●駅間の短さNo.2

筑後船小屋〜新鳥栖間は、途中に久留米駅があるだけなので短いのだが、特に久留米〜新鳥栖間は5.7km(以下実キロ)と、東海道新幹線東京〜品川間の6.8kmよりも短い。新幹線の駅間で最も短いのは東北新幹線東京〜上野間の3.6kmとなるが、それに次ぐ短さ。単に2駅で着いてしまう、と口で言う以上のものがある。

品川や上野は都心部ということもあるし、駅設置の経緯もいろいろあるので駅間の近さも理解できるが、単なる(といっては失礼だが)九州新幹線の中間部分でこの近さというのは不思議に思う。まあ、政治的駆け引きだとか、地元の誘致だとか・・・難しい問題がいろいろあるんでしょうな。

そんなわけで、せっかく乗った旧800系(U001編成)ともあっという間にお別れだ。それでも、しっかり車内徘徊して撮影は怠らなかったですがね(今回は写真は省略)。

●初の駅外撮影@新鳥栖

2日前からのここまでの撮影で、資料写真としてはかなりの枚数を押さえることができているが、800系の屋根上だけは未撮影だ。同形式は九州新幹線限定の車両だから、九州新幹線内、しかも効率を考えるなら博多〜熊本間で撮影地を探さなくてはならない。

とはいえ、気にかけていた場所はあった。季刊誌「新幹線EX」を見ていたら、新鳥栖駅から博多方面に1.5kmくらい離れた道路橋上から俯瞰した写真が撮れるとの記事が。この道路はGoogleストリートビューにもしっかり登録されており(ホント便利だね)、画像を見る限りはフェンスがあるものの、確かにいい感じで撮れそう。徒歩でも問題なく行けそうだし、駅から近いので停車する列車ならそれほど速度も高くないはず。「1日目・その2」で書いたような、屋根上資料撮影(俯瞰撮影ではない)ができる条件は満たしていそうだ。

というわけで、今回の遠征では初の駅外撮影となる(広島駅では改札を出ているが、駅の直上だったし)。屋根上撮影ということで動画中心となるため、メイン機「HS20EXR」は荷物とともに駅のロッカーに預けて身軽になっておく。持っていくのは貴重品と、サブ機「SX130IS」だけだ。新鳥栖駅を出て、あらかじめGoogleMapを印刷した地図を確認しながら目的地に足を進めた。

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とりあえず、駅の東口(でいいのか?)に出る。在来線の駅と踏切があるが、進むのは写真とは反対方向。


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上の写真と反対方向、左手に新幹線の高架を見ながら進むと(高架下にあるのはこの先にある保線基地の詰所のようだ)、やがて県道につき当たる。

新幹線の高架を一度くぐり(今度は右手が高架になる)、県道を横断。


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すると、このような小川沿いに田んぼ・畑を突っ切る小道があるのでひたすら道なりに進む。新幹線の線路が常に見えているし、遠くに目的の陸橋も確認できるから迷うことはないはず。

季節がらか、この道はトンボの群れがすごかったな。別に襲ってはこないが(w、ちょっと引いてしまうほど。


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お目当ての陸橋が見えてきた。陸橋脇の側道から回り込んで上を目指す。

駅付近では高架だった新幹線の線路が、ほぼ地表の高さになっている。


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着いたー!!

陸橋のフェンスがないギリギリの位置から新鳥栖駅方面を撮ってみた。


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そのままズームさせれば、新鳥栖駅の様子も確認できる。コンパクト機種なのだが「SX130IS」は12倍ズームということもあり、結構遠くまで撮れる。


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ほぼ線路直上、フェンスがある部分から新鳥栖駅方面を撮影。線路沿いに今歩いてきた道がわかる(けっこうグネグネしてるのだ)。

この写真では少し写っているが、フェンスは例によって望遠気味にして画角を狭くすればクリアできるので、屋根上撮影には申し分ないポジションだ。


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反対側の博多方面はこんな感じ。筑紫トンネルから近く列車に気付くかが問題だが、接近してくると音が反響して聞こえてくるので、新鳥栖駅への到着時刻を把握していれば逃すことはないはず。

最近の新幹線(整備新幹線)特有の枠型スラブが印象的。トンネルを抜け、遠くに見える山を越えれば福岡(博多)エリアとなる。


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ところでこの陸橋、フェンス下部のコンクリートには寄り欠からない方が無難。白い粉(石灰?)でズボンが思いっきり汚れます

