セットにはマニュアルすら付属しない。

E4系の製品はカトー・トミックス共に存在していたが、どちらも東北新幹線でも活躍していた頃の旧塗装だった。実車が上越新幹線専用となり、2014年4月に新塗装が登場したわけだが(その後は順次変更)、トミックスから旧塗装のリニューアルと同時に新塗装も発売されることとなった。なお、カトーは2015年7月時点で特に新塗装製品のアナウンスはない。

トミックスのE4系は2005年11月発売と比較的新しく(それでも10年くらい経ってる・・・)、現在でも十分通用する品質であることから、従来製品をベースに通電カプラー化が比較的大きい程度の変更にとどまっている。新塗装は上越新幹線専用なので製品名が「上越新幹線」となっているが、旧塗装は「つばさ」との併結時代も考慮して「東北」がつけられており、あくまでも従来製品のリニューアルであることがうかがえる。

さて、今回紹介するのは新塗装の製品のみ。旧塗装はワケあってスルーしたが、帯色と付属インレタ以外は同じだと思う。前述のとおり基本的には従来製品と同じなので(最近、このフレーズ多い・・・)主に変更点のみ紹介するにとどめる。詳細は従来製品のレビューを参考にしてほしい。

●各部チェック


トミックスE4系新塗装レビュー03

今回の目玉(?)は通電カプラー化で形状はU字型を採用。なお、地味だが座席パーツは新規制作(金型改修?)されたようで、通電カプラー用のガイドが追加モールドされている。

かつてのフックリングカプラー製品のほとんどが通電カプラーに置き換えられてきたけど、ようやくE4系にも。全く採用されていないのは400系くらいか。


トミックスE4系新塗装レビュー04

台車の見た目はE2系の流用だった従来製品とほとんど同じ。ということは、今回も通電化されてからのE2系用台車が流用された模様。


トミックスE4系新塗装レビュー05

パンタグラフは可動式が標準となり、従来製品の「Aセット」をベースにしていることがわかる。廉価版の「Bセット」で採用されていた固定式パンタは姿を消している。


トミックスE4系新塗装レビュー12

E1系新塗装(右)と比較。青がかなり濃くなっていることがわかるし、ピンクもやや濃いめに。機械室のハッチのモールドには結構差があってE4系はモールド内に塗り残しがある。ただ、実車のハッチは黒パッキンされているようなので、黒で色さしするのがベストかもしれない。

筆者の所有品、E4系の方は可動幌のピンク塗装(印刷)が少しおかしい模様・・・


トミックスE4系新塗装レビュー13

E4系旧製品と比較。やはり青が濃くなったようだ。今回は旧塗装の比較はできなかったが、この分だと旧塗装同士でも差があるのかもしれない。なお、塗装が厚ぼったい感じは今回製品でも同じ。光沢感も従来と同等。


トミックスE4系新塗装レビュー06

注目のロゴマークは実車のやっつけ感満載の余白も忠実に再現。2・3羽目の向こう側の羽の色はもう少し濃いほうがよかったかも。でもまあ、水準は維持しているのではないかと。


トミックスE4系新塗装レビュー07

新塗装用のインレタ、収録編成はP5・6・16・17・51・52編成。従来製品もそうだったけど重連を意識しているのか収録数は多め。見た目は変わらないとはいえ、軽井沢乗り入れ編成(P51・52編成)が収録されているのはポイント。

ちなみに、某通販サイトから判断すると旧製品はP1・9・10・19・21・82編成が収録されている模様。P82編成だと5号車車端(6号車側)の形状が異なってしまうけど。「トミックスワールド」限定の旧塗装・朱鷺マーク付セットは実際に貼り付けられていた全編成(P12〜15編成)が収録されている。


K25,47ファン様より、旧塗装・朱鷺マーク付のインレタについて情報をいただきました。情報提供、誠にありがとうございます。(2016/4)
トミックスE4系新塗装レビュー08

