1.Nゲージの連結方式 |
2.新幹線Nゲージ連結器の種類(1) |
3.新幹線Nゲージ連結器の種類(2) |
4.新幹線Nゲージ連結方式・データ編 |
5.分割併合用カプラーについて |
トミックス初の新幹線模型は東北新幹線200系で、カトーの200系とほぼ同じ時期にリリースされているが、前ページに書いたように、カトーが無難にアーノルドカプラーを採用したのとは対照的に、トミックスは新開発の「フックリングカプラー」を採用した。
正式には「フックリングカプラー&可動幌」であり、「可動幌」という外幌を表現したパーツと不可分なものとなっている。カプラーはその名の通り、リングにフックをひっかけるという至極単純なもので、その構造ゆえにプラレールと揶揄されることも多い(形状は異なるが、プラレールもフックとリングで連結する)。伸縮機能はなく、連結間隔は広めである。
外幌については、可動幌と呼ばれるパーツで表現される。車体を中心にシーソーのように左右に動き、連結部に連続感を与える効果があるが、好みが分かれそうな方式ではある。
とはいえ、走行安定性や扱いやすさはシンプルな構造ゆえに高く、なにより優れているのはフックとリングという単方向連結なので、連結の方向が一定になるというメリットがある。例えば、東海道新幹線系統なら、東京側はリング、博多側はフックと決まっているから、「どっちが東京側だっけ?」なんて考えることなくガシガシ連結できるのだ。新幹線(というか電車)は連結の方向は決まっているので、このメリットは大きい。また、連結操作も両車を軽く当てるだけ、切り離しはフック側車両を持ち上げるだけである。
コストも安いのか、現在までトミックスの標準的なカプラーとなっているが、登場から相当な期間が経っているので、その間にいくらかモデルチェンジしている(後述の通電カプラーも当カプラーの発展型といえる)。ここでは、初めて登場したタイプを「初期型」と称して紹介する。
初期型は連結間隔が広く、可動幌パーツは車体に入り込む際のマージンを相当持たせているためか、後退角が大きく厚ぼったい。筆者がこのカプラーを初めて見た中学生の頃は画期的だと思ったが、今見ると玩具っぽいという評価もむべなるかな。基本設計が古いのでやむを得ないが、全体的に大味なのだ。
また、製品にもよるが可動幌パーツは地が未塗装(帯色だけ印刷されている)なので、黄ばみやすいという持病がある。蛍光灯に長く当てていたり、長期在庫していた個体では外幌だけ黄ばんでいるものも目につく。
当カプラー採用製品がリニューアルされる場合、通電カプラー化と同時に可動幌もろとも変更されているため、今後の新製品で初期型が採用されることはないと思われる。
妻面にあるのが可動幌。これがシーソーみたく動く(バネで復元)。カーブでは擦動する形になる。
色がわかりやすいので200系で。このようにフックとリングのシンプルな構成。台車マウント式である。
「リングにフックをひっかける」様子がわかると思う。真横から見ると、可動幌もそれほど悪くないのだが・・・。
可動幌は後退角が大きい。また、可動幌が車内に入るので客用扉の窓はガラスは省略されている。
車体のプラも厚く連続感はイマイチ。なんとも大味な印象。
右は200系でこっちが初出。全周幌みたいな形状だった。リニューアル前の0系・100系・300系は左のタイプが共用されていた。
このカプラーの採用製品(リンククリックでアーカイブオープン)
国鉄 0-2000系東海道・山陽新幹線 | 1983年12月 発売 |
JR 0-2000系東海道・山陽新幹線 | 1996年8月 発売 |
JR 0-7000系山陽新幹線(ウエストひかり) | 1996年8月 発売 |
さよなら・・・0系新幹線 JR 0-2000系東海道・山陽新幹線 | 1999年 発売 |
JR 0系東海道新幹線 20世紀保存セット | 2001年9月12日 発売 |
JR 0-7000系山陽新幹線(フレッシュグリーン) | 2003年6月 発売 |
山陽新幹線博多開業30周年記念 0系ひかり | 2005年7月30日 発売 |
国鉄 100系東海道・山陽新幹線 | 1986年 発売 |
JR 100系東海道・山陽新幹線 | 1987年 発売 |
JR 100系東海道・山陽新幹線 | 1990年 発売 |
