マイクロエース 小田急30000形「EXE」・序 |
マイクロエース 小田急30000形「EXE」・各部レビュー |
マイクロエース 小田急30000形「EXE」・総評 |
マイクロエース 小田急30000形「EXE」・遊び編 |
EXEの模型で少し遊んでみたので、いくつか紹介してみたい。
レビューで書いたとおり、実車は分割併合運転が特徴の車両なのに、模型では連結できないダミーカプラーが標準装備されていて、連結はできるが見た目の良くないアーノルドカプラーが交換用に付属するだけだ。しかも交換作業を要する。メーカー純正のリアルタイプカプラー「マイクロカプラー」がオプション扱いであることに納得がいかんと書いてみたのだけど、文句を言うだけではどうしようもないので、6・7号車間(貫通型先頭車)の連結器交換について検討してみた。
なお、Nゲージ用のカプラーについては、こちらの記事でも触れているので興味があればどうぞ。
マイクロエースの模型は古くからトミックスのリアルタイプカプラー「TNカプラー」に非公式ながら対応しており、多くの製品にTNカプラーの取り付け口が用意されている。後に発売された同社の「マイクロカプラー」も同じ取り付け口を使用しているし、ダミーカプラーも付属のアーノルドカプラーも同様。つまり、EXEを連結可能にするには複数の方法があるということだ。
戦闘機のプロモーションで、ミサイルなどの搭載兵器をはべらせている体で(w。
実車の貫通型先頭車。
模型ではスカートの一部(連結器上部)が省略され、開口部の形状が若干異なっているがそこは置いておいて(Nゲージの連結器は動きが厳しいし、多数の連結器に対応しているのでやむなく省略したと思われる)、連結器本体の造形はまずますだし、電気連結器(連結器の下にある横長のパーツ)も表現されていて、見た目はそれほど悪くない。
模型では胴受け(連結器の周囲にある枠状のもの)の表現はあるのだが、奥まった位置にあるためほとんど視認できず、その点は物足りないかもしれない。とはいえ、6両・4両のどちらかのセットしか持っていないなどの理由で連結を想定しないならば、ダミーカプラーのままにしておくのは十分アリだと思う。
ちなみに、このダミーカプラーは小田急のほかの模型(8000形、9000形など)でも使用されている。
6両・4両セットともにボディマウント伸縮式アーノルドカプラーという怪しいパーツが付属している。別売りのパーツを使用せずに連結させる場合はこのパーツに交換する必要がある(交換方法はマニュアルに記載)。
で、とりあえず交換してみたのだが・・・
ごらんの有様だよ!!
連結させても広いなあ。計測したらおおよそ7〜8mmといったところで、中間部が4〜5mmくらいだから編成全体で見てもバランスが悪いと思う。
30年前ならこれでもよかったのだが、各社からリアルタイプカプラーが発売されている現在、このカプラーを選択するメリットは・・・別途費用がかからないくらいか。
同社のリアルタイプカプラーで、純正オプション指定されている。指定品は密連・グレー(品番:F0002)なのだが、残念ながら筆者の手持ちが黒しかなかった。以下の写真はグレーに脳内変換してもらえると助かる。もっとも、好みの問題であえて黒を選択しても問題ない。
実車の密着連結器を再現しており、先のアーノルドカプラーとは比べ物にならないくらい見栄えが向上した。取り付けたのは黒バージョンなので、露出を上げて撮影している。
連結間隔はかなり狭くなった。計測すると4〜5mm程度で中間部と同じくらいなので、編成全体でもバランスがいい。
連結しちゃらめえぇぇ!!