罠にはまった人。ノシ


新鳥栖駅周辺はまだ発展途上で飲食店などがなく(もちろん改札内にもない)、駅にあるコンビニ(ファミマ)で調達できる程度だ。撮影時間も惜しいので、パンと飲み物を買ってきて現場で食べながらの撮影である(w。広島駅の屋上駐車場と同様、日光を遮るものがないので夏は熱中症に注意。自販機も道中や近くになかったので、飲み物などは駅のコンビニで調達しておく方が無難だろう(ゴミは持ち帰るように)。

屋根上資料の撮影地としては、駅から1.5km程度とはいえ本気で加速してくるので、他の場所(広島駅や日暮里など)より速度がやや速いが、一応問題ないレベルだった。ただ、加速も減速もない新鳥栖を通過するやつは無理である。

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新鳥栖方面から加速してくるU008編成(動画から切り出し)。


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こちらは博多方面(トンネル側)から出てきたポケモンラッピングのU009編成。


なお、筆者のような変態撮影じゃなくても、通常の撮影地としてもなかなか良好だと思う。筑後船小屋と同様、列車が頻繁に来て飽きないし、新幹線の線路直上から外れて(フェンスがないあたりから)撮れば斜め俯瞰という感じになるし、流し撮りしても面白そうだった。

一つだけ注意したいのが、博多方面と新鳥栖方面の両方が撮れるのはよいのだが、陸橋上の道路はかなり交通量が多く流れも速いという点。陸橋ゆえに見通しも悪いので、撮影の向きを変える際に道路を横断するのは危険である。面倒でも陸橋の下から反対側に移動するようにしたい。

結局2時間ほど撮影したが、800系がかなりの頻度で来てくれたおかげで、パンタ検測のあるU001編成(検測装置は撤去されているが面影が残っている)・U008編成の違いも撮れたので大満足だ。これで現時点で走っている車両(営業用のみ)の屋根上はすべて押さえたことになるから、このサイトで思う存分使うことができるだろう(←プレッシャー)。

まだまだ明るいが、時間はすでに17:00を回っている。次に乗るのは17:41発だからそろそろ撤収となる。夕方になっても相変わらずのトンボの大群をくぐりぬけながら、新鳥栖駅へと戻った。

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新鳥栖駅の外観。九州新幹線の各駅はこのように凝ったデザインのものが多い。同時に、周辺がまだまだ発展途上という駅も多い。

この新鳥栖駅、計画中の九州新幹線長崎ルートが開通した際に分岐駅となる予定。また、現在のところ佐賀県にある唯一の新幹線駅である。


●博多も発展したなあ・・・

九州新幹線のトリを務めるは「つばめ354号」。U003編成(カトーと同じ!)が充当されていたので、本日2回目の旧800系となる。最初はどうなるかと思っていたが、結果的にはU009・U007・U001・U003編成の順で、新旧両方乗れたことになる。

ただし、新鳥栖の次は終点の博多なので、今回のU003編成はたった1駅の乗車である。U001編成で押さえていることもあるが、さすがに車内徘徊は諦め大人しく座っていた。博多総合車両所分岐からは列車の速度が遅くなるとはいえ、それでも10分ちょいで博多に到着した。

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18:00近くになり、陽が傾きつつある博多駅にて。

このホームは九州新幹線開業に伴い増設されたホームで、800系がいる線はこの先行き止まりだが、隣の線は山陽新幹線とスルーしており、写真のように新大阪・東京方面の「のぞみ」と対面乗り換えできるように考慮されている。


この日は鹿児島中央→新鳥栖、新鳥栖→博多という自由席特急券で来ているから、いったん博多駅で改札を出る必要がある(次の列車は指定席なので事前購入済み)。どのみち次の列車まで時間があるし、夕食の調達もしたいので、改札だけではなく駅の外にもちょっとだけ出てみた。

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新しくできた巨大な駅ビル「JR博多シティ アミュプラザ博多」。前回博多に来た7年前と比べると、鹿児島中央駅と同様にかなり垢ぬけた印象だ。

フレームに収まっていないが、暑いしビルの前の広場から移動する気力もなく・・・


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「JR博多シティ」では水戸岡氏(前ページ参照)の「大鉄道時代展」というイベントをやっていたようだ。残念ながら、時間がなくスルー。


「JR博多シティ」は屋上に鉄道神社があったり、模型店「ポポンデッタ」が入店していたり、写真には写っていないが、エスカレータ両側の透明な壁には蒸気機関車の動輪を模したオブジェが回転している(表現伝わるか?)など、鉄道がらみのものが多いのが特徴だ。

筆者にも楽しめそうなスポットが多そうだが、今回は時間がないのでパス。いつか、じっくり観光で来て楽しみたい(こればっかだな)。

●「ひかりレールスター」にも乗っておけ!

