●屋根上・パンタグラフ周辺

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屋根上の滑り止め、高圧線、直ジョイントの表現はZ・N編成と全く同じ。


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実車の3・6号車新大阪寄りは連結面側にケーブルが2本生えている大型ジョイントとなっているが(写真右が3号車、右が4号車)、ここもZ・N編成同様に再現していない。せっかくボディが全車専用設計なのにちょっと残念。


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パンタ周辺もほとんど同じで、パンタ本体もサイドの防音カバーも同じパーツである。Z・N編成と比べると、見た目はちょっと淡白な印象。


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実車の段階でS・R編成は防音カバーがボディと同じ色になっているため、間違ってはいないのだが。


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パンタ周辺でZ・N編成と唯一異なる点が、パンタカバーのうち「ガイシ覆い」という部分で、車体中央寄りのスロープ部分のパターンが若干異なっている(車端側は同じ)。また、Z・N編成では別パーツだったが、S・R編成ではボディ一体型となっている。

S・R編成は2・7号車のパンタ部分が高圧線の終端となるから、車体中央に伸びる高圧線の表現もない。


ゆのまち様より、ガイシ覆いがボディと一体化であるとの情報をいただき一部修正しました。情報提供、誠にありがとうございます(2014/6/2)。
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Z・N編成のケーブルヘッドは従来と比べて高さのある、ずんぐりとした形状が特徴だったが、S・R編成のケーブルヘッド(4・5号車間)は傾斜が緩く、低い高さのものが採用されている(形状も従来の700系などに近い)。模型でもその違いはしっかり表現されている。


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実車と比べても、きちんと再現できているようだ。S・R編成特徴として、ケーブルヘッドが低くなった関係で全周幌の上部が撤去されているが(全周幌じゃない)、そこまでは再現されていない。


屋根上についてはZ・N編成と表現に大差はなく、やはり全体的にあっさりした印象である。まあ、同じ形式の屋根上なので、表現に差がありすぎたらその方が問題だろうから、これはこれでいいのかもしれない。付属のインレタには屋根上の号車表示や注意喚起表示が収録されているから、それらを施してやることで屋根上が引き締まるはず。

●塗装

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S・R編成の塗装は「白藍(青みがかかった白)」に「濃藍」と金色の帯という全体的に「和」のテイストが特徴的で、Z・N編成とは一線を画している。単体で見てもその「青白さ」を感じることはできるが、並べてみるとその差は相当なものがある。

トミックスのZ・N編成の白はピュアホワイトに近いので、S・R編成の青味が分かるかと思う。なお、光沢感はほとんど同じ半光沢である。


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S・R編成は客用扉の段差部分に色が乗っていないが・・・これは実車もそうなっているので問題ない。

写真では伝わりにくいが、金色の帯はきちんと金色であり光の具合で輝きが変化する。


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ドアの段差部分には帯がないことがわかる。


塗装は天候や光線状態によって変化するので、模型の塗装は製作側の解釈に依存する(毎回同じようなこと言ってる気が・・・)。S・R編成は写真などではかなり青味が強く感じられることもあるが、今回のトミックスの模型はZ・N編成との対比を見ても、バランスが良く違和感を感じない「青白さ」に仕上がったのではないだろうか。

●印刷表記類

●印刷表記箇所

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先頭部サイドの「KYUSYU&WEST JAPAN」のロゴはS・R編成ならではのアイデンティティ。その他、号車番号や禁煙マークが印刷済みで、シンプルな塗装によいアクセントとなっている。


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トミックスS・R編成の4製品は内容はほとんど同じであるが、唯一差分があるのが印刷表記の仕様。

といっても、この写真を見ての通りあまり差はないのだけど(汗)、形式番号の印刷有無やJRマークの色の違いに差がある。JRマークは上のS編成はJR西日本のコーポレートカラーである青、下のR編成はJR九州の赤で表現されている。


