CASCO 新幹線10両用車両ケース レビュー |
(当記事は2013/9にブログに書いたものを訂正の上移植したものです)
「Nゲージの収納」という観点でみると、10両編成というのは半端な両数だ。
Nゲージ収納用のブックケースは1つあたり6〜8両がほとんどで、8両編成なら1つに収まるし、12両編成なら6+6、16両編成なら8+8で収めることができる。しかし、10両編成は分割すると6+4や5+5になるから、ケース内の収納スペースにどうしても無駄が出てしまう。それでも、在来線車両なら10両を1つのブックケースに収めることは不可能ではなく、実際マイクロエースの215系などはそうなっているし、別売の10両用ウレタン・ケースもリリースされている。筆者も小田急ロマンスカー「EXE」では強引に10両収納に改造したこともある(詳細はここのコラムにて)。
しかし、さすがに車体が大きい新幹線では「1つのケースに10両」は無理だと思っていた。その一方で、E2系、E5系といった東北新幹線系統の車両は10両編成が標準になりつつあるから、どうしても2つのブックケースに無駄なスペースができたり、カトーのように片方が小型のブックケースになったり、トミックスE2系のように端から収納を諦めていたりと、もどかしい思いをしていた。
そんな状況の中、車両収納用の各種ウレタンやケースを多数発売しているCASCO(四八)から、「新幹線10両用車両ケース」が発売された。同社からは新幹線に関わるウレタンは他にもリリースされていて、その中でも「8両用ウレタンセット」はトミックスE4系の収納に絶大な効果があると紹介したが、まさか10両用が出るとは思わなかった。しかも、大きさはメーカーの純正ケースとほとんど同じ。
新幹線模型レビューサイトとしては、やはりスルーするわけにはいかないだろう。個人的にも特にトミックスE2系を何とかしたかったので購入。さっそく紹介してみたい。
ケース+ウレタンがセットで発売されており、今のところウレタンだけの発売はない。ケースはカトーのものに似ていて、ジャケットが入れ替えできるようになっている。色は黒、シルバー、限定でグリーンと用意されているが、今回は黒をチョイス。なお、この外側にはプラ製のスリーブが付く。
中身は・・・ギリギリのギッチギチ。ウレタンとケースとのマージンがほとんどなく、スペースを限界まで使っていることがわかる。また、結構細かい切り込みが入っていることもわかる。
ジャケット部にある説明書き。見ての通り、200系、E2系、E5系に特化した設計のケースであり、細かいスペーサーを外すことで各形式に対応できるようになっているのだ。
まずはメインのウレタンを抜いてしまおう。10両収納するなら写真のようにする。E2系「あさま」のように8両収納したいなら2両分残す(上から8つ抜けばよい)。左上には付属品収納スペースが用意されている。
あとは、説明書きを参考に、パンタやケーブルヘッドを避けるように現物合わせしながらスペーサーを外して調整していく。
スペーサーを全く外さない場合、いわゆる「フル規格」で最近の車両ならそのまま収納できる。上からトミックスE2系、カトーE2系、カトーE5系、参考としてトミックスN700系。全高が高い200系等はスペーサーを外してスペースを確保する。
見てのとおり、2階建て車や400系・E3系・E6系といったミニ新幹線は全く想定していない。東海道新幹線系統については中間車だけなら写真のように入るが、先頭車両は長さが異なるので(700系などはE5系よりも長い)収納不可。そもそも東海道新幹線系統には10両編成はないし、純正ケースで収納が確保されている事が多いから、やはり想定していないといえる。まさに200系(K編成)、E2系、E5系に特化したケースだといえよう。
トミックスの通電カプラーはリング側が長いので苦しいが、写真のように曲げれば収納に支障はない。また、短いフック側はまったく問題ない。筆者はE2系のリニューアル品を持っていないので、N700系に登場願ったという訳。
公式サイトでも説明書きでも、通電カプラー車は推奨しないと言いつつ、収納できないとも断言していないが、落下時にカプラーにダメージが及ぶこと懸念しているようだ。筆者的にはケースを落とすこと自体ダメでしょ、と思うので通電カプラー車の収納は問題なし(気にしてもしゃあない)と判断。でも、あくまでも自己責任の上でね。
では、収納の実例を。
カトーE2系を収納してみた。例は復旧一番列車だが通常製品もペンギン仕様も同じようにいける。パンタ部分と4・5号車間のケーブルヘッド部分のスペーサーを外すだけで、上から1〜9号車、10号車は縦部分という順序で収納できる。トミックスE2系を収納する前提だったので、付属品入れにはガイシパーツが入っていたり、ケーブルヘッド部分のスペーサーも残しているけど。
E5系の場合ノーズ部のスペーサーを1つはずし、3・7号車右側のパンタ部スペーサーを2列2段分外せばE2系と同じように収まる。付属のリレーラーも左上に収納可能。
見てのとおり、カトーのE2系、E5系は素直に収まると考えてよい。どちらも製品状態でブックケースが用意されているから、今回のケースに入れ替える必要性は低いかもしれないが、小型ブックケースが気に入らない人にはいいと思う。復旧一番列車やペンギン仕様も、レンタルレイアウトとかに持ち運ぶときだけ移し替えるというのもアリかもしれない。
今回のウレタン・ケースが効果を発揮するのはレビューでも書いたように、製品状態ではブックケースに収めることすらできないトミックスE2系「はやて」だろう。正直、筆者もこのために買ったようなものだ。
で、カトーと同じく上から1号車〜と収納する前提でスペーサーを外し、早速車両を入れてみたのだが4・6号車は?