JR さよなら100系東海道新幹線セット | 2004年7月 発売 |
JR 100系山陽新幹線(フレッシュグリーン) | 2005年2月11日 発売 |
JR 100系東海道・山陽新幹線 | 2005年7月21日 発売 |
国鉄 200系東北・上越新幹線 | 1982年 発売 |
JR 200系東北新幹線 | 1993年 発売 |
JR 200-2000系東北新幹線 | 1990年6月 発売 |
JR 300系東海道・山陽新幹線 | 1992年 発売 |
その名の通り、前述の初期型を改良したフックリングカプラー。公式的に「改良型フックリングカプラー」と呼ばれている。山形新幹線用400系が初出で、採用実績は初期型よりも多い。
フックとリングで連結し、可動幌があるという点は初期型と同じで、総じて使い勝手やメリット・デメリットも共通している。ただし、カプラーは形状が変更され、連結間隔が詰められて少し狭くなった。
大きく変更されたのは可動幌で、初期型に対して以下の点で改善がみられる。
また、全体的な改善点としては以下が挙げられる。
「改良型」では主に、見た目に関する改善がメインとなっていることがわかる。連結間隔は伸縮カプラーには及ばないものの、初期型からは飛躍的に改善されたといえよう。
当カプラー採用製品もリニューアルの際に通電カプラーへの移行が行われているが、初期型と異なり可動幌は変更されていないため、見た目については十分な水準に達しているということだろう。
可動幌はH型の断面となり、全体的にシャープに。
カプラーも形状が変更されている。特にリングは穴が小さい。付け根が細いがここの「しなり」もアクションに活かされている。
可動幌は密着に個体差がある。後退角がかなり減っていることがわかる。車端部の窓は相変わらず省略されているが、リニューアル(通電カプラー化)で窓が追加された製品もある。
初期型と比較して車体のプラが薄く、見栄えが良くなっている。
改良型採用モデルを左から700系、E3系、E2系、500系、E1系。ミニ新幹線・2階建て・断面の丸い500系まで形状の自由度が高い。なぜかE2系の可動幌は初期型並みに後退角が強い。
E2系の後退角の大きさの原因として、可動幌の回転中心位置が他の製品と異なる点が挙げられる。右の700系は回転軸が外から見えるが、E2系は見えない。
可動幌パーツ自体を比べてみても、E2系は車内寄りに回転軸があるため後退角を大きく取らざるを得ないと考えられる。一方の700系は回転軸が外側に寄っているため後退角は抑えられているが、その分車内側にも後退角がある。
E2系は車端内側、700系はほぼ車端の線上に回転軸(ブルーの円)があることが分かる。改良型可動幌の製品は基本的に床下や座席パーツは専用設計となるが、E2系のみ300系の床下を流用しているという事情がある。300系は初期型可動幌なので、E2系の可動幌もそれに準じた設計にせざるを得なかったようだ。
余談だが、初期型可動幌の製品(0系、300系など)も通電カプラー化の際に後退角が減っている(右が新型)。通電カプラー化で連結間隔が狭くなったことで可動幌も厚みが減り、相対的に回転軸が外側に移動したことがその理由と考えられる。
ただ、実際に計測するとそれほど外側に移動しているわけでもないのだが・・・旧型が相当マージンを持たせているということかもしれない。
このカプラーの採用製品(リンククリックでアーカイブオープン)
JR 400系山形新幹線 | 1993年10月 発売 |
JR 400系山形新幹線(つばさ・新塗装) | 2001年11月 発売 |
JR 400系山形新幹線(つばさ・旧塗装) | 2003年12月11日 発売 |
JR 400系山形新幹線(つばさ・新塗装) | 2008年8月30日 発売 |
JR 400系山形新幹線(つばさ・旧塗装) | 2008年10月1日 発売 |
JR 500系 東海道・山陽新幹線(のぞみ) | 1998年11月 発売 |
JR 500系 東海道・山陽新幹線(のぞみ) | 2006年10月28日 発売 |
JR 700-7000系 山陽新幹線(ひかりレールスター) | 2003年2月27日 発売 |
JR 700-7000系 山陽新幹線(ひかりレールスター) | 2004年9月 発売 |