各製品ごとの印刷状況を下の一覧表にまとめてみた。

表記箇所 S編成 R編成 R2・R10編成・くまモン
形式番号 なし(インレタ) 一部印刷済み(インレタ) 印刷済み
JRマーク(1、8号車) 印刷済み(青) 印刷済み(赤)
号車番号 印刷済み
禁煙マーク 印刷済み
グリーン車マーク 印刷済み
車椅子対応マーク(7号車) 印刷済み
「KYUSYU&WEST JAPAN」のロゴ 印刷済み
編成番号(前面窓) なし(インレタ)
編成番号(1・8号車乗務員扉窓、7号車業務用扉窓) なし(インレタ)
編成番号(先頭車側面下部) なし(インレタ)
業務用扉表示(7号車業務用扉窓) なし(インレタ)
屋根上号車番号 なし(インレタ)
屋根上注意喚起表示 なし(インレタ)

うーん、結論を言えば形式番号以外差はないということですな(w。形式番号は三者三様で、

  • S編成は印刷は全くなくインレタ表現のみ。編成を選択可能。
  • R編成通常版は基本セットの3両(1・2・8号車)のみR3編成の番号が印刷済みで、増結セット分は印刷がなくインレタ表現。編成を選択可能。
  • R2・R10編成は同編成、くまモンはR2編成の番号が印刷済みで、編成の選択はできない。

R編成通常版は少し半端な気がするが、基本セット分を印刷済みにしているのはスターター向けという設定だからだろう。

その他の主要な表記は印刷済みなのだが、窓ガラスに貼る編成番号や、屋根上の表記類はいずれの製品もインレタで表現しなければならない(インレタ上では「グレードアップ用」という分類がなされている)。

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S編成セットに付属するインレタ(画像クリックで別窓拡大オープン)。S1、S2、S3、S4の4編成が収録されている。どれを選択しても実車と相違する部分はない(S1編成のパンタ投光器は現在は撤去されているため差異はない)。


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こちらはR編成通常版に付属するインレタで(画像クリックで別窓拡大オープン)、R3、R4、R5、R6の4編成が収録されている。どれを選択しても実車と相違する部分はない

内容はS編成とほとんど同じだが、基本セット分にはR3編成の番号が印刷されているので、上書きできるようにマスク付きになっているという違いがある。

ちなみに、R2・R10編成・くまモンセットは形式番号が印刷済みなので、インレタにはグレードアップ用の表記のみ収録されている。

●印刷品質

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1・3・5号車から「KYUSYU&WEST JAPAN」のロゴをサンプルにしてみたが、カスレなどはほとんどなく優秀。文字の太さに若干差があるが、肉眼で見る分にはほとんどわからない差である。「手を取り合う」の部分もきちんと金色で印刷されていて美しい。

ちなみに、写真は海側だが山側では「WEST JAPAN&KYUSYU」と逆になっていて、鹿児島中央寄りは「KYUSYU」、新大阪寄りは「WEST JAPAN」になるよう揃えられている。


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もともとシンプルなロゴとはいえ、実車と比べてみてもまったく問題ありませんな。


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その他の個所もZ・N編成同様の高い印刷クオリティを継承。

号車番号の下部が金色になっているのがユニーク。金色が少しずれている個所があるが、マクロ撮影による異常拡大なので普通に見る分には認識できないと思う。禁煙マークの印刷も良好だ。

形式番号はR2編成では心配ないが、S編成およびR編成通常版でインレタを施工する場合、位置決めを慎重に行いたい。


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大きさ・位置とも、かなり実車に近いと思う。数字・グリーンマークの縁・禁煙マークの白はあくまでも「白」だけど、模型ではその部分を抜いているだけなので、車体色となっている。

もちろん、普通に見る分には気になることはないだろう。


トミックスZ・N編成の印刷もハイレベルだったが、このS・R編成も高いクオリティを維持しており、不満に思う人はほとんどいないと思う。

インレタの施工は結構大変なのでユーザを選んでしまうかもしれないが(そのためのR2編成?)、模型が引き締まって見えるし、愛着がわくこと請け合いなので施工して損はないと思う。