同社が過去に発売したロマンスカー「SSE」には重連(増結)用に専用のカプラーが付属していたが、マイクロカプラーはそれをベースにしたものなので連結は可能である。それにしても、SSEの連結器はえらい長かったんだな。
一応純正指定されているカプラーだが、仕様上電気連結器の省略を余儀なくされているし、胴受けについては表現そのものがない。連結器自体も大味な印象だ。これでも水準に達しているとは思うが、見た目にはダミーカプラーのほうがいいかもしれない。
前述の通り、マイクロエースの模型はTNカプラーに対応しておりEXEも例外ではない。マイクロカプラーとは互換性があるので(取り付けに関しての話であって、連結はできないので注意)、そのまま取り付けることができる。
TNカプラーはバージョンがいろいろあるが、筆者が使ったのは電気連結器付きの密連形グレー。トミックスのJR西日本207系などで使われているパーツで、品番は0332(JC25)というやつだ。
取り付けは無加工でできたが、他のバージョンのTNカプラーだと加工がいるかもしれないので注意。
見た目は・・・勝負あったような?実車より窮屈な印象はあるが、胴受けが表現されているのは大きい。電気連結器もちゃんとあるし、連結器本体も精密感があってリッチに見える。
筆者が使用したTNカプラーは電気連結器が2段になっているタイプなので、下段はニッパーで切り落とした(切ったパーツが飛ぶので注意すること)。TNカプラーの電気連結器は連結機能には関係ないので切断しても問題ない。
連結間隔はさらに狭く、これで貫通扉が開いて幌があったら実車と変わらないレベル。一番狭いところで3mm台前半くらいではないだろうか。中間部からすると狭すぎる気もするが、走らせてみてもまったく違和感を感じなかった。カーブではキチンと伸びるので走行にもまったく問題はない。
6両・4両でしか運用しない人でも、見た目の向上のためだけにTNカプラーを選択してもいいかもしれない。
結局のところ、見た目やコストの問題でどれを選んでもいいのだが、個人的には見た目でTNカプラーに1票かな。
おまけ・実車の連結部。
ほとんどのマイクロエース製品に言えることだが、実は中間の連結部もカプラーの選択肢が多かったりする。標準装備はおなじみのアーノルドカプラーだが、非公式ながら他社製のカプラーに交換することができる。
マイクロエース製品には毎回のように小袋に入った怪しいパーツが付属しているが、カトーの「KATOカプラー」を取り付けるためのパーツである。一番左が・・・いきなり申し訳ないが、どこで使うパーツかわからなかったりする。KATOカプラー用パーツなのはわかるのだが(わかる人います?)。次が通常の台車に使うパーツで、その次が実際にKATOカプラーを付けてみたところ。KATOカプラーのうちBタイプが対応する。一番右は台車から取り外したアーノルドカプラーで、それを隣のKATOカプラーと交換してやればいいわけだ。
KATOカプラー(Bタイプ)に交換してみると・・・車両間にジャンパ線が表現されてリアリティがあるのだが、アーノルドカプラーと比べて間隔が1mm程度延びてしまった。KATOカプラーにはアーノルドカプラーをそのまま置き換えるタイプもあって試してみたが、Bタイプよりわずかに狭くなったものの依然として広かった。
台車からカプラーポケットを外せば、TNカプラーの取り付けもできる(マイクロカプラーも可)。この場合は連結間隔はさらに狭くなり実車さながらの迫力になるが、TNカプラーは結構高いのでコストがかさむのがデメリットだろうか(両数が増えると実感する)。
EXEはアーノルドカプラーでも十分狭いし、中間部は切り離した時の見た目をそれほど気にしなくてよいと思うので、個人的には他社製カプラーに交換する必要性を感じなかった。
EXEは編成を組んでみると連結間隔が意外と揃っていないことに気づく。筆者は編成全体のバランスやプロポーションの良さには、連結間隔が狭くて揃っていることが重要だと思っているので、少ない手まで連結間隔の短縮ができないかと思案してみた。
なお、以下のような工作は模型の分解・組み立てに自信がなかったり、自己責任でできない場合は絶対に真似しないでほしい。また、工作の結果どのような事態になっても当サイトは責任を負わないのでご了承のほど。
上から1・2号車間、3・4号車間、8・9号車間。9号車は動力車である。上2つはそれほど差がなく十分に狭いのだが、一番下は結構広いことに気づく。6両編成側の動力車もそうだが、とにかく動力車の前後は広い傾向にある。
レビュー記事中でも取り上げたが、動力車(上)は台車の間隔が非動力車よりもやや広い(左の台車は位置が揃っているが、右はずれている)。非動力車の台車間距離は92mmで、これは実車(13800mm)を忠実にスケールダウンした数値である。一方、動力車は93mmなので実車よりやや広いことになり、台車が外側に出ている分、連結間隔も広がってしまうというわけ。