JR 923形新幹線総合試験車 | 2002年12月19日 発売 |
JR E1系(Max) 東北・上越新幹線 | 1995年 発売 |
JR E1系(Max) 新幹線 | 2001年5月8日 発売 |
JR E1系上越新幹線(Max・新塗装) | 2004年9月 発売 |
JR E2'系 新幹線 | 1997年12月 発売 |
JR E2-100系東北新幹線(はやて) | 2004年12月10日 発売 |
JR E2-0系長野新幹線(あさま) | 2004年11月 発売 |
JR E3系秋田新幹線(こまち) | 2000年12月12日 発売 |
JR E3-1000系山形新幹線(つばさ) | 2001年2月 発売 |
JR E3系秋田新幹線(こまち) | 2010年5月27日 発売 |
JR E3-1000系山形新幹線(つばさ) | 2010年6月11日 発売 |
JR E3系秋田新幹線(ありがとうこまち) | 2014年3月20日 発売 |
JR E4系 東北・上越新幹線(Max) | 2005年11月17日 発売 |
「通電カプラー」と呼ばれるが、内容的にはフックリングカプラーの発展型である。初期型を第一世代、改良型を第二世代とするならば、通電カプラーは第三世代に相当する。
その名の通り、カプラー自体に通電機能があるのが特徴で、編成全体に安定した給電が期待できる。小田急ロマンスカー「VSE」の模型で初めて採用されたもので、それをフックリングカプラーに応用したのが当カプラーである。例えばN700系は16両編成だが、16両すべての車両に電流が引き通しされることになり、走行時に以下のようなメリットをもたらす。
実際に走行させてみるとわかるが、実に安定した走行が楽しめる。ヘッドライトも室内灯もLEDが主流になった今ではチラツキも目立つようになったが、その対策としても心強い。性質上、長い編成ほど効果が大きい。ただし、メンテナンス不要というわけではないのでそこは注意したい(レール&車輪の汚れがひどければやはりチラツキなどが起こる)。
走行には多くのメリットをもたらす当カプラーだが、見た目には改良型フックリングカプラーと大差なく、伸縮機能もないので連結間隔も広めとなっている。走行中のアクションも従来のフックリングカプラーそのものだ。
従来のフックリングカプラーと異なり、台車とカプラーが一体ではないため、直進時でもカプラーが明後日の方向を向いていることがある(伸縮カプラーでも見られる現象だが)。連結させるにはまっすぐに揃える必要があるが、それでもグニャッと曲がりやり直しになることも多く、操作性は若干悪くなった。
見た目はともかく、通電による走行へのメリットは確かなものがあるので走行派には好評である。新製品はもとより、初期型フックリングの製品は可動幌の変更を要したものの、改良型の製品は台車とカプラーの変更のみで済むなど、従来製品との相性がよいため、リニューアルの際に通電カプラー化されるのが定番になっている。後発の「フック・U字型通電カプラー」採用製品が増えつつあるものの、発売当初から、あるいはリニューアル時点でフック・リング式が採用された製品のバリエーション展開には引き続き同カプラーが採用されているため、トミックス新幹線カプラーとしてまだまだ現役。
食パンのような断面の可動幌はN700の全周幌を模したもので、通電カプラー固有の形ではない。
改良型フックリングカプラー製品が通電カプラー化される場合、可動幌は従来のものがそのまま使用されている。
連結時の間隔や見た目は改良型と大差ない。発売当時から通電カプラーのN700系はもとより、従来製品でも通電カプラー化(リニューアル)の際に車端部の客用扉窓が追加されているため、当カプラー採用製品で窓がない製品は存在しない。
フックとリングは変わらないが、電気接点があるのがポイント。台車とカプラーの動きは独立している。
連結すると台車から伸びた電線がカプラーで接続される。
給電しているレール(奥)から分断されているが、ヘッドライトは点灯している図。
2009年のリニューアルで0系も通電カプラーに変更。可動幌の形状変更と通電カプラーに変更しただけなので、旧製品の通電化は容易なようだ。