●車内表現

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N700系S・R編成には3種類の車内設備があり、左から普通車自由席、普通車指定席、グリーン車(普通車指定席と半室)となっている。模型ではグリーン室と普通車指定席室の間の仕切りは省略されている。

床板はZ・N編成のものとは異なり、室内灯のスプリング受けの形状などが変わっているが、シートが外せる仕様は継承している。

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シートの形状はZ・N編成のものとほとんど違いはなく、グリーン車と普通車指定席はまったく同じ形状である(シートピッチのみ異なる)。


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写真左がグリーン車でブルー、右が普通車指定席でブラウンと実車に沿った着色なされているが・・・


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普通車自由席の2列席が赤、3列席が青という左右で異なる配色はさすがに表現できなかったようだ(模型では赤で統一)。

左右でシートの色が違うというのは、この形式くらいしかないのだけど。


E5系の「グランクラス」の話題には及ばないものの、こちらも3種類の車内設備が存在する。グリーン車は半室というユニークな構造になっているが、トミックスのN700系では床板とシートパーツが分離されているため、同一車両に2種類のシートパーツ(と色)を表現することは容易だったようだ(普通車自由席のように、左右で色分けするのはさすがに難しかった模様)。

N700系は窓が小さいので、覗きこんでも車内の違いはほとんどわからないのが実情だが、それでもきちんと作り分けているのは嬉しくなる。室内灯を組み込めば、その効果を実感できるだろう。

●連結部について

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実車の写真の連結部を見ていると、全周幌には車体の青白さが全くなく、車体の色と異なっていることが分かる。これはおそらく、幌自体はZ・N編成と共用しているからだろう。


ところが、トミックスのS・R編成では全周幌ボディと同じ白藍色で、実車とは異なっている。

結構目立つ部分なので、こんなところ間違えるか?とか思ってしまいそうだが、ここからは筆者の推測にすぎないが、故意に同色にした可能性がある。というのは、車体と幌の色に差があることを知らない人も多いだろうから、実車通りにすると「幌の色が違うぞゴルァ」みたいなクレームが発生しかねない。「実車がそうなんだYO!」と説明すればいいような気もするが、それもなかなか難しいのだろう。そのため、無難に幌の色を揃えたのではないだろうか。

また、幌が同色であるほうが連続感や統一感があり、見栄えが良いという見方もある。なので、エラーというよりは一種のデフォルメであると考えたい。

余興として、Z・N編成の白い幌を移植してみた(色が違うだけの全く同じパーツである)。左が製品の状態、右が移植後でこちらの方が実車に忠実だが・・・あなたのお好みは?

N700系_1138 N700系_1139 N700系_1140

幌についてもうひとつ。屋根上のケーブルヘッドの項でも書いたが、ケーブルヘッドのある4・5号車間は幌の上部が撤去されて全周幌にはなっていないのだが、トミックスのS・R編成では残念ながら他の個所と同じ幌パーツになっている。まあ、4・5号車間のためだけに幌パーツを作るのは難しいと思うので、やむを得ないだろう。

●走行性能

走行性能については、メンテナンス状態、レールレイアウト、個体差などの要素があるので、あくまでも筆者の主観が強いことをお伝えしておく。また、簡単に済ませたい。

メカニズム的にZ・N編成から変わっていないので特に良くなったわけではないが、逆にいえばZ・N編成のフライホイール動力+通電カプラーによる滑らかな走行は健在だ。こちらは動力車は1両なので協調性の心配もないし、8両編成ということでパワー的にも特に問題はないと思う。

もちろん、トミックスのR=280mmのカーブを通過することが可能である。

●収納性・付属品

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R編成通常版の基本セットはスターター向けを意識した3両セットで、紙の化粧箱+発泡スチロールのケースという同社ではおなじみの構成である。Z0編成のときもそうだったが、車体はビニールでくるまれていた。


