実車について |
模型の概要&製品ラインナップ |
比較レビュー1 序・先頭形状・車体各部表現 |
比較レビュー2 屋根上・パンタ周辺 |
比較レビュー3 塗装・灯火類・室内 |
比較レビュー4 床下・連結部分・ギミック |
比較レビュー5 全形式比較 |
比較レビュー6 収納性・付属品 |
比較レビュー7 総評 |
カトーとトミックスのB編成の先頭車で比較。この写真だけでも、車体の白には結構差があることが分かるのではないだろうか。カトーは若干色黒・・・は大袈裟か、グレーがかってる印象で、対してトミックスはピュアホワイトという感じだ。実物を目視してもこの差ははっきり分かる。
青帯についても、カトーは若干緑色入っていてくすんだ感じだが、トミックスはピュアな濃紺。床下のグレーはトミックスの方が明るいが、実車もB編成の方が若干明るい感じがする。
この辺はメーカーの解釈の問題でありどちらが正しいということではない。なお、光沢についてはどちらも同程度の半光沢である。
トミックスE編成は比較対象がないけど、概ね実車に忠実と言ってよいのではないだろうか。500系や0系・100系のフレッシュグリーン塗装と並べても違和感はまったくない。光沢もカトーや同社B編成と同じくらい。
塗装は実車でも周囲の明るさ、車両の状態(新車直後なのか走りこなれているのか)によって見え方が異なる。それをどう解釈してモデルにするのかが「メーカーの解釈」というわけだが、700系もその例にもれず、カトーとトミックスの解釈の差が出ているといえよう。
もともとカトーはある程度車両が走りこなれている状態を参考にすることが多く、トミックスは新車出場直後に合わせてくることが多い。カトーのくすんだ感じ、トミックスのピュアな感じはそうした解釈の差が表れたもので、100系やN700系でもこのような差異が見られる。これらが優劣の問題ではないのは言うまでもない。
カトーもトミックス(B・E編成とも)もソツなくまとめられていて、総じてレベルも高いと言っていいのではないだろうか。差異はあるけど、極端に好みの差が出るほどではないというか。
塗装の話と少しかぶり気味になるが、先頭車乗務員扉横の手すり部分はカトーには若干カスレがある。これはカトーの方がモールドが深いのでやむを得ないところだろう。
カトーは実車同様に乗務員扉のノブと、客用扉下のクツズリを銀色で表現しているが、トミックスはそのへんは省略している。これらは他のモデルでも伝統的に見られる差異である。
各モデルの1号車(博多寄り先頭車)後方の印刷状況。カトーは号車番号・禁煙マーク・形式番号がすべて印刷済みで、トミックスB編成は形式番号・禁煙マークがなく、E編成は号車番号・禁煙マークがない。トミックスで印刷がない個所があるのはインレタが用意されているためだが、三者三様なのが面白い。
JR西日本車(トミックス)ならではの先頭部サイドのロゴ。B編成・E編成ともに忠実に再現されている。B編成は帯とロゴのブルーの差もバッチリ。
上段カトー、下段トミックスで左から8・9・10号車のグリーン車マークを比較したものだが、カトーとトミックスで位置や大きさが結構異なっている。
どちらかが間違ってるのだろうか?