前述のとおり従来製品の「Aセット」相当のためヘッドライトは白色LEDのみ採用。ただし、カトーのような色分けはされていない。


トミックスE4系新塗装レビュー09

もちろん新旧併結も楽しめる(旧塗装は旧製品)。前述のとおり、今回製品は「Aセット」がベースなので連結器は両先頭車に装備されているので重連も自由自在。

考証にこだわるなら、新塗装は上越新幹線専用なのでE3系や400系との併結実績はない。旧塗装はE3系「つばさ」新塗装とは併結実績はない。


トミックスE4系新塗装レビュー14

細かいところだと、座席パーツの色が若干変更(濃くなった)されている。カトーも濃い傾向にあるけど、今回製品はそれよりも鮮やかな印象。


ここまでは特に問題ない今回製品だけど、品質的に疑問に残る点をいくつか。

トミックスE4系新塗装レビュー10

8号車の窓ガラス、割れている上に接着されている。情報をいただいた読者様のお話から判断するに、どうも今回製品(旧塗装も?)の「仕様」っぽい。なお、他の号車ではこの事例は見られなかった。メーカー完成品で窓ガラスが接着されているのはマイクロエース製品くらいで、少なくとも筆者が知る範囲ではトミックス初ではないかと思われる。

従来製品ではこんなことはなかったので何故こうなったのかは全く不明。確かに直接的な外観に影響はないけど、先頭車なので乗務員扉窓のインレタ貼りの際に窓ガラスを外すことができないのはちょっと問題。


すはねる様より、8号車窓ガラスについて情報をいただきました。情報提供、誠にありがとうございます。(2015/7)
トミックスE4系新塗装レビュー15

こちらは某巨大掲示板から。今回製品は室内灯を組み込むと透けるという情報があったので試しに組み込んでみると・・・

別パーツとなっている車端の空調装置の隙間から光が漏れるのはやむを得ないとしても、今回製品は各部モールドから光が透けていることがわかる(露光時間は全く同じ)。それぞれのボディを光にかざして裏側からみても、今回製品はちょっと透けているような感じがある。

それにしても、ボディは全く同じパーツように見えるがどんな原理で差が出るのだろう?従来製品はサフェーサー吹いてから塗装しているが、今回製品ではやってないとか?まあ、暗い環境でないと目立たないといえばそうなので気にしないでおくか・・・それか、ちょっと大変だけどボディ裏に黒やグレーを吹くか。


トミックスE4系新塗装レビュー11

筆者の所有品だけかもしれないが最後に。8号車の連結器カバー(写真)、ブルーが剥げていた。1号車は底面が少し剥げていた程度だったが・・・筆者は不具合があれば自分で修正するか、無理ならメーカー送りにすればいいと思っているので購入時に検品はしないのだけど、トミックスでここまでのものに出くわしたことはなく、しっかりやってくれよとは思った。

この程度でメーカーに出すのも面倒なので、筆者は自分で調色・タッチアップした。GMの「近鉄ダークブルー」とクレオスの「コバルトブルー」を6:4〜7:3くらいで混ぜるといい感じに決まるので、塗装剥げ修正の参考にされたい。


●総評

基本的にはハイレベルな従来製品ベースなわけで造形やディテールなどは特に問題はない。通電カプラーも採用されたし、従来製品「Aセット」相当の仕様だから今後のグレードアップなどを考える必要もなく、買ってすぐに楽しめる。特に新旧塗装の併結は実車では期間限定とはいえなかなか映えるわけで、模型でも両方揃えて楽しむ価値は十分にあると思う。

ただ・・・従来製品のハイレベルさは引き継いでいるのだけど、塗装などの品質を見る限り、トミックスにしてはマイクロエース的な「製品品質の悪さ」が気になった。8両を2つのケースに分ける収納もなんか気味が悪い。800系のように仕様が変わったことによる劣化ではないし、200系のように大昔のパーツの使い回しがあるわけでもないだけに、こういうところで粗が出るのはもったいない。

今回製品は(特に旧塗装は)出荷数が少なかったのか、都内の割引店では早々に売り切れてしまった。ゆえにこれからの入手は少し難しいかもしれないが、ある程度「ハズレ」を引くことは覚悟した方がよさそうだ。一応、従来製品譲りでよくできてはいるから、不備があっても「自分で何とかできる」自信があるなら買う価値はあるかも。


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