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R編成通常版の増結セットはブックケース入りで、空いている部分に基本セットの3両を収納できる(ウレタンに切り込みがあるので抜く)。


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写真はS編成のセットで、こちらは最初から8両がブックケースに収まった状態で販売されているが、R編成も結果的には同じ状態で収納できるようになる。

8両すべてが1つのブックケースに収まり、R編成基本セットのパッケージも処分が容易であり、無駄な単品ケースが出ることもないので収納性は非常に良い。

右にある縦長の細い窪みは付属パーツ入れ。


付属品については、以下のような構成となっている(スリーブや注意書き等は除く)。

製品 付属品
S編成セット(ブックケース) マニュアル・動力台車取り付け補助棒・屋根上パーツ(パンタ車投光器+位置決め治具)・インレタ
R2編成セット(ブックケース) マニュアル・動力台車取り付け補助棒・インレタ
R編成基本セット マニュアル・動力台車取り付け補助棒
R編成増結セット(ブックケース) マニュアル・インレタ
R10編成セット(ブックケース) マニュアル・動力台車取り付け補助棒・インレタ
くまモン&くろちゃんセット(ブックケース) マニュアル・動力台車取り付け補助棒・インレタ

全体的には、同社の他製品と似た構成となっている。

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S編成のセットのみ、S1編成用にパンタ点検用の投光器パーツが付属する。Z0編成に付属していたものと同じだが、成型色は白藍色になっている。治具もあるので位置決めしやすい。

なお、実車編で書いたとおり、現在は投光器は撤去されている。

下は「動力台車取り付け補助棒」で通電カプラー付き動力台車の取り付けに使用する。こちらはR編成の増結セットを除き付属している。


●総評

冒頭でも書いたとおり、今回レビューしたトミックスのS・R編成は、基本的にはZ・N編成の既存製品から派生したバリエーションである。表面上は徹底的に差別化するも基本仕様は同じであるため、九州新幹線全線開通に合わせた3月発売も危なげなく実現。この点は同時期に発売のカトーE5系とは大きく事情が異なる点だろう。また、当初はJR西日本所有車(7000番台・S編成)のみの発表だったが、ほどなくJR九州車(8000番台・R編成)も発表。両者は実車の段階でほとんど差がないわけで、模型もここまで見てきたとおり印刷表記を変える程度で済んでいる。これほど簡単なバリエーション展開はそうはなく、しかもスターター向けや限定品も用意。販売戦略的にも見るべき点が多い製品といえるだろう。

模型そのものは既存のZ・N編成をベースにしているので、本質的な部分は変わっていないと思う。したがって、Z・N編成のレビューで書いたような、淡々とした雰囲気を感じなくもない。

とはいえ、ボディだけではなく床下も一新されているし、一部モールドなど細かくて地味ながら修正されている部分も多い。とりわけZ・N編成では再現度が低く不満だった床下や台車については、S・R編成では完全再現といっていいくらいに改善されているなど、単なる「既存製品のバリエーション展開」にとどまらないこだわりが感じられた。それでいて従来のZ・N編成と並べても浮いた感じは一切なく、非常にバランスよくまとまっている製品だと思う。

ただ、今回のS・R編成レベルのこだわりが、既存のZ・N編成、特にN編成に反映されていたらと思うと・・・ちょっと残念に思ったのも事実だ。レビュー中にN編成にS・R編成の床下を移植してみたとき、特にそう思った。N編成は模型としてはまだまだ新しい製品なので当分先の話だと思うが、もしリニューアルが実現するなら、S・R編成のようなこだわりを盛り込んでほしい思う。

最後に購入ガイドで締めたい。今回は3種類の製品があるとはいえ、すべて同一メーカーで、模型自体は実質的にはほとんど同じ。その中からどれを選ぶかは結構悩ましいと思われる。