博多から帰るのも、飛行機なんて無粋な手段ではなくもちろん新幹線。次に乗るのは「ひかりレールスター」として運転される、「ひかり576号」だ。

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案内表示機がフルカラーとなり、駅の内部も垢ぬけた博多駅にて。3段目の「ひかりレールスター」がターゲット。


今回、引退が見えている100系に「乗り納め」という目的で乗ったが、100系が引退したらその穴埋めとして、「ひかりレールスター」で使用されている700系E編成が充てられるのは火を見るより明らかだ。実際「さくら」に押し出される形で「こだま」運用が増えていること、9月から本数が激減することから、「ひかりレールスター」という列車も先が見えているといっていいだろう。

そこで、「ひかりレールスター」にも乗り納めようというわけだが、関東住まいにはなじみが薄く、正直なところ、それほど思い入れはない列車ではある。過去に新大阪から広島まで1度乗っただけだし、そのときは「サイレンスカー(車内放送や検札を控えた車両があった)」に乗車したものの、名前負けしたうるさい車内(乗客のおしゃべり)、全体的に混雑してせわしない雰囲気などで、むしろあまりいい思い出がなかったりする。

700系E編成が「ひかりレールスター」から撤退しても、当面は「こだま」として走り続けると思うので、このタイミングで乗り納めする必要はないのかもしれない。しかし、車両のみに着目した場合、「こだま」専用車になる際に改造を受ける可能性がある。500系の例を見る限り、それほど大きな改造はないかもしれないが、セミコンパート(簡易個室)、側面ロゴマークの撤去等は十分に考えられる。「ひかりレールスターという列車」にではなく、「ひかりレールスターとしての700系E編成」に乗り納めしたかったのだ

700系E編成が改造されるという話は(これを書いている時点では)出てないし、単に筆者の杞憂にすぎず、今までと変わらず走り続けるのかもしれない。もちろん、それならそれでよいのだが、そうでなかった場合に後悔するくらいなら、このタイミングで乗っておくのが正解だと思った。

●そして「ひかりレールスター」乗り納め

そんなわけで、「ひかりレールスター」に乗車することになったが、13時台の次は18時台という本数の減りっぷりだから、本日のスケジュールからすると乗車できるのは18:00以降となる。どうせなら博多〜新大阪を乗り通したいところだが、最も早い18:38発「ひかり576号」でも新大阪到着は21:30近くなので、東京行きの列車に間に合わないという問題があった。

大阪でもう1泊するとか、夜行バスで帰るという手もあるが、いくら夏季休暇中でもある程度けじめをつけてやるべき・・・こんな遠征やってる時点で説得力ないかもしれないが(w、安易に期間を延ばしたくもなかった。

なんとかならないかなと調べてみると、「ひかり576号」の後に博多発の最終東京行きとなる「のぞみ66号」があり、広島で乗り換えできるようだ。次の岡山では「のぞみ」の方が先に着くから(福山で追い越すのだろう)間に合わない。新大阪まで乗り納めしたいのは山々だったが、広島でも1時間以上は乗れるし、妥協しましょ。

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ホームに上がると、向かいのホームに博多南行きの100系K52編成がいた。100系はこれで見納めとなる。

博多駅は線路の間に障害物が多く(写真右端等)、上屋があって昼でも暗いので駅撮りには向かないと思う。


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しばらくすると、乗車する「ひかり576号」が来た。E2編成が充当。

行先表示の「ひかり」と「Rail Star」のロゴの組み合わせも、おそらく今回で見納めとなるはず。「こだま」専用車になったら、ロゴも消される可能性が高いし。


事前に5号車の指定席窓側が取れているので、さっさと座る。博多出発時点で50%くらいの乗車率だろうか。以前乗ったときよりもかなり空いている印象だが、時間帯にもよるかもしれない。