2013年発売の800系のように可動幌がない製品も現れた。TSカプラーからの変更なのでもともと可動幌がないためだが、単に固定式の外幌を省略した1980年代前半の仕様となっている。
このカプラーの採用製品(リンククリックでアーカイブオープン)
2013年7月発売のE6系以降、「フック・U字型」と呼ばれるタイプの通電カプラーが登場した。「フック」といっても引っかけるのではなく、U字型のクリップで挟みこむ方式となり、連結時は従来のフックリング式と同様にレール上で互いの車両を押し当てるが、切り離しは「フック側車両を持ち上げる」から「レール上でそのまま引っ張り離す」となり操作性も変わっている。
台車とカプラーの関係は「フック・リング式」と同じであるため、新製品のみならず従来製品のリニューアルで採用されることもある。可動幌は「改良型フックリングカプラー」の仕様に準拠しており、連結部の見た目にも大きな変化はない。
ただし、連結時に真っ直ぐ揃えなければグニャッと曲がって連結できない欠点はまったく改善されておらず、いざとなったらフック側を強引に引っかけるという手段も使えなくなってしまった。切り離しの操作性は向上したものの、「フック・リング式」の切り離しはそれほど操作性が悪かったわけではないので、全体的には使い勝手がさらに悪くなってしまったように思う。
E6系以降に新規制作された製品に関しては採用が増えつつあるが、「フック・リング式」の項で述べたように必ずしも「フック・U字型」が採用されているわけではない。当面は並行展開していくものと思われる。
カプラーの形状以外、可動幌との関係性を含め基本的には「フック・リング式」と同じ構成である。
カプラーとは直接関係がない話だが、当初採用のE6系、E5系は全周幌なのであまり問題にならなかったが、その後の採用製品であるE7系や0系大窓車以降の新規製品はH状断面の可動幌が採用されることはなく退化してしまった。
フック側の比較。左のN700系が「フック・リング式」、右のE7系が「フック・U字型」。前者は上から引っ掛けるという従来からのフックリング式の特徴を受け継いでいるが、後者はコンセプトが変わっていることがわかる。
このため、連結がうまくいかない場合、フックリング式のように「強引に引っ掛ける」という技が使えなくなってしまった。
リング(U字型)側の比較。U字型は挟みこむ形状である。電気接点方向に加圧されるため、理論上は通電性能が上がっているかも?ただ、それを感じ取るのは難しそうだ。
写真はE6系の連結状態。連結の剛性は高く、(絶対に真似しないでほしいが)2両くらいぶら下げて持ち上げることができるほど。走行で牽引力に負けることはない。
※「各種アクション」は「フック・リング式通電カプラー」と全く同じなので省略します。
このカプラーの採用製品(リンククリックでアーカイブオープン)
国鉄 0系東海道新幹線(大窓車・初期型) | 2014年7月31日 発売 |
国鉄 0系東海道新幹線(開業ひかり1号・H2編成) | 2014年7月25日 発売 |
JR E3-2000系山形新幹線(つばさ・新塗装) | 2015年9月19日 発売 |
JR E3-2000系山形新幹線(つばさ・旧塗装) | 2015年8月8日 発売 |
JR E3-0系東北新幹線(なすの) | 2015年7月31日 発売 |
JR E3-2000系山形新幹線(つばさ・Treasureland TOHOKU-JAPAN) | 2017年6月29日 発売 |
JR E3 2000系 山形新幹線(つばさ・旧塗装 Treasureland TOHOKU-JAPAN) | 2017年3月25日 発売 |
JR E3-700系上越新幹線(現美新幹線) | 2017年9月22日 発売 |
JR E4系上越新幹線(新塗装) | 2015年5月29日 発売 |
JR E4系東北・上越新幹線(旧塗装) | 2015年6月26日 発売 |
JR E4系上越新幹線(旧塗装・朱鷺マーク付) | 2015年6月27日 発売 |
JR E5系東北新幹線(はやぶさ) | 2013年11月29日 発売 |
JR E5系東北新幹線(はやぶさ) | 2013年11月29日 発売 |
JR H5系北海道新幹線 | 2015年7月25日 発売 |