ベタに考えるなら、初心者なら基本セットがあるR編成通常版、上級者ならS編成、R2編成は面倒くさがりな人および限定品萌え(?)な人向けということになるだろうが、結局のところ大差ないのが実情だ。あまり深く考えず、JR西日本が好きならS編成、JR九州が好きならR編成、そんな感じのチョイスでいいんじゃないだろうか。

S・R編成のバリエーションを揃えたいということだと、R編成通常版とR2編成の組み合わせは編成・形式番号が異なる程度なので、R編成のどちらかとS編成を組み合わせるのが良いかもしれない。特にS編成はS1編成に仕立てればR編成との差別化ができるはず。

入手性については、R2編成は限定品なので入手が難しい可能性がある。ただ、既に書いてきたように通常製品と大きな差があるわけではないので、ここ数年はプレミアが付くほどにはならないんじゃないだろうか。一方、S編成やR編成通常版はコンスタントに再生産が行われ、入手が難しい状況にはならないと予想している

これからの東海道・山陽・九州新幹線の主力となるN700系。模型でもフルラインナップが完成し、もっとも旬なモデルとも言える。カトーのZ1編成、トミックスのZ0編成、N編成も交えて楽しみたい。

【コラム】限定品「JR N700-8000系山陽・九州新幹線(R10編成)」について

祝!九州 九州新幹線全線開CM180秒(Youtube)

上のリンクは九州新幹線全線開通のCMで、開業直前の2月20日、鹿児島中央から博多までレインボーラッピングされたN700系R10編成が走行し、それに沿線の人たちが開業を祝って手を振るシーンが続くというものだ。

もともとローカルなCMなので当初はそれほど話題に上らなかったが、3月11日に発生した東日本大震災で日本全体が意気消沈していた中、シンプルで素朴ながら非常に前向きな内容が評価され、一気に話題となった。後にカンヌ国際広告賞金賞まで受賞し、数量限定ながらDVDも発売に。Youtubeでは2011年10月時点現在、すでに300万回再生という人気っぷり。もはや改めて説明する必要はないかもしれない。

そして、なんとトミックスがこのCMで使われたR10編成を製品化、急遽発売することとなった。3月にN700系S・R編成の製品が発売済みであり、レインボーラッピングを施すだけなので製品化のハードルが低いことも確かだが、わずか半年以内で発表〜発売までこぎつけるという、前代未聞のバリエーション展開である。

N700系_1148

2011年の鉄道模型ショウで展示されていた試作品。

ラッピングは製品版ともども、1・6・7・8号車の4両(海山両側)に施されている。


模型の仕様自体はこれまで紹介したものと同じで(新規製作パーツなどはない)、車体にレインボーのラッピング(メッセージ入り)があること、R10編成の形式番号が印刷済みであること、インレタがR10編成に対応していること(収録内容は同じく限定品のR2編成と同じ)、ケースのジャケットが独自デザインであるくらいしか差がない。

実車は開業前に1日しか走ったことがないので、極めてマニアックな商品に思える。その一方で、CMの話題性から一般受けしそうな気もするという、なんとも不思議な商品である。

限定品ということで、コレクターズアイテム的なイメージがある当製品だが、見た目には結構模型映えするので走らせても楽しいと思う。あのマイア・ヒラサワのBGMを流しながら走らせるのもオツかもしれない。また、レンタルレイアウトで走らせたらギャラリー受けするんじゃないだろうか。

【コラム】限定品「JR N700-8000系山陽・九州新幹線(くまモン&くろちゃん)」について

2014年5月、N700系R編成に説明不要のゆるキャラ「くまモン」と、阿蘇駅名誉駅長「くろちゃん」のラッピングを施した製品が限定品で発売された。実車の走行エリアは西日本・九州に限定され、運転期間も2013年10月から1ヵ月ほどというマニアックさでありながら、そこはキャラのネームバリューで製品として十分に成り立つということか。