今回は末端からの乗車になるのと、この後小倉や新山口で乗ってくる可能性があるため(初日に当列車を新山口駅で見ているが、結構乗客がいた)、空いているうちに車内徘徊を始める。

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「ひかりレールスター」に乗るなら、やっぱり指定席でしょ。

普通車でも2+2列シートに座れるというのは、前身の0系「ウエストひかり」に始まり、後継のN700系「さくら」にも引き継がれた、山陽新幹線の美点だ。

500系では縮小してしまったが「こだま」も九州新幹線800系も2+2列。西の新幹線はなんというか余裕がある(利用客が少ないことの証左だが・・・)。


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指定席は「サルーンシート」と呼ばれ、後継の「さくら」には及ばないものの、なかなかの重厚感がある。

山陽新幹線限定なら「のぞみ」より(わずかだが)安い料金でこのシートに座れたわけだから、人気だったのも頷ける。


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「さくら」指定席にもあったカップホルダーは、「ひかりレールスター」が先に採用したものだ。

センターアームレストは「さくら」では跳ね上げできるが、こちらは固定式。また、リクライニング時に座面は動かない。


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自由席車(1〜3号車)は一般的な2+3列配置となる。「さくら」と異なり、シートの色は同じである(一応柄物)。

こうしてみると、やっぱりトミックス(模型)の自由席の色、おかしいよなあ。


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8号車(上りでは先頭車)は指定席となるが、奥に雰囲気の異なる一帯がある。


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セミコンパートメント(簡易個室)だ。簡単なパーティションで区切られているだけだが、4人用の個室が4室用意されている。このときは3室埋まっていたので、なかなかの人気といえる。


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運よく1室だけ空いていたので撮影。中央にはテーブルも用意されていて豪華な雰囲気。

今回セミコンパートメントへの乗車を考えたが、1人だと高すぎて断念(グランクラスよりも高い)。だから、せめて見るだけでも、写真だけでも撮りたかったのだ。

「こだま」化で同設備が撤去されたら、二度と見ることは叶わないのだから。


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700系の実車編記事でも紹介した「旅指南」だが、かなり前にサービスを停止しており、写真のような状態だ。

現在では携帯電話・スマートフォンなどで簡単に時刻が検索できるので、今後復活の見込みはなく、「こだま」化されたら撤去される可能性もありうる。


「ひかりレースルター」はかつての宣伝では「インテリジェント・サルーン」と呼んでいたが、それだけに多彩な設備、内装が特徴だった。具体的には2+2列のシート、セミコンパートメント、「旅指南」、サイレンスカー、車端部に限るがノートPCが置ける大型テーブル+コンセントといったあたりだ。しかし、今後「ひかりレールスター」のような多彩な設備を持った車両が出る可能性は皆無だろう。

それでも、2+2列シートは「さくら」にも継承された山陽新幹線名物だし、コンセントはその後の新幹線車両では標準的に装備されており、その意味では「ひかりレールスター」は後続に多大な影響を与えたといえるだろう。一方で新しすぎたり、時代にそぐわないため継承されなかった設備(セミコンパートメントや「旅指南」)もあるが、いずれにしても、意欲的な列車・車両だったことには間違いなく、今回乗って(撮って)おいた意味はあったと確信している。

19:50、広島駅に到着した。乗車時間は1時間10分程度で正直物足りないが、スケジュールに組み込めただけ良しとするべきか。「こだま」専用車になる際に改造されたとしても、改造後の700系E編成も見たり乗ったりしてみたい。数年後になると思うが、それまで頑張って走り続けてほしい。

余談だが、指定席にもかかわらず車内検札は1度も来なかったな。「さくら」もそうだったし、今のJR西日本はやってないのかも?

●まだだ、まだ終わらんよ

「ひかりレールスター」を見送って7分後、広島発の東京行きとしては最終となる「のぞみ66号」が入線してくる予定だ。

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向かいのホームには、広島始発の名古屋行き「ひかり490号」(N10編成充当)が停車していた。N700系の「ひかり」表示は珍しい(日中の東京駅などでは見られない)ので思わず撮影。

東京行きは「のぞみ66号」で最終となるが、名古屋までなら写真の「ひかり490号」の後にもう1本ある。


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新大阪・東京方面を見てみると・・・「マツダスタジアム(広島球場)」のナイターが見えた。時間的にはまだ20時ちょい前だし、試合やっててもおかしくはない。