JR H5系北海道新幹線(はやぶさ) | 2015年7月25日 発売 |
JR E6系秋田新幹線(こまち) | 2013年7月27日 発売 |
JR E6系秋田新幹線(スーパーこまち) | 2013年8月1日 発売 |
JR E7系北陸新幹線 | 2014年4月19日 発売 |
JR E7系北陸新幹線 | 2014年4月12日 発売 |
JR W7系北陸新幹線 | 2015年2月27日 発売 |
JR W7系北陸新幹線 | 2015年2月27日 発売 |
同社のTNカプラーを新幹線向けにアレンジしたカプラーで、九州新幹線800系で初めて採用された。在来線ではTNカプラーで名を馳せたトミックスだが、新幹線での伸縮カプラーは後発であり、従来と異なり双方向の連結になっているなど、ある意味「トミックスらしくない」カプラーである。
TNカプラーに対してねじり方向にも強くした形状で、円筒形という実物にはない独特な形状をしている。TNカプラーは実物と同じ形状で連結できるというのが売りだったが、TSカプラーはすべて中間車用のためか、形状のリアリティは追及していないようだ。
連結間隔の狭さはさすが伸縮カプラーといえるもので、見た目にはカトーのダイアフラムカプラーと遜色ない。もちろんカーブでは伸びるため、外幌も表現されている。
ボディマウント式の宿命だが、連結させる前にカプラーをまっすぐ揃えておく必要がある。カプラーの接点が非常に小さく、操作性はイマイチという感じだ。切り離しはTNカプラー同様に両車を引っ張るだけでよいのだが、その時にカプラー自体がうにょ〜んと伸びる。カプラーは軟質プラ製なのでそれで問題ないのだが、ちぎれるのではないかと心臓に悪い思いをする。
採用実績は800系と700系3000番台のみである。800系以降に発売になったE4系は、併結相手の400系・E3系がフックリング式だったことから、統一のためフックリング式が採用された。その後N700系が発売されるが、全周幌の同形式にはTSカプラーよりも可動幌の方が向いているため、前述の通電カプラーが採用された。
今後の新幹線車両は全周幌が主流になるだろうし、0系などのように従来製品がわずかな部品交換のみで通電カプラー化できるとなると、今後TSカプラーの採用は新製品、従来製品の改良ともに厳しいというのが実情だろう。初採用となった800系も、外幌を省略しつつ通電カプラーに変更された。出る時期が悪かったというか、悲運のカプラーである。
円筒形の独特なカプラー。妻面はある程度作りこまれている。また、固定式の内幌パーツも装備。
カプラーの伸びはTNカプラーより長い気がする。外幌対策だろうか。
連結間隔はさすがに狭くてリアル。カトーのダイアフラムのように内幌はつながってないが、見た目にはまったくそん色ない。
カプラーはボディマウントだが、細くて華奢なカプラーだ。これが切り離すときにすごく伸びて、精神的によろしくない。
このカプラーの採用製品(リンククリックでアーカイブオープン)
JR 700-3000系 東海道・山陽新幹線(のぞみ) | 2006年7月26日 発売 |
九州新幹線 800系つばめ | 2004年11月 発売 |
九州新幹線 800系つばめ U005編成 | 2004年11月 発売 |
九州新幹線 800系つばめ U001編成 (九州キオスク限定品) | 2005年 発売 |
カトー・トミックスと比べ、新幹線模型の歴史が浅い(2002年参入)マイクロエース。同社の新幹線模型は独自の伸縮カプラーを装備している。公式な名称はないが、ここでは「マイクロエース新幹線カプラー」と呼ぶことにする(そのまんま・・・)。
基本構造は典型的な伸縮カプラーそのものだが、連結はくちばし状のクリップで行う、他には見られないユニークなもの。連結は両車を当てるだけ、切り離しは片方を持ち上げるという、カトーのダイアフラムカプラーに似た操作性である。ただし、カトーの「カチッ」というクリック感に対し、やや「グニャ」とした感触ではある。当然ながら外幌は表現され、カーブも問題なく曲がることができる。連結させると微妙に前後に遊びがあるのだが、走行中はほとんど気にならない。