ケースの左側はパンタ部のスペーサーが1列分しかないので、4・6号車の大型パンタカバーが収まらない・・・
公式を見ると、トミックス(というか0番台の)E2系は上から10号車〜にして、海側山側を入れ替えて収納する想定のようだ。元の収納できない状態に比べたらはるかにマシなんだけど・・・
正直、美しくないな。
上から1号車のつもりでスペーサー外しちゃったし・・・
そこで、写真のようにウレタンの一部をカッターで切り取ってみたところ見事に収まってくれた(簡単な加工だがメーカー推奨ではないので自己責任で)。
なお、リニューアル前の固定式パンタはスペースが足りず収納不可で、可動式に交換しておく必要がある。それか、収納時だけ取り外して付属品入れに放り込んでおくか。
しかし、その自己責任さえ受け入れることができれば、トミックスも1〜10号車で収納できるのだった。やはりこうでなきゃ!これでめでたく、あの忌々しい中途半端な収納から解放された・・・が、個人的にはCASCOのものではなく、オリジナルのトミックスのケースに入れたいのだけど。
しかし、このウレタンはトミックスのケースに対して縦方向に少々大きく、そのままでは入らないのだった。カトーのにはギリギリ入れることができたが。マイクロは・・・不明。
で、さらに自己責任でウレタンの上部をカットしてしまった。だいたい付属品入れの上辺あたりが切断ラインで、カッターで少しづつ切断していく。抜いたウレタンを戻して切ったほうがやりやすいかも。一部切り方が汚くなってしまったが、一応トミックスのケースに収めることができた。
ただ、E2系ならいいけど200系だと上部のウレタンが苦しい(対策は後述)。このようにギリギリなので、ウレタンのみの販売がないのかもしれない。
それでもなんとか、オリジナルのケースに10両編成を収納できましたよと。
繰り返すけど、こんな無茶しなくてもCASCOケースならば10両を収納できるわけなので、ウレタンの加工はあくまでも工作・改造の一環として、自己責任で行うようにお願いしたい。失敗してもウチは責任持てません。
トミックス200系(K編成旧製品)を晩年期のK31編成にでも仕立てようと思って10両確保していたのだけど、こちらも収納に難儀していたので今回のウレタンを使ってみることにする。
E2系・E5系と違い、200系は屋根高さが高いので上部のスペーサーを外す必要がある。上段はメインのウレタンを抜いただけでこのままでは200系は入らないが、下段はスペーサーを1枚外してスペースを確保しているのがわかるだろうか。
E2系・E5系では外していたノーズ部のウレタンは200系ではそのまま。先頭車収納部には検電アンテナ用の切り欠きが備えられている。
スペーサーを外せばパンタグラフ部はカバー付きでも収納可能。車端のケーブルヘッドもスペーサー外しで対応するが、筆者は一部を切り取るだけにしておいた。切り取り幅が揃っていないのは御愛嬌で・・・
200系の場合、上から1号車〜で素直に収納できる。ただし、パンタグラフはやはり固定式ではダメなので、可動式に交換するか、筆者のように外して付属品に入れておくか(改造したら可動式にするけどね)。
CASCOのケースを使うのならこれで終わり。公式によれば、マイクロの200系でも問題なく収まるようだ。
だが、筆者はオリジナルのケースに収納したい!ということで今回も自己責任全開でウレタンを加工。E2系の時に切断に余裕がないことがわかっていたため、思い切って上部をすべて切断。
写真は下が上部。元のトミックスのケースが少し歪んでいる関係でスペースが厳しかったので、上部は黄色いラインでかなり切りとる必要があった。
こうしてオリジナルのケースにウレタンを入れてみたが・・・上部まったくウレタンないじゃん。ヤバくない!?