なお、動力車を分解してみたところ、工作次第で台車の位置を変えることは可能なようだ。ただ、それだけでは連結間隔の問題が完全に解決するわけではないし、動力ユニットへの改造はそれなりの労力とリスクを伴うことを考えると、台車の位置を変えるというのは割に合わないかもしれない。
トミックスのTNカプラーに交換してやれば手っ取り早く連結間隔を詰めることができるが、10両編成分というとそれなりにコストがかかる。なので、できれば標準のアーノルドカプラーのまま短縮させたい・・・となるのだが、連結間隔の調整というのは意外と難しい。カプラーを切り継いで接着・短縮とかは思いつくけど、走行上重要なパーツだし、それなりの強度や耐久性が求められるからだ。
そこで、こんな方法をやってみた。
EXEの場合は動力車前後が他より約1mm広いから、1mm短縮できればよいことになる。そこで、動力車のカプラーを取り外して、根元の首の部分にプラ材料(白い部分)をスペーサーとして取り付ける。ここで使ったプラ材料はエバーグリーンの1mm角棒。
カプラーは軟質プラ製で通常の接着剤が使えないので、両面テープで固定している。
台車に戻すとこんな感じに。カプラーポケットとの間にスペーサーが挟まることで、その分カプラーが後退=連結間隔の短縮になるわけだ。
スペーサーの取り付けには、カプラーを外さずにそのまま横からスペーサーを挿入する方法が楽かもしれない。
どちらも右が動力車だが、上のノーマル状態と比べて、この加工をした下は明らかに連結間隔が狭くなった。実測4mm程度となり、他の個所と比べてもそん色ない。カプラーポケットが詰まる分首ふりが渋くなってしまうが、アーノルドカプラーは「コ」の字部分でほとんどの動きを吸収してしまうので、少なくともR=280mmくらいまでなら走行上問題ないはずだ(実際R=280mmのS字カーブを余裕でクリアできた)。
アーノルドカプラーの製品であれば応用もできる。例えばマイクロエース小田急9000形の場合、ノーマルの連結間隔は5.5mmといったところで、こちらは編成全体で揃っているがやや広めだ。
そこで、エバーグリーンの0.75mm厚のプラ平棒をカプラーポケットに収まるよう加工して使用。写真でもわかるように両側の台車に挟んでみた。0.75×2で1.5mmだから、結果的には4mmの連結間隔となり、ノーマルより明らかに狭く、引き締まって見える。
スペーサーの取り付けには「セメダインPPX(軟質プラも接着できる接着剤)」を使ってもいいが、個人的にはそこまでの必要性は感じなかった。それでも接着する場合、必ずカプラーを台車から外してから施工すること。カプラーとカプラーポケットが接着されたらシャレにならないんで・・・
この加工のメリットとしては、
実車の連結間隔は500mmというのが多く、Nゲージに換算するとおおよそ3.3mm。Nゲージはカーブが急なので連結間隔は広くなりがちだが、見た目にも引き締まって見えて、非伸縮カプラーでもR=280mmのカーブを十分曲がれるとなると(車体が大きい新幹線はこの限りではないので注意)、4mmくらいにセットするのが一番バランスが良いと思う。
今回紹介した方法だと、スペーサーは片側の台車につき1mmくらいが限度なので、トータルで2mm短縮できるに過ぎない。しかし、2mmの短縮では足りないくらい連結間隔が広い製品はそうはないと思うので、大部分の製品はこれで事足りるのではないだろうか。
・・・といっても、2mm程度ではどうしようもない製品もあることはある。筆者が持っているものでは、マイクロエースの小田急2400形(HE車)がそれだ。
゚д゚)ポカーン・・・なんかもう、カプラーポケットの位置がすでにおかしい気がするが、連結間隔は非動力車同士で9mm、動力車前後(写真)でなんと11mmという驚異的な広さ。
同形式は先頭車と中間車で長さが違うという特徴があり、それが原因かもしれないが、改めて見るとスゴイ。もう叩かれ尽くされた感があるので特に論評はないのだが・・・
EXE(もちろん無加工)と比べると同じメーカーの製品とは思えない(w。もはや伝説。
発売直後から連結間隔を縮める数々の方法が編み出されてきたが、今回紹介したスペーサー方式(2mm入れてみた)では11mmが8.5mmくらいになった程度。狭くなったことはなったが焼け石に水。これを改善するには根本からなにかを変えないとダメなのかもしれない。
以上、オチネタでした。
筆者は新幹線がメインだがNゲージのコレクションが結構な数に上っており、模型のケースを収納している棚がひっ迫していたりする。EXEは6両セットと4両セットで2ケースあるわけだが、購入時点で空きスペースが1ケース分しかなかった。棚の拡張ができないわけではないが、なんとか2ケース分収納できるスペースは生み出せないものかと考えたところ・・・