模型そのものはこれまで紹介したR編成と変わりはなく、くまモン&くろちゃんの印刷を施しただけであり改めてレビューというほど書くネタはないので、コラムとして簡単に紹介することにする。

N700系くまモンレビュー03

N700系S・R編成の限定品としては第3弾となる。新幹線でキャラクターラッピングの製品化は珍しい。

N700系くまモンレビュー02

8両フル編成を1セットで構成。このへんはR編成通常品以外のセット構成と同じである。

付属インレタはR2編成のものを収録しているが、同編成は初回限定品で製品化実績があり、その時のインレタとほとんど同じものである(品番などが一部差し替えられただけ)。

余談だが、同一編成が同一メーカーから別製品で出るというのは珍しい(他には200系K47編成くらい)。


N700系くまモンレビュー01

トミックスの限定品ではおなじみの専用デザインのジャケットとなるが、製品名ロゴの横にくまモンの「赤ほっぺ」を模したと思われるデザインが面白い。


N700系くまモンレビュー04

1号車の前位・後位。キャラクターラッピングは主に客用窓の間に配置されている。関東住まいの筆者には実車を見たり撮ったりの機会はなかったので、印刷位置の正しさについては断言できないが、ネット上に数多ある画像と比べる限りは問題ないのではないだろうか。

今回の製品化にあたり新規制作されたパーツ等はない。また、塗装の色調・光沢感も従来製品とまったく変わらない。形式番号はR2編成のものが印刷済みで、インレタの施工が必要なのは窓の編成番号や屋根上の号車番号程度である。


N700系くまモンレビュー06

半室グリーン車となる6号車は窓の間隔が大きい個所があり、イラストも他より若干大き目。キャラクター周囲の輪郭があまりシャープでない気がするが・・・


N700系くまモンレビュー05

ちょっと拡大。くまモンの右下は実車では何かの文字があるのだろうか。模型では全く読むことはできない。キャラクターの周囲もやはりギザ付き気味。

Suicaペンギンは輪郭にわざと「ビビリ線」という効果がつけられていて、くまモンにもそういうのがあるのかと実車の画像を追ってみたが、そんなこともないようだ。


N700系くまモンレビュー07

さらに拡大すると、かなりギザ付き目立つ。ただ、左の1号車のはさすがに拡大しすぎで、直接目で見る分にはここまでわからないことも確か。キャラクターの白抜きはボディ色ではなくきちんと白になっているようで、その点は評価できると思う。

それにしても・・・号車番号や禁煙マークもキャラクターに合わせて(?)印刷品質が悪くなっているような。


N700系くまモンレビュー08

従来製品(右)と比べると一目瞭然。異常拡大しているのは確かだけど、これは劣化と言われても仕方がない。形式番号とかロゴマークは相変わらずシャープなので、今回の号車番号や禁煙マークはキャラクターと同じ印刷行程なのかもしれない。それにしても、従来製品の印刷クオリティからすれば、キャラクターも含めてもっとシャープな印刷を期待していたのだけど・・・

実際のところ、キャラクターも号車番号も、走行させたりなど普通に走らせている分には気にならないことは確かだ。それでも、さすがに今回は「カスレもなくシャープ」という評価は与えることはできない。


造形とか塗装といった、模型の基本仕様は本レビューで書いたものと同じであり、N700系R編成としてはほとんど問題ないハイレベルなものだ。それだけに、同社らしくない印刷クオリティなのは惜しい。せっかくの有名キャラクターもの、しかも特別限定品であればこそ「普通に見る分には気にならないレベル・・・」で妥協してほしくなかった。

まあ、それでも「普通に見る分には気にならないレベル」なのは確かで、それで許容できるなら良い製品かもしれない。(前述のレインボーほどではないが)マニアックな製品だけども、味気ないイメージ(?)のN700系にしては珍しい華やかな姿が楽しめる。新幹線の同種の製品はカトーのE2系Suicaペンギンラッピングくらいなので、その意味でも存在意義がある製品といえよう。


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