というか、2日前はこの真上の駐車場で動画撮ってたんだな。なんか胸熱。


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乗車する「のぞみ66号」が入線してきた。これで一気に新横浜まで帰るのだ。


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今回の遠征で大トリを務めるのはZ15編成。すでに70本以上が投入されたN700系の中では初期車といえる。

乗客の列がいなくなり、ベルが鳴ってるのに撮影しているが、これ乗り逃したら帰れないんだが。我ながらよーやるよまったく(苦笑)。


時間ギリギリの撮影をしながらもなんとか乗車。座席指定は16号車、12番E席なので先頭車の上に4列目と来た。新幹線でこんなに前の席は初めてで、撮影しなくても一番先頭の入口から乗車して正解なんですけどね。

混雑度は50%程度だったが、岡山・新神戸・新大阪・名古屋と乗車してくる可能性があるから、特に少ないわけではないだろう。結論から言うと満席にはならなかったし、筆者は2人がけの窓側(E席)だったが、横には最後まで誰も来なかった。

さて、山陽・九州新幹線遠征という意味では、「ひかりレールスター」を降りた時点でミッションは終了したといえる。今乗っているN700系なんて、東京駅や小田原駅でイヤというほど見ることができるし、乗車機会だっていくらでもある。後はもう、新横浜までのんびり過ごすだけ・・・

・・・んなわけなかろうがッ!

お目当ての車両撮ったから終わり?まだ終わらんよ。N700系に乗る機会があったとしても、東海道新幹線内は混むから車内を撮影するチャンスは今回くらいだ。というわけで広島を出てすぐ、N700系も懲りずに車内徘徊スタート。

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16両編成版N700系(Z・N編成)の普通車は一般的な2+3列配置。シート生地は明るいブルーにドット柄でカジュアルな印象。荷棚の荷物を見ても、結構乗っていることが分かる。

写真がブレているが、シャッター速度1/2を手持ち、しかも揺れる車内なんで無理っす。


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ガラガラのグリーン車は同じ撮影条件ながら、なんとかブレずに撮れたようだ。

カラースキームは300系とそんなに変わっておらず、相変わらずビジネスライクな印象だが重厚感はさらに増している。シート自体の座り心地だけでなく、ヘッドレストについた読書灯、各座席へのコンセント装備など、内容も相当進化しているのだ。

座れないけどね・・・


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「さくら」にも同じようなエリアがあったが(2日目・その2)、N700系Z・N編成の11号車にも曲面で構成された身障者対応トイレ・多目的室がある。

こちらはシルバーグレーの配色で未来的なイメージ。


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「さくら」もそうだったが、N700系の案内表示は文字が大きくて本当に見やすい。しかもフルカラー。


「のぞみ」で使用されるN700系Z・N編成は、「さくら」や「ひかりレールスター」ように多彩な設備があるわけではなく、似たような車内風景が延々と続く。時間的なものもあるが眠りについている人も多く、シートから通路にはみ出して寝てるも人も少なからずいたため(苦笑)、車内徘徊は8号車までで折り返してきた。おおよそ、次の岡山に着く前には自席に戻っていた。

岡山を出た時点で、博多で調達した駅弁を広げることに。ようやく夕飯です。

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博多の駅弁といえば「かしわ飯」でしょ(異論は認める)。


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博多の「かしわ飯」は多数のバージョンが存在するが、この弁当は大ぶりな鶏肉が乗っていたり、煮玉子が入っていたりと珍しいかもしれない(大抵は鳥そぼろ)。

豆が移動しているので(w、右端がちょっと美しくないかも。


車内徘徊も終わり食事も済ませた。今度こそ、すべてのミッションが終わった。家に着くまでが(以下略)だが、あとは新横浜までひたすら走るだけ。ああでも、乗り心地くらいは堪能しておかないと。N700系といえども、山陽区間で乗るチャンスはめったにないのだから。

N700系はかつての500系と同様、山陽新幹線内では最高速度300km/hで走る。「さくら」はちょっと怪しかったが、今回は揺れから想像するにきちんと300km/h出てるっぽい。なお、500系でやっていた車内での300km/h運転案内(表示と放送)は見られなかった。

500系の頃は2時間に1本程度のスペシャルトレインも、今は多数のN700系「のぞみ」が300km/hで走っている。東北新幹線のE5系も300km/hで走り、320km/hさえ視野に入れている現在、300km/hはもはや通知するまでもない、当たり前の速度になってしまったのかもしれない。

