2日目は新山口駅で、9:00〜17:00という勤務時間のようなスケジュール、実質1日中撮影という計画である。
今回はスナップだけでなく、形式写真、ディテール写真も狙うため必然的に駅撮りとなる。駅といっても撮影に向き・不向きがあるが、王道は通過線があるスタイルの駅だろう。さらに、ストレートよりもカーブしている方が、通過列車をカッコよく撮りやすいと思う。
3年前の0系乗り納めでは新倉敷を撮影地にしてみたが、カーブがR=4000mとほとんど直線と変わらず、スナップというか編成写真には難しく感じた。個人的には小田原や那須塩原のような駅が撮りやすいと思うので、いろいろな写真を見て検討した結果、西明石と新山口が比較的イメージに近いと思った。しかし、岡山以東にある西明石は100系が来ないから、消去法で新山口に決定。
新山口駅は一部の「のぞみ」「さくら」「ひかりレールスター」が停車するので、「のぞみ」はともかく、「さくら」「ひかりレールスター」は通過(スナップ)と停車(形式・ディテール写真)が両方狙えて効率が良いと思えたことも選定理由である。
本日は朝がそんなに早くなく、しかもホテルが駅に激近なのでかなり楽だった。バイキング形式の朝食も用意されていて、それ込みで1泊4,000円を切るというのはかなり安い。梅田(大阪)のビジネスホテルじゃこうはいかない。朝食のおかげでHP満タン、ホテルを出て駅のコインロッカーに荷物を預けて、イザ入場!
適度なカーブを描く新山口駅構内。撮影の定番と言われる小田原駅や那須塩原駅に近いので、ここも撮りやすい駅といえるだろう(というか、実際定番?)。安全柵がないのでローアングルで狙いやすいのもポイント。
一発目のターゲットはN700系「さくら」。JR九州所有のR7編成だった。前日の新大阪駅では撮れなかったが、ようやく編成全体を拝ませてくれた。
午前中は逆光気味だし、日が出たり曇ったりで露出が難しくて暗めに。
100系もようやく日の当たる状況で撮影できた。フレッシュグリーンのK59編成である。
この駅は15:00過ぎくらいから下り列車が順光になり始める。
ぎゃああ真っ白!しかも傾いてる。
とんだ失敗写真になってしまったが、このように700系E編成同士の退避・追い越しが見られたと言いたかった。抜かれているのがE5編成で、通過している方は真っ白で編成不明。
「ひかりレールスター」が「さくら」に置き換わったら、このシーンは見られない。
新山口には700系・N700系による16両編成の「のぞみ」も結構止まる。東京に直通する列車が1時間あたり2本程度停車と便利で、利用客も結構多い。
写真はN9編成。筆者の目には、N700系の16両がこの手の駅に止まるのは珍しい光景に映る(現在のところ、小田原では見られない)。
500系V2編成と、100系K52編成。「こだま」の上下線同時停車は結構多い。500系はまだまだ走ると思うが、100系は終わりが見えている。
500系V2編成(上の写真の博多折り返し)と700系E3編成。「ひかりレールスター」としての活躍を追われつつある700系E編成だが、「こだま」運用は思ったより多い。
100系引退後の山陽「こだま」は、このコンビでしばらく続くことだろう。
500系V3編成。こうして見ると、16両編成時代と比べるとカワイイ感じになってしまった?
「ひかりレールスター」もそうだが、新鋭「さくら」も結構止まるので、駅前の感じなどからするとかなり厚遇された駅だと思う。
写真はJR九州所有のR8編成。
もちろん、通過列車もある(N700系N6編成)。構図もまさに小田原駅のそれを彷彿とさせる。
東海道新幹線引退から2年もたっていないが、500系の「こだま」もすっかり板についた印象。
「こだま」化に際して改造されたパンタカバーの角ばり具合がよくわかる。
700系・N700系の16両編成をすべてスルーしたとしても、山陽新幹線の車両だけでも10分に1度は撮影機会がある感じで退屈しない。それどころか、昼食に抜けるのもなかなか難しい状況だった。
ここまで掲載した写真は編成全体のものが多いが、実際には形式写真・ディーテール写真も多数撮っているので、撮影枚数はかなりのものだ。停車時間はおおよそ4〜5分くらいなので、8両編成と短い山陽新幹線だが、全車両の形式写真撮影にはギリギリである。停車時間が短い列車については動画で撮るなどして、とにかく「カメラに収める」を徹底した(昨晩メモリを買い足して正解)。
このように筆者はとにかく片っ端から撮るという撮影スタイルなので、カメラも一眼レフではなく高倍率ズーム機(今回使ったのは富士フィルムのHS20EXR)を好む。一眼レフの方が画質が圧倒的に良いことは分かっているが、作品性は意識してないし、わずかな停車時間に形式写真、ディテール写真のほか、その間に通過列車を狙ったりもするので、レンズ交換している暇はない。それよりは手元で広角から超望遠までシームレスに使える利便性の方がありがたい。
また、撮影スタイル上(乗客や安全に配慮した上で)ホームを歩きまわるし、今回は「乗り」という、ある程度旅行気分も味わってるから、何本もレンズが入ったカメラバッグとか持ち歩くよりは身軽でいたいというのもある。その意味では、画質はそこそこでも1台で一通りの事ができる(マクロもあるので模型も撮れる)高倍率ズーム機は、筆者に向いているというわけだ。
通過列車はカーブのアウト側で撮影するため上りホームにいることが多かったが、上りホームの窓からは在来線の駅構内を見下ろすことができる(下りホームは駅前広場があるだけ)。新幹線の車両の数々を見たり撮ったりも楽しいが、この駅は他にも魅力がたくさんあると思う。
新山口駅は山口県の中でも交通の要所であり、駅構内はかなり広い。貨車なども何両か見ることができた。
短い編成の列車が多いが、関東では見ることができない珍しい車両ばかりだ。手前の2両編成、知識がなく形式まではわからないが・・・
原色(クリームにマルーン帯)の117系とは懐かしい!昔新快速で神戸まで乗った覚えがあるよ。
現在は京阪神地区からは撤退し他エリアに転用されているが、同車の兄弟(185系)は未だに「踊り子」号として、筆者の地元で現役バリバリである。
さて、この駅が「新山口」を名乗るようになったのは「のぞみ」が停車するようになった2003年10月からで、それまでは「小郡(おごおり)」という駅名だった(地名は現在も小郡のまま)。そして、その駅名を意識したら、どうしてもスルーできない存在がある。
汽笛が聞こえるのでもしやと思ったら・・・山口線を走行する、「SLやまぐち号」をけん引するC57形蒸気機関車!