実はこれも、実車のC編成とB編成の差異だったりする。上段C編成、下段B編成で、左から8・9・10号車と上の写真の合わせてある。C編成はマークが大きめでドアに寄せているのに対し、B編成はドアと側面窓の中間に配置している。
B編成(写真はB10編成)の10号車は模型と比べてマークがややドア寄りになっているが、中央に位置している編成も確認しているため個体差があるのだろう。よって、トミックスが間違っているわけではないと思う。
グリーンマークは模型でも色調に差があるのだけど、実車もこうして見ると結構差がある。写真のC編成(C2)は全検あがりでB編成(B10)はそれなりに走り込んだ状態。塗装のところでも書いたが、実車は状況により色合いが変わってしまういい例だろう。
ちなみにこのグリーンマークの位置の違いだが、300系はJR東海車とJR西日本車ではほとんど差はなく(よく見ればあるかな〜というレベル)、N700系では完全に同じ。実車編で書いてもよかったネタだが、700系だけははっきり認識できる差分があって面白い。
以下に各モデルの印刷状況を確認してみよう。B・E編成先頭部サイドの印刷については割愛した。
表記箇所 | カトー | トミックス(B) | トミックス(E) |
形式番号 | 印刷済み | なし(インレタ) | 一部印刷済み(インレタ) |
JRマーク(1・8・16号車、E編成は1・8号車) | 印刷済み | 印刷済み | 印刷済み |
号車番号 | 印刷済み | 印刷済み | なし(インレタ) |
禁煙マーク | 印刷済み | なし(インレタ) | なし(インレタ) |
グリーン車マーク | 印刷済み | 印刷済み | 印刷済み |
車椅子対応マーク(11号車、E編成は7号車) | 印刷済み | なし(インレタ) | なし(インレタ) |
700系ロゴ(E編成はRailStarロゴ) | なし(ステッカー) | 印刷済み | 印刷済み |
行先表示 | なし(ステッカー) | なし | なし |
編成番号(前面窓) | なし | なし(インレタ) | なし(インレタ) |
編成番号(乗務員扉窓) | なし | なし(インレタ) | なし(インレタ) |
編成番号(先頭車側面下部) | なし | なし(インレタ) | なし(インレタ) |
業務用扉表示(業務用扉窓) | なし | なし(インレタ) | なし |
屋根上号車番号 | なし | なし(インレタ) | なし(インレタ) |
印刷済み個所はそんなに大きな差はないが、カトーは形式番号や号車番号といった細かい部分が印刷済みで、あとはステッカーで十分な表記類が楽しめるのでお手軽。トミックスはユーザによる施工が必要となるが数が多くて大変。しかし、内容は充実(行先表示以外はほとんどサポート)していてすべて施すとかなり見栄えする。
こちらはカトーの初期製品に付属していたステッカーで、内容は行先表示(のぞみ東京、博多)、座席表示(指定席のみ)、700系ロゴというシンプルなもの。
カトーは実車の運用から発売までが早かったが、初期の700系はもっぱら東京〜博多の「のぞみ」に投入されていたこと、当時は全車指定席だったことを考えると、時代を反映した内容だといえる(資料として貴重になったりして・・・)。
基本セットと増結セットに各1枚、フル編成で2枚用意されるので数量的には問題ない。
一方、こちらは2005年11月の商品構成変更で改訂されたステッカーで、筆者が「ホビーセンターカトー」で購入したもの(画像クリックで拡大)。
行先表示に新大阪の追加、座席表示に自由席の追加、禁煙車拡大に伴い禁煙マーク追加、「AMBITIOUS JAPAN!」キャンペーンなど、700系の運用拡大に合わせて内容が大幅に充実した。現在では「ひかり」「こだま」運用が主流で、結局内容が古くなってしまったが・・・
「AMBITIOUS JAPAN!」はJR東海車のみだし、JR西日本車の行先表示はLED式なので、このステッカーをトミックスには流用しようがない。トミックスで行先表示を表現したい場合、サードパーティ製か自作で再現するしかない。