問題点としては、伸縮カプラーにしては連結間隔が広いということだろうか。直進時でも、非伸縮カプラーと大差ない間隔である。下写真にも掲載したが、製品によってはトミックスの初期型フックリングカプラーよりもさらに広いものが存在する。外幌が他社製に比べると大きめで、しかも後退角がほとんどないことが理由かもしれない。7mm以上の連結間隔でありながらR=354mmのS字すらクリアできない製品もあり、走行安定性は問題なく通常のカーブならばR=280mmでも曲がれるとはいえ、設計が破たんしているといわざるを得ない。
2012年6月に発売された300系では当カプラーとは決別、後述の伸縮式アーノルドカプラーが採用されたものの、後が続かず「East-i」のような新規製品でさえ同カプラーに戻された。よって引き続き、同社の新幹線用カプラーとして使われるのではないだろうか。連結間隔なんとかしようよ、といいたいが・・・一応、連結間隔短縮方法を「East-i」の記事に掲載。
妻面は同社の新幹線模型に共通した汎用的な構成。外幌は厚く、後退角はほとんどない。
他に類のない形状のカプラー。ボディマウント式にもかかわらず、バネで中央に復元するのは珍しい。
連結間隔は他社の伸縮カプラーと比べて広め。
手前の「東北新幹線開業25周年記念号」は同じカプラーで、発売時期も新しいのに連結間隔が広い。後述のとおり、カプラーパーツが変更されていることが要因だが、その後はもっと広くなってしまっている製品も。
左が初期型(922形)、右が後期型(922形10番台改良品)。カプラーの根元側をはじめ、形状が少し変化していることがわかる。それだけなら別にいいのだけど、後期型は連結間隔のセッティングに余裕を持たせすぎ。近年の同社製品の連結間隔がやたらと広いのはこのカプラーパーツに起因する。
このカプラーの採用製品(リンククリックでアーカイブオープン)
0系東海道新幹線1・2次車「こだま号」 | 2002年1月16日 発売 |
0系東海道新幹線1・2次車「ひかり号」 | 2002年1月16日 発売 |
0系東海道新幹線18次車「ひかり号」 | 2003年5月 発売 |
0系新幹線 初期お召列車 白Vマーク | 2007年2月15日 発売 |
0系新幹線 1・2次車タイプ 超特急「ひかり」号・改良品 | 2011年5月18日 発売 |
新幹線 0+1000番台 NH49編成・ひかり最終編成 | 2015年8月19日 発売 |
0系 山陽新幹線 0+1000番台 R14編成 シャトルひかり | 2015年8月19日 発売 |
100系9000番台新幹線 「X1編成」・晩年 | 2009年9月15日 発売 |
国鉄100系9000番台 新幹線「X0」編成 登場時 | 2012年12月18日 発売 |
200系1500番台新幹線 | 2003年5月 発売 |
200系1500番台新幹線 リニューアル編成 | 2003年5月 発売 |
200系1000番台新幹線 リニューアル編成 | 2006年7月14日 発売 |
200系200番台新幹線 | 2006年8月6日 発売 |
200系1500番台新幹線 リニューアル「東北新幹線開業25周年号」 | 2008年4月15日 発売 |
新幹線200系0番台「やまびこ」開業一番列車 | 2009年10月15日 発売 |
新幹線200系-0番台・ピンストライプ | 2013年11月19日 発売 |
922系10番台 電気軌道総合試験車・新製時 | 2002年8月 発売 |
922系10番台 電気軌道総合試験車・改造後 | 2002年8月 発売 |
922形10番台 新幹線電気軌道試験車 新製時・改良品 | 2008年12月16日 発売 |
922形10番台 新幹線電気軌道試験車 改造後・改良品 | 2008年12月16日 発売 |
1000形 A編成 | 2005年12月13日 発売 |
1000形 B編成 | 2005年12月13日 発売 |
941形 救援車 | 2005年12月13日 発売 |
922系0番台 電気試験車 | 2005年12月13日 発売 |
E926系新幹線電気軌道試験車・East-i | 2013年5月15日 発売 |
新幹線1000形・A編成・改良品 | 2017年4月13日 発売 |
新幹線922形-0・電気試験車・第一次改造 | 2017年5月18日 発売 |