また、揺れることは揺れるが、同じ300km/hでもN700系の乗り心地は確実に500系を上回る。ましてや、筆者が乗っているのは比較的揺れると思われる先頭車だ(先頭車はアクティブサスペンションが取り付けられる例が多いが、それだけ揺れるということだろう)。500系はグリーン車でさえ激しい揺れだったことを知っている人間としては、ホントに300km/hで走ってるの?と疑ってしまうくらいだ。

N700系は500系よりも10年新しい車両だ。進化して当然といえば当然だが、それでも300km/hの乗り心地向上って大変だと思うわけで。10年間、途方もない積み重ねから実現した乗り心地なのだと思う。やはり、新幹線の進化は伊達ではない。改めて思い知らされた時間だった。

●流れる夜景を眺めながら

新大阪を出ると、おなじみの(?)東海道新幹線入りだ。最高速度も270km/hとなり、カーブが多くなる分山陽区間にはなかった横Gを感じられるようになる。

トンネルが少なく、明るいうちなら景色を楽しめるのが東海道新幹線の魅力だが、今は夜なので「景色」というようなものは見られない。しかし、夜は夜で横切ったり並行する道路、それに連なる店などのネオンサイン、街や住宅の明かりが暗闇の中をびゅんびゅん流れていくのを楽しめる・・・かどうかは人によるかもしれないが、筆者はかなり好きである。ボーッと外を眺めているだけで、自分だけ違う速度空間(SPEED SPHERE)にいる錯覚・・・ちょっとこじつけが過ぎるか(汗)。

東海道区間に入ったら疲れで寝てしまうと思ったが、意外と目がさえていて新横浜まで寝ることはなかった。あれだけ新幹線と戯れてきたのに、まだ緊張を保ってるというのか。完全にビョーキ

長かった遠征もいよいよ終焉を迎える。23:27、定刻通り新横浜に到着した。今回の遠征で乗った列車は九州の先まですべて、遅延なく走っていた。トラブルがなければ新幹線は正真正銘秒単位で正確に運転されている。改めて本当にすごいと思った。

かなり夜遅いが、横浜線もそこから先の線もまだ動いている。東神奈川駅でまたも階段乗り換えを食らったが、無事に自宅に到着。スケジュール通りだが、時間はすでに0:00を回っていた。

●あとがき

今回、3日間にわたり天気やダイヤの乱れがなかったのは幸いだった。レポート冒頭で事前計画が重要と書いたが、全て滞りなくスケジュール通りに進んだのも、天候と新幹線の正確な運行あってのものだ。

車両についても、今回乗っていないのは優先度(重要度)と時間的にスケジュールに盛り込めなかった700系の16両編成(C・B編成)くらいで、東海道・山陽・九州新幹線の現存する車両(形式)のほとんどに乗り、撮ることができたのではないだろうか。一方で、100系旧塗装を日中見ることができなかったり、新カメラにもう少し慣れてから行きたかったという(白飛び写真を量産したし)不満もあるが、今後数年は行けない点を考慮しても、後悔よりも満足できる内容だったと思う。

初日は朝5:00から動き出して、帰ってみれば午前様。3日間、各地の名産などには目もくれず、寝る時以外はすべて新幹線と戯れていたというストイックな遠征だった。「旅行じゃなくて取材だ」と何度も言い聞かせながらも、自分の新幹線好きにはあきれるほどだ。費用だってばかにならないし、貴重な時間を使ってやったことと言えば、新幹線にただ乗っただけ、撮っただけだ。

そんな行為に何の意味があるのかと問われたら・・・自分でも正直「わからない」。でも、筆者は今回の遠征は楽しめたし、得たものは大きいと思っている。少なくとも今後、当サイトが模型レビューサイトとして続けていくにあたって、貴重な資料を大量に集めることができたとは断言できる。あとはそれらを無駄なくきちんと・・・今後の自分次第なわけだが・・・活用できたら、個人的には大満足&納得ってところかね?

最後に。模型レビュー中心のサイトを標榜しておきながら、あまり需要がなさそうな遠征レポート記事(しかも資料性ゼロ)になってしまった点はお詫び申し上げたい。一方で、このレポートを最後まで読んでいただいた方がいらしたら、心より御礼申し上げる。