トミックスにはインレタが付属する(画像クリックで拡大)。形式番号や禁煙マークといった基本的なものから、グレードアップ用と称した編成番号や屋根上表記まで含まれた充実した内容となっている。1枚で16両編成が賄えるが、フル編成で揃えれば2枚用意されるので、ある程度失敗してもリトライできる。
編成はB6、B9、B10、B12の4種類が収録され、B6編成以外は実車と相違する部分はない(B6編成はドア点検ハッチが異なる)。こちらもJR西日本独自の要素が多く含まれ、カトー(C編成)に流用できそうな表記はほとんどない(業務用表示くらいか)。
上がC編成、下がB編成だが、車椅子対応マークは色が異なる(号車フォント等も微妙に異なる)。インレタはきちんとグレーになっているので、B編成の再現には問題ない(実車は500系やE編成と共用してる?)。
写真は省くが、屋根上号車番号もグレーで正しい(C編成はオレンジ)。これまた両編成の差異であり、カトーに流用できない理由でもある(300系あたりのインレタから流用するしかない)。
こちらはE編成用のインレタで、8両分なのでこじんまりした印象。B編成同様内容が充実しているが、号車番号がインレタになっていること、業務用表示が含まれていない点が異なる(B編成の流用で・・・)。
編成はE13、E14、E15が収録され、1・2・8号車はE15編成の番号が印刷済みなので、E13、E14は上書きできるようマスク付きになっているのが特徴(車体色のベースがある)。実車との相違点では屋根上のページで書いたが、E13〜15編成ではいずれもパンタカバーが異なってしまう(気にしなければいいんだけどね)。
なお、トミックスE編成は2010年12月のリニューアル以降、印刷について若干の仕様変更が行われている。インレタも新しいものが用意されたが収録内容の増減はなく、編成もE13〜15編成から変わっていない。
禁煙マークについて、カトーは下記の「デビュー時〜2001年10月」の通りに印刷されている。500系ではかなり中途半端だったので改善されたといえよう。改訂版ステッカーならその後の禁煙車の拡大にも対応できる。
トミックスB編成では禁煙マークは独立しているのでどの時期も再現可能だが、収録編成(B6〜)は2002年度以降の配備のため、2001年10月〜が適応する。ちなみに、マニュアルでは2006年3月〜で提示されている。
E編成はデビュー時〜2004年4月までは1・3・4・7・8号車が禁煙車で、2004年4月に5号車、2011年3月に2号車が加わっている。インレタでは最初期の状態で、他の号車を禁煙車に仕立てるには余剰分から流用するなど工夫が必要となる(リニューアル版では容易になっている)。
C編成とB編成の3・7・11・13号車に掲げられた700系ロゴだが、前述の通りカトーはステッカーで表現するため、印刷があるのはトミックスのみである。左は3号車と11号車のもので一番下が実車。
700系のイラスト部分は輪郭線が強すぎる気もするが、2色しか使っていないことを考えると結構がんばっているといえる。オレンジ色の楕円中央部も一応グラデーションにはなっているし、「SHINKANSEN・・・」の文字も認識できるくらいシャープに印刷できている。
ここでは3・11号車しか載せなかったが、他の個所も含めて大きな欠けや位置ずれもなく、印刷品質も安定している。
E編成の「Rail Star」ロゴもきれいに印刷されている(下が実車)。星から延びるオレンジのラインは実車が4本、模型が3本とアレンジされているが、Nゲージの大きさを考えたら妥当なアレンジといえる。実際、模型のロゴを見ても違和感は全く感じない。
形式番号はJR東海車とJR西日本車のフォント違いも、JRマークの色違いも再現されている。トミックスはB編成も含めてインレタであり(E編成の1・2・8号車に印刷があるのみ)、印刷品質の単純比較はできないのだが、印刷についてはたいていトミックスの方が優れていることが多い中、E編成の印刷済み番号を見る限り700系については両者互角とみていいようだ。