新幹線1000形・B編成・改良品 | 2017年5月18日 発売 |
マイクロエースは長らく、前述した独自の伸縮カプラーを採用してきたが、2012年6月発売の300系ではなんとアーノルドカプラーを採用。
新幹線模型のアーノルドカプラーはカトーの0系・200系と、それ以前の学研・エンドウ時代にしか採用がなく、在来線とは異なるカプラーが採用されることが多い新幹線模型において、2012年の製品に採用されるというのは強烈な先祖がえりを感じずにはいられない。
ただし、一般的な台車マウント式ではなく、ボディマウント伸縮式であることが特徴。伸縮カプラーの歴史を考えると、やや本末転倒に感じなくもないが、アーノルドカプラーの使い勝手の良さと、伸縮カプラーの連結間隔の狭さを兼ね備えうるという点では、ある意味最強の組み合わせといえるかもしれない。中間車で使うだけなら、カプラー自体の見た目はほとんど問題ないわけで。
走行安定性はもとより、使用感も従来のアーノルドカプラーそのもので、見た目は良いけど構造が複雑で扱いにくいカプラーもある新幹線模型においては、改めて扱い易さを認識。まさに温故知新。妻面を造り込めるメリットも継承しているし、ボディマウント式なので車端の床下機器も表現できるなど、従来のものより確実に進化しているといえる。
しかし、全体的な見た目、特に連結間隔に関しては思ったほど良くなっていないようだ。伸縮式といってもあまり伸びないため、連結間隔は非伸縮式カプラーと大差ない。正直なところ、伸縮式である恩恵はほとんど得られていないように思う。扱い易さと見た目の両立はやはり難しいのか。
ちなみにこのカプラー、同社の在来線模型では先頭部の交換用カプラーとして存在しており、それを新幹線模型にも採用しただけである(若干パーツが異なる部分もあるが、寸法などは同一)。取り付け部は同社のマイクロカプラーや、トミックスのTNカプラーと互換性があるため、カプラー交換で見た目の改善を図りたいところだが、交換すると連結間隔が極端に狭く、カーブが曲がれないほどになってしまう。公式にもカプラーの交換は対応していないとされており、ポン付けでの連結間隔短縮は困難といえる。
0系などの従来製品に波及することはないと思うが、今後新形式の模型が登場した場合どうなるのだろうか。E926形「Easi-t」では前述のマイクロエース新幹線カプラーに戻ってしまったが・・・引き続き、今後に注目したい。
どこからどう見てもアーノルドカプラーです、本当に(ry。
しかし、アーノルドカプラーの使い勝手の良さも継承していて、妻面を作り込めるというメリットも存分に活かされている。ご覧のとおり、従来の同社製新幹線とは異なり、かなり凝った妻面を見せてくれている。
アーノルドカプラーといっても、カトーが0系・200系で採用している台車マウント式ではなく、ボディマウント式であることが特徴。スプリングが入っていて中央に復元する。
伸縮式だが、実際はあまり伸びてくれない。スプリングの調子が悪くなったタイミングで撮影(今は回復しているが・・・)。
カプラーの「伸び」が少ないせいか連結間隔は広めであり、実際のところカトーの台車マウントや、トミックスのフックリングなどの非伸縮カプラーと大差ない。
外幌の表現がかなり控えめだが、カプラーの伸びを考えるとこのくらいが限界かもしれない。
控えめな外幌と広い連結間隔が相まって妻面は丸見え。妻面の精巧感はわかりやすいけど、新幹線としての見た目は微妙?
ボディマウント式を採用したことにより、車端部の機器類を表現できるというメリットがある。300系ではうまく活かしているし、他の形式に当カプラーを採用した場合でもこの点は期待できるか。
このカプラーの採用製品(リンククリックでアーカイブオープン)
300系 東海道・山陽新幹線「J61」編成 シングルアームパンタ | 2012年6月15日 発売 |
300系 東海道・山陽新幹線「F9」編成 シングルアームパンタ | 2012年6月15日 発売 |
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新幹線Nゲージ連結部分研究
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