模型の概要&アーカイブ |
E1系の模型はカトーとトミックスから発売されている。
E1系の最初の模型はカトー・トミックスから1995年(詳細な発売日は不明)に発売された。実車の運転開始は1994年7月となるが、新幹線車両としては初の全車2階建ての車両というインパクトもあり、新幹線ブームとはいえなかった時代背景を考えると比較的早い製品化だったといえるだろう。
プロトタイプは公表されていないが、各部の形状から判断するとカトー・トミックスともにM3編成を参考にしたようだ。いずれも当時の塗装である旧塗装で製品化されており、完全な競作となっている。両者を比べると車体上部のグレーの色調が異なったり(トミックスは青味が強い)、カトーは4灯式ヘッドライトを再現しているなど、それぞれ特徴がある。
しかし、当時は現在ほどフル編成志向が強くなかった時代だったため、カトーについては一部形式が模型化されておらず、フル編成にすると形式代用が発生してしまう。その結果、本来は2基のパンタグラフが3基になってしまったり、普通車の位置にグリーン車(逆もあり)が来てしまったり、といった問題を抱えている。再生産も長らくされておらず、現在はカタログ落ちしてしまっている。
一方のトミックスは当時にしては珍しく全形式用意しており、フル編成でも形式代用が発生することはない。ただし、1号車は12号車のボディを反転させただけであり、行先表示機の向きや床下(2階建て車両なので「床下」ではないが)が実車とは異なっている。また、やはりフル編成志向の時代ではなかったこともあり、一部単品を購入する必要がある(基本セット・増結セットのブックケースにフル編成を収納することは可能)。
トミックスは2001年5月に商品構成を変更しており、基本セットが他の形式でも広まりつつあった、スターターを意識した紙パックの3両セットとなり、従来の単品の一部を集約した増結Bセットが用意された。一方で新たに単品が設定されるなどちぐはぐな面も見られた。増結セットと一部単品は従来のものが品番を変えず併売されており、この製品を構成するアイテム数はかなり多い。
実車が上越新幹線専用となり、2003〜2006年に塗装変更・内装のリニューアルが行われるとトミックスは比較的早くに対応、2004年9月に新塗装をラインナップに追加した。基本的には従来品(旧塗装)を塗り替えただけの製品だが、同社の他製品と同様、付属インレタにより編成・形式番号をはじめ、各種表記を表現できるようになった(旧塗装はカトーも含めて編成・形式番号の対応はない)。また、製品構成もセットのみとなり単品を揃える必要がなくなるなど、時代の変化に応じたものとなった。一方、カトーは新塗装には手を出しておらず、現在まで製品ラインナップがない。
新塗装発売後もしばらくは旧塗装も併売(カタログオン)となっていたが、長らく再生産が行われていないので現在でも入手困難となっており、ヤフオクくらいしか入手手段がない。そして、新塗装も再生産が少なかったため、入手しづらい時期が続いた。余談だが筆者は新塗装を購入した時期が悪く、ネットを探しまわりようやく関西や北陸のショップから通販でゲットできたという経験がある。
しかし、実車の引退が噂され始めると、トミックスは新塗装を2012年3月にリニューアルした。主なリニューアル内容は以下の通り。
おおよそ同社おなじみのメニューが実施されているが、E1系は車端ギリギリの窓がないので、定番の車端部窓へのガラス入れは行われていない。また、新集電システムは従来品の新塗装で対応済みとなっている。他製品のリニューアルと比べて外観上の変化は少ないが、地味なところではシート(室内パーツ)の色が見直されているようだ。
実車は2012年9月に引退し、最終日は特別な装飾などは行われなかったが、最終日の約1か月前から「Max」ロゴに「祝 朱鷺のひな誕生」のマークが追加されて走っていたため、トミックスからそれを模した「E1系(祝 朱鷺のひな誕生)セット」が限定品で発売された。事実上のさよならセットといえるが、「朱鷺のひな」マークと先頭部の「がんばろう日本〜」「つなげよう日本」マークが追加されたくらいで、基本的には通常製品と変わらない模様。模型はM3編成がプロトタイプと考えられるが、件のロゴが追加されたのは後期車(筆者はM5編成で確認)であるため、実車とは細部が異なる。なお、この製品は基本セット6両のみであり、フル編成にするには通常品の増結セットを用いる。増結セットに含まれる車両は従来と変化がない(5号車のロゴ含む)ので特に問題はない。
登場当時は話題を呼んだE1系だが、新幹線車両の中では残念ながらあまり人気のある形式とはいえず、カトー・トミックスともにそれぞれ抱えている問題(形式代用など)の改善は期待できなさそうだ。両社がプロトタイプにしている前期型のM3編成に対し、後期車(M4編成以降)は一部外観に変化があるため、そちらも製品化されると面白いのだが・・・蕨の方から・・・もないか。実車の人気や話題性が売り上げに直結することを考えれば現実は厳しいと思うが、せめて適度に再生産が行われ、旧塗装も含めて今後とも入手しやすくなってくれることを願ってやまない。
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