号車番号はカトーは文字細め、トミックスは太めである。下の2段は実車で左がC編成、右がB編成なのだが、模型ではフォントの太さが逆転してしまっているようだ。カトーの11号車は少し薄くなってしまっているが(個体差あるかも)、印刷品質は大差はないと思う。
カトーは禁煙マークが印刷済みだが、こうして拡大すると特に1号車のは印刷がラフ(拡大しているからであって、通常目視する分には気にならない)。11号車は前述の写真では号車番号と車椅子対応マークの間に禁煙マークが入るのだが、カトーの製品化時点では11号車は禁煙車ではなかったのでこれは正しい。トミックスは禁煙マークが、E編成は号車番号もインレタ表現なのは前述した通りだ。
それにしても、号車番号のフォントや、禁煙マークの白いベース有無など、本当にC編成とB編成には違いが多いことを実感する。
おおよその表記は印刷済みで、あとはステッカーでフォローするイージーなカトーと、印刷個所は少ないがインレタで細かな表記に対応できるマニアックなトミックスといったところか。両社の他のモデルで見られる傾向でもあるけど・・・
カトーは近年のモデルと比べると編成番号の印刷(「C3」とか)がなく少しさびしい印象がある。とはいえ、ステッカーは「AMBITIOUS JAPAN!」に対応するなど、同社にしては珍しく充実しているので(他モデルは行先表示くらいしかない)、ユーザ側で仕立てる余地はある。編成番号類は細かいし無くても構わないというユーザもいるだろうし、それなら目立つ行先表示を中心に据えるというのもまた正解。ステッカーなので施工も簡単だし、全体的にお手軽なのがカトーの特徴といえるだろう。
一方のトミックスは編成番号のみならず窓ガラスに貼る業務用表示など、マニアックな内容が特徴(もっとも近年のトミックス製品に準じた内容である)。形式番号や禁煙マーク、号車番号といった基本的な表記もインレタなので、ユーザの手間が大きいという問題がある(16両分施工するのは実際大変)。もっとも、この手間を「問題」とするかどうかはユーザ次第で、筆者がそうだが工作派には楽しめると思う。B編成は全体的に「白い」ので、小さな表記でもインレタを施せば引き締まって見えると思う。作業は大変だが施工して損はない。
一つだけ「これは・・・」と思ったのがカトーのロゴ類をステッカーで表現する点。
前述の通り、カトーは側面の「700系ロゴ」の印刷がなくステッカーで表現するのだが・・・トミックスと実車も載せてみたが、大きさも印刷品質も全体的な見てくれもビミョー・・・位置の悪さは筆者の腕が原因だが(w、位置決めのガイドがあるわけではないので結構難しい。
ステッカーには厚みがあるし余白も目立ってしまう(ロゴの形にきれいに切りぬくのは大きさ的に困難)。また、これも筆者が悪いがカッターの切れ味を十分に確保しないと写真のようにエッジ部分が汚らしくなる。このロゴマークを施工する場合、工具(カッター)の状態に特に気を配った方がよさそうだ。
角度を変えて見てみても、やはり厚みがあっていかにも「ステッカー貼りました」という感じが。実際問題、相当離れて見ないとこの不自然さは消えない。
インレタやデカールに比べると施工性や耐久性に優れるステッカーだが、Nゲージくらいのサイズだとどうしても厚みが目立つ。キット製品なんかだと形式番号程度にはステッカーが用いられることはよくあり、そのくらいの大きさだとあまり問題はないのだが、700系ロゴのような大きな表記はやはり無理があるというのが正直なところである。ちなみに、行先表示は貼りつけ場所が凹んでいる場合が多いので問題になることは少ない。
改訂版ステッカーから収録された「AMBITIOUS JAPAN!」も同様で厚みが目立ってしまう。スターターセットには両先頭車には「AMBITIOUS JAPAN!」が印刷されているのだが、先頭車は丸ロゴも含めて印刷なのに、中間車は丸ロゴがステッカーになるなど、編成全体で統一されず「美しくない」状態になってしまうのが実情である。
