200系の模型はこれまでエンドウ・カトー・トミックス・マイクロエースから発売されている。
200系の模型は1980年代初頭のブルートレイン・L特急ブームのさなか、東北・上越新幹線の開業という話題を集めた中で発売された。それよりも前から0系の模型が存在していたが、新幹線人気が低かった時代においてその存在はマイナーであり、ニッチ狙いな性格も感じられるものだったから、カトー・トミックスといった、現在でも精力的に新幹線模型をリリースし続ける大手メーカーが本格的に新幹線模型に参入した形式という意味では、新幹線模型の夜明けは200系によってもたらされたといってよいだろう。大手メーカー製の0系の発売は200系の後。模型の世界においては、0系よりも200系の方が先輩格なのだ。
初期に200系を発売したのはカトー、トミックス、エンドウの3社。エンドウは現在はNゲージから撤退しているが、過去に0系を発売しているだけでなく、東北新幹線開業前に0系を緑色に塗り替えただけの「なんちゃって200系」を発売したこともある、新幹線に熱心な(?)メーカーでもあった。筆者の調査ではいずれも1982年内に発売されているとされ、実際に筆者が小学生だった1983年には間違いなくモノが存在していたし、トミックスの2002年カタログにもそのように記載されているから間違いないだろう。東北新幹線の開業が1982年6月だから、遅くとも実車のデビューから半年程度で発売されていたわけで、それだけ関心の高さが伺える。
開業当時の200系は12両編成のE編成しかなく、3社の製品のプロトタイプも当然E編成である。しかし、カトー・エンドウがオーソドックスなアーノルドカプラーだったのに対し、トミックスはフックリング&可動幌を初めて投入したり、エンドウは金属製ボディだったりと差異も見られた。その中で、カトー・エンドウはフル編成志向ではない時代にも関わらず編成中1両しかない225-400(5号車)を模型化していたのは特筆に値する。また、カトー・トミックスのモデリングは現在でも通用するレベルの高いものであり、カトーが30年後の2012年にリニューアルした製品も基本的には当時と同じものである。
しかし、カトーは次に0系を発売した後は新幹線にあまり力を入れておらず、200系に関しても長らく放置状態が続く。エンドウはこれを最後に新幹線を発売することはなくNゲージから撤退。そんな中、新幹線のラインナップを広げ続けていたトミックスは1990年に100系顔の先頭車を持つ200系2000番台、1993年に222形の先頭部に格納式TNカプラーを装備し、400系との併結を可能にした製品(K編成)を発売するなど200系のラインナップも拡大していた。
225-400など用意していない形式があったり、パンタも固定式で雰囲気重視というか妥協がいる製品群ではあったが、JR化後に改造などでバリエーションが増えていた200系を少しでもフォローしていこうという姿勢は評価されるべきだろう。また、格納式TNカプラーを使った併結ギミックは現在でも採用されているものであり、歴史的な意義も大きいと思う。
その後は新幹線全体でバリエーションが増えたこともあり、トミックスの200系も半ば放置状態になってしまう。カトーも相変わらずだったが、2003年にマイクロエースが200系を発売。先行2社の放置状態を突くようなJR化後の晩年型F19編成、リニューアル車K47編成というラインナップで、1500番台を標榜しながら先頭車が0(1000)番台というエラーはあったものの、全形式作りわけ、セット中心の製品構成など近代的なものとなった。この後もリニューアル車K41編成、100系顔のレア編成F8編成、開業25周年で旧塗装に戻ったK47編成、開業一番列車「やまびこ」E21編成とバリエーションを拡大。同社の新幹線模型の中心的形式となっている。
実車ではかつて中心的な存在だったF編成、H編成が廃車となり、その後はリニューアルされたK編成が長らく活躍していたが、2012年になるといよいよ200系という形式の引退が見えてきた。
実車の引退が近づくと模型に動きが出るのは200系も例外ではなく、カトーは従来製品をベースにしながらも印刷表記類の充実、パーツの変更などで30年ぶりにリニューアル。都合上やはり開業時のE編成がプロトタイプであるが、2012年はJR東日本の新幹線が軒並み開業○周年を迎えた「新幹線YEAR」だったので都合がよかった(?)ようだ。一方、トミックスは一部旧製品の流用はあるものの、リニューアル車をほぼ新規製作で発売。通常のリニューアル車のほか開業30周年記念列車仕様(K47編成)も限定品で用意。これらに対し、マイクロエースは「やまびこ」開業一番列車の再生産で対応した。
200系は2013年3月に定期営業運転を終了し、2013年4月にさよなら運転を行ったが、この時の列車を再現した製品は特に発売されなかった(トミックスが飛びつくと思ったが・・・)。実車が引退してしまうとなかなか目が向けられなくなってしまうが、それでも2015年3月にトミックスからもっともスタンダードな姿といえるF編成、2013年11月にはマイクロエースからピンストライプ塗装のF編成という超マニアックな製品も発売。そして、2016年にはトミックスからH編成が発売。同社にはH編成の製品はあったものの暫定13両時代のものであり、模型化されていない形式があるなど不満が残る製品であったが、ようやく16両フル編成を再現できる製品が発売された。ただし、先頭車2000番台は旧製品の流用で済まされてしまったので、ヘッドライトが100系試作車のツリ目であるなど、完全に旧製品の不満が解消できる製品とはならなかったのが残念である。200系はバリエーションがまだまだある形式なので、今後もラインナップの拡大が続くように願いたい。
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