そこで、他の個所から外したスペーサーを、検電アンテナを避けるようにケースに両面テープで直接貼り付け。かなり狭そうに見えるけど、ケースが歪んでいるだけなので内部は普通にスペースはある。
改造予定のK31編成はパンタカバーが付くので車端部のスペーサーを少し切り取り、試しにトミックスのK47編成を入れてみたところなんとか収まった。検電アンテナ・パンタカバーはケースに接触していないが本当にギリギリで、ケースを落とした場合にちょっと怖い気がするが、E2系の時にも書いたけど筆者はそんなことキニシナイ。
ただ、普通に収納する時でも検電アンテナがケースに引っかからないように注意を要する。今回のを実践される場合、やはり自己責任でお願いする。CASCOのケースを使うのが一番安全で無難なんだから。
というわけで、強引にトミックスのオリジナルケースに10両収納完了。パンタはすべて付属品入れに入れておいた。かなり無茶しているとはいえ、こうやってビシッと10両収まるのはやはり気持ちがいい。
思わぬ副産物。
トミックスE2系「はやて」のケースから8両ウレタンが追い出されたため、カトーE2系「あさま」に流用したところ、ブックケース6両+単品ケース2両だったのが、こちらも1つのブックケースに収めることができた。
ただし、トミックスのウレタンはカトーのケースに対し幅が広かったので、右側を5mmほどカットしている。
トミックス0系「ウエストひかり」の12両編成。中古で購入したもので、オリジナルの6両ウレタンを前オーナーがCASCOの8両ウレタンに交換している。しかし、それでも12両が収まるはずもなく、2両の増結セットが2つあぶれてしまっている。
CASCOの8両ウレタンはE4系では最強ながら、平屋の車両ではいまいち収まりが悪くて好きなれない・・・実用上は全く問題なく、ただの見た目の問題なんだけど、グニャグニャ曲がって美しくないから(カタチから入る人並感)。
そこで、今回200系のケースから発生した6両ウレタンを流用し12両を収めることができた。
6両ウレタンが2つあるのはセットを2つ持っていたから。200系の2両増結セットだけだと若干プレミア気味で高いので、最初に6両セット+2両増結セットで入手した後、6両セットをもう1つ安く買い中間車1ユニットをねん出、10両編成を確保。残りは工作の実験用車両とした訳。
したがって、左はケースが「ウエストひかり」、ウレタンが200系、右がケース・ウレタンともに200系となる。右のケースのジャケットには思いっきり「東北新幹線 200系」とあるが、そのうちなんとかしましょう。
新幹線、それも200系、E2系、E5系に特化と、ニッチな製品ながら10両編成が標準化している東北新幹線系統の車両に対応するという、ユーザの需要に応えている製品だと思った。
一方で、このウレタン+ケースが最も効果的であり、一番需要がありそうなトミックスE2系に対しては、リニューアル後製品は通電カプラー、リニューアル前製品は固定式パンタと、収納にあたりなんらかの支障が出てしまうのは少々不満がある。そもそも無茶しているのだし、収納できるだけマシという考えもあるが、紹介したようにちょっとカッターで加工するだけで、上から10号車・・・なんてやらなくて済むのを見てしまうと、練りこみ不足感は否めなかった。
また、ウレタンだけでは売ってくれないの?という不満もある。誤解のないようにいっておくと、同社のケースはメーカーのプラケースと比べたら高級感があると思うし、それで統一したい人もいると思う。だが、個人的にはたとえチープなものであっても、オリジナルのケースを使いたいのだ。
何度も書くように、スペース的に無理があるのは理解しているけど、ウレタンだけの販売があれば、カトーもマイクロも1つにまとめてみようと思ったのだが・・・現在の販売形態だと、ケースが無駄になってしまうから(今回買ったケースは別の使い道を模索中・・)。
といっても、やはり無茶しているだけに、なかなか要望どおりにいかない事も確かだろう。結果的にトミックスのE2系を収めることができたのは事実だし、筆者以外にもE2系収納で悩んでいた人には朗報だろう。なにより、こうした「新幹線専用ウレタン」をリリースしてくれたのは新幹線模型ファンとしては嬉しいし、面白いと思った。
最後に、個人的な要望として100系用のウレタンがあると嬉しい。トミックスもカトーも、16両がブックケースに収まらないから・・・
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