カトーはなぜステッカーで表現するようにしたのか?印刷やインレタにするとコストがかかるとか、少しでも安く提供したかったとか、手軽な方法を提案したかったとか・・・個人的には「良心」からだと思いたいが、結果からすれば犠牲になっている部分も多いようだ。
施工についても、ステッカーというのは位置決めが難しく(というか一発勝負)、筆者のサンプル写真のようにヘンな位置に貼り付けしかねない。行先表示のように貼りつけ場所が決まっていればいいけど、700系ロゴのような表記は意外とユーザの技量が問われるのである。
それでも「気にしない」というユーザがいることは否定しないし、走行シーンを相当離れて見れば確かに気にはならない。しかし、模型は手にとったりして間近で眺め、その精密感を楽しむこともある。「Bトレインショーティ」のようにお手軽に楽しむものならともかく(「Bトレ」の表記類は大半がステッカー)、カトーの700系は数万円もする「Nゲージ」である。クオリティが高いだけに、ステッカー表現で済ませてしまうのはもったいない気がするのだ。
今後リニューアルされるとしたら、編成番号表記なども追加して、ロゴも印刷済みにするなどの改善を期待したい。
模型も当然ながらヘッドライト・テールライトともに点灯。しかし、ご覧のとおりヘッドライトの光源が異なるため(カトーは白色LED、トミックスは黄色LED)、実車が電球色(シールドビーム)なのを考えると、リアリティという意味ではどちらもいまひとつかもしれない。
なんとなくジオ○グっぽく見える(?)700系のライトだが、トミックスのB・E編成は光り方が全く同じ。先頭形状のページでも触れたが、ヘッドライト周りは両車でパーツ共用している証拠である。よって、この後B編成について書かれていることはE編成にも言えると考えていただきたい。
カトーの700系はライトのガラス面が車体から奥まっていることもわかる。
オッサンゲーマーの筆者は今度は平○清を想像・・・真上〜正面を比較してみるが、カトー・トミックスともに実車通り4灯のヘッドライトを再現している。
光量はカトーの方が明るい。ハンパなく明るい。LEDを直接見てるみたい。この写真もカメラのフォーカスが合わなくて苦労した。一番下の露出を下げた写真を見ての通り、カトーもきちんと4灯になっている。
トミックスは暗いわけではなく、正面の写真を見ればわかるが十分な光量は確保している。節度感のある明るさといっていいだろう。ライトの色を除けばリアリティはこちらの方が上かと思う。
カトーは明るいだけでなく拡散するように光る。電池で点灯させたらちょっとした懐中電灯の代用になるのでは?そんなアホな想像すらしてしまう。
対してトミックスはスポット的な明るさで、こちらを懐中電灯代わりにするのは難しそう(w。模型としては十分な明るさを持っているのでまったく問題はない。カトーが明るすぎるのだ。
カトーのヘッドライトは4つの突起になっていて先端が丸い。対してトミックスは写真では分かりづらいが長方形平面に黒い枠を印刷して4灯を表現。光の拡散具合の差はここにあるもかもしれない。
カトー・トミックスともに、ヘッドライトの横に小型のテールライトが点灯する実車の通りの仕様である。写真で見るとトミックスの方が明るいように見えるが、実際に目で見る分にはあまり差を感じなかった。
ただ、トミックスは前の写真でもそうだが、ガラスパーツに反射するのか、見る角度によっては全体が光っているような感じになる。対してカトーにはそれがなく、ヘッドライトとは逆にこちらの方がリアルだと思う。
周囲を暗くしてヘッドライト・テールライトともに光漏れチェックをしてみたが、ボディ・床下のパーツ隙間から光が漏れたり、ボディから光が透けて見えるといったことは全くなかった。強いて言うと両者とも後方から見たときに前面窓先端の内側に光漏れを確認できるが、通常の明るさではまず気付かないと思う。
ところで左の写真、これはカトーなのだが運転台のコンソール内側が光っている。運転席パーツのメーター部分が薄いので光漏れしているのだと思うが、はたして故意か偶然か!?