C57はJR東日本も所有・運用しているし、鉄道博物館でも展示ホールの中央に配置されるなど、メジャーな蒸気機関車である。
今年(2011年)、JR東日本でC61形蒸気機関車が復活して話題となったように、蒸気機関車の動態保存運転は全国的に行われているが、昔は静岡県の大井川鉄道と、この山口線の「やまぐち号」くらいしかなかった。「やまぐち号」が運転を開始したのは1979年というから、もう30年以上の実績がある。まさに、蒸気機関車動態保存運転のパイオニアと言ってよいだろう。
筆者は小学生の頃、蒸気機関車に興味を持ったことがある。リアルで乗った世代ではないから、本物の蒸気機関車を見てみたい・乗ってみたいと思うのは当然で、その中でも山口線と大井川鉄道はミニSLとかではなく、国鉄の制式蒸気機関車が走っていたわけだから、憧れを抱くのも無理はなかった。どちらかといえばC62形などの旅客大型蒸機が好きだったので、地元から近い大井川鉄道よりも、遠い地の山口線の方が憧れが強かった。
しかし、小学生の筆者にはあまりにも遠い存在だった。親は「鉄」じゃないので、「蒸気機関車に乗るために山口に旅行」なんてどだい無理な話で、雑誌や書籍を指をくわえて見ることしかできなかった。そんな中でC57形と、牽引される近代的でミスマッチな12系客車(現在はレトロ風に改造されている)に加えて、「やまぐち号」の起点である「小郡」という駅名もまた印象に残っていた。
その後は筆者自身が鉄趣味から離れてしまったし、ある機会で大井川鉄道のSL列車に乗ることができたし、蒸気機関車の運転が全国的なものになったので、いつしか山口線および「やまぐち号」はすっかり忘れてしまっていた。
かくして蒸気機関車に憧れた少年は、「C57」といえば700系の方が浮かんでしまう新幹線オタクかつ、掛け値なしのオッサンになってしまったが、新幹線の撮影がきっかけでかつての憧れに会うことができ、元「小郡駅」に立つことになるとは、なんとも数奇な運命だと思った。
ほぼ1日中撮影していたといってよいが、なかなか飽きない。普段お目にかからない車両ばかりなのでフィルターが掛かっていることは否定しないが、やはり多種多様な車両が次々来るというのは、それだけで楽しいものだ。少なくとも、700系とN700系ばかりになってしまった、筆者の地元ではなかなか味わえない感覚であることは間違いない。
カメラの不慣れから、スナップはいくつか白飛び写真を量産してしまったものの、形式写真とディテールについては各形式とも概ね満足いく撮影ができた(質より量だが・・・)。
もはや「楽しい」どころか「忙しい」の域に達しつつある新山口駅での撮影だが、次に乗車する列車は17:01発。16:19発の最後の100系を撮影し終えると、そろそろ終わりが近づきつつある。
この後は700系E編成が停車・通過合わせて3本来るが、同形式はこの時点でもかなり撮っているので、さすがにモチベーションの低下は否めなかった(疲れてきたというのもある)。
700系E編成は「こだま」に加えて「ひかりレールスター」運用もあるので、今回最も多く撮影した形式かもしれない。
写真は最後に撮影した700系E編成「こだま」だが、向かいのホームに移動する気力もすでになくなっていた。「もうええんちゃう?(有○課長風に)」
最も残念なのは、この日は旧塗装の100系(K53〜55編成)に会うことができなかったことだ。昨晩撮影できたので結果ゼロという最悪事態は免れたものの、やはり条件の良い日中に撮影したかった。100系の旧塗装は3/8の確率だから、この日は3回しか100系の撮影チャンスがなかったとはいえ、ちょっとツイてない。
後述するが、「さくら」は6号車に乗車予定なのでここに立っていたのだが、その左にある「V六」??しかも向きが逆だ。
また、「一部の列車はここに乗車口がありません」というのは・・・
これらは500系「こだま」についての表記のようだ。500系の6号車はグリーン車からの改造なので、客用扉が博多寄りにしかない。筆者が立っているのは6号車新大阪寄りなので、ここから500系には乗れないのだ。ただし、扉がない代わりに乗務員室(窓開閉可能)があるので、逆向きに貼られた「V六」の表示は車掌が停車目標の確認に使っているのだと推測。
ちなみに100系はこの位置に5号車が停車するが、扉が若干博多寄りにずれる。この乗車位置に適合するのは700系E編成とN700系S・R編成ということになる。