先ほど取り上げた、伝説級の連結間隔を持つマイクロエースの小田急2400形。新塗装と旧塗装の2種類を持っていて、それぞれ4両セットでケース1つとなるのだが、ご覧の通りかなりスカスカだったりする。2400形は特に先頭車両の車体長が短いこともあるが、1ケースに8両がビッシリ入る新幹線の収納に見慣れていると、なんて贅沢かつ無駄な収納なんだろうと思う。
そして同時に、これを1つのケースにまとめることはできないか?とも思った。
Nゲージのブック型車両ケースはおおよそA4サイズとなるが、新幹線・在来線にかかわらず8両分収納している製品も多いから、この2400形だって収納できないはずがない。
新幹線E4系のコラムでも扱っているが、手っ取り早いのは社外品の8両収納可能なウレタンに交換することだ。しかし、その手のウレタンは汎用設計なので車体とのフィット感がイマイチで、隙間も大きくできる。輸送時にケース内で車両が暴れる可能性もある(紹介記事の新幹線E4系は、汎用ウレタンでも問題なく使える稀有な例である)。まあなにより、別途費用がかかるというのもある。
そこで、純正のウレタンを切断するなどして、8両収納できるように改造してみた。
このウレタンは縦が298mmで8等分すると約37mm。ということは37mm間隔で切っていけばいいわけだ。37mm間に車両が収まるスペースが間に入るようにケガキしていく。
37mmというのは意外と厳しくて台車の部分はかなり薄くなってしまう。加工性を考えると、最低でも2mmくらいの厚さは確保しておきたい。パンタ部分については上部を残せなかった(上の車両のウレタンでフォロー)。
ウレタンは車両を取り出す窪みがあるので、どうしてもこのように2分割になってしまうがそれでも構わず切り続ける。
ウレタンは柔らかく、カッターナイフでザクザク切れてしまうが、一気に力を入れて切ろうとするとウレタンが歪んでしまい失敗のもとになる。きれいに切るコツは金属の定規を当てながら、カッターの刃を垂直に立てて力を入れずに少しづつ切っていくことだろうか。カッターの刃をまめに交換して、常に切れ味を持たせたほうがきれいに仕上がる。
最終的には上下のウレタンはくっついていたほうが扱いやすい。ウレタンをつなげる方法はいろいろあると思うが、筆者は両面テープを使った。ゴム系接着剤などでもいいかもしれない。どうせ元に戻せないのだがら、可逆性は考えなくていいはず。
見事、8両ケースに化けました。中央部分で2分割されていることもあってウレタンが薄い部分はまっすぐになっていないが、収納には全く問題ない。気になるようなら底面のウレタンに貼り付けてしまうこともできる。
結果はご覧の通り。中央右側には隙間を作って付属品入れにしてみた。手間はかかるが費用はゼロだし、純正譲りのフィット感も健在。見た目にはウレタンの分割線が気になるかもしれないが、1つのケースにまとまるというのは大きいと思うし、8両がビシッと収納されているのは見ていて気持ちがいいものだ。
ついでに、ロマンスカー3000形「SSE」も1つにまとめてみた。
こちらも5両(EXEと比較すると実質3.5両分くらい)で1ケースなので、やはりウレタンがスカスカだったのよね。基本+増結で2セットあるのだが、他のロマンスカー(NSE等)では11両を1ケースに収めているので、やはりまとめることが可能だった。
横方向でセットしてみたが、幅205mmのウレタンを5等分すると1段当たり41mm、先の2400形より条件は緩い。増結セット分はウレタンを裏返して反転させるあたりがポイントだろうか。
結局のところ、採寸とウレタンの切断が上手くできれば他のほとんどの製品に応用できるのではないだろうか。これにより、2400形とSSEで2ケース分の余裕を作ることができたので、EXEの2セットも無事に棚に収めることができてめでたしめでたし・・・と思ったけど。
EXEも結構スカスカだったりして。特に4両セットの方は。
後悔なんて、あるわけない!?
というわけで、EXEもまとめてしまいました。20m級車両を10両収めるのは難しいかと思ったが(収めてる製品もあるけどね)、なかなかどうしてイケるじゃないか。
ただ、正直なところ結構苦しいかもしれない。切り方が良くないこともあるが、一番下段の下側はウレタンの厚みがほとんどないし、付属品を入れるスペースも作れなかった。ウレタンの分断も先の2400形の比ではなく、やむなく底面のウレタンに貼り付けして動かなくするなど工夫も必要だった。20m級車両10両というのが、A4サイズの車両ケースに収納できる限界なのかもしれない。
とはいえ、EXEのようなメタリックな車体が1つのケースに10両ビッシリ収納されているのは見た目にもリッチで壮観。レンタルレイアウトに持ち込むような場合でも、かなり便利なのではないだろうか。
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