暗くするとさらにはっきりと。実車のコンソールは横長のメーターに加えて2つのモニタが独立して並んでいるのでリアルとは言い難い。
しかし、デフォルメとはいえメーターパネルを光らすというアイディアは新鮮(意図してやったのかはわからないけど・・・)。たいていの鉄道車両は四角いのでこんなことは考えない。鋭い流線型を持つ最近の新幹線だからこそできたといえるだろう。
もっとも、位置的にも光量的にも、通常の明るさではほとんど視認できないけどね・・・
両者とも比較的新しい設計の製品なので、実車の4灯式ヘッドライトを見事に表現していた。明るさの割に光漏れもなく、よい設計だと思う。惜しくらむはライトの光源の色で、電球色タイプのLEDなら完璧かとも思った(※カトーの現行品は電球色LEDに変更されている。掲載した筆者所有品は旧製品)。
光量や拡散具合には差があるが、これもどちらが優れているかは各人の好みやシチュエーションによるのではないだろうか。ヘッドライトはカトーは明るすぎて全体が光ってしまい、リアリティではトミックスに一歩譲ってしまうものの、あの明るさならどんな大レイアウトでどこを走っていてもヘッドライトの点灯を視認できる。テールライトについては逆で、トミックスの方がよく見えるかもしれない。
単にリアルかどうかではなく、模型としての見栄えがどうなのかも重要な要素。両者の灯火類は一長一短であり、単純に良し悪しを決めることが難しいが、平均的に見れば両者ともハイレベルな灯火類を再現しているのではないだろうか。
トミックスはB編成で、両者とも右側から普通車、グリーン車、動力車。カトーはグリーン車が動力車になっているが、トミックスは普通車が動力車である。
普通車は2+3列、グリーン車は2+2列の配置もきちんと再現されているのだが、カトーの動力車はグリーン車にも関わらず座席配置は2+3列で、集電板がむき出しになっているのが特徴。もっとも、外から見る分にはほとんど気になることはない。
ぱっと見の最大の違いは、カトーは全車明るいグレーで統一されているが、トミックスは普通車はブルー、グリーン車はグレーと、実車同様にシートの色を分けている。実車はもっとダークブルーという感じだが、模型のサイズや窓越しに見ることを考えると妥当な調整といえるだろう。
トミックスは床板とシートのパーツが分離されているのでそれぞれ着色が異なる。N700系にも採用された、比較的新しいギミックである。シートは窓側の肘掛が再現されているかどうか、サイズの違い(カトーは座席幅が若干狭く通路が広い)はあるものの、車外から見る分には差はわからない。
こちらはトミックスE編成で手前が指定席、奥が自由席。B編成と異なり、床板と座席は一体型となり着色も同じだ。指定席の2+2、自由席の2+3配列も再現。
自由席はグリーンで色分けしているが、実車は自由席もブルー系であり明らかに色が異なる。
確かにシート生地は柄物で若干グリーンも入っているが・・・室内灯を装備した時の色違いを見せるためのデフォルメか?個人的にはちょっと首をかしげるカラーチョイスではある。
8号車新大阪寄りにはセミコンパートメント(簡易個室)もきちんと再現されている。実際はシートの色などが異なるが、座席パーツとして一体化されている以上、色分けされていないのはやむを得ない。
外部から見ると一般座席とセミコンパートメントの間の一列分が塞がれているのだが、これも実車通りでお見事。実車はブラインドが下がっているので、明るいグレーに塗っておくとより実感的かもしれない。
こうして窓越しに見ても、一般席部分と比べて個室感が感じられていい雰囲気だと思う。
実車のセミコンパートメントはこんな感じで、シート色は明るいブラウン、テーブル上面は木目となる。腕に自信がある人は自分で着色してみるのも面白いかも。
左から2番目の窓が一般座席とセミコンパートメントの間。このように常時ブラインドが下がっている。
B編成とE編成は連結方式が異なるのだが、それを座席パーツで吸収しているのがわかる。B編成は車内床板パーツでカプラー(連結器)パーツを保持しているため、床下周りをE編成と共用できるのである。
N700系や500系も同様だが、トミックスは座席を色分けするのに対し、カトーは1色で済ませる傾向がある(しかし、東北新幹線系等だとカトーも色分けすることが多い・・・何故!?)。最近の新幹線は窓が小さいので、模型サイズではあまり車内の色は気にならないのだが(というかわかりづらい)、室内灯を装備した場合はやはり差が出ることは否定できない。
ただ、室内灯を装備しないならカトーもトミックス両製品も不満はほとんど出ないと思う。
重ねてのお願いであるが、くれぐれも安易な分解は避けていただきたい。特にカトーは分解しづらく下手すると破損の恐れがある。工作の心得がなかったり、自己責任でできない人は分解しない方が無難である。
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