0系&200系目玉研究
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0系&200系目玉研究
0系&200系目玉研究

●一見同じように見えるけど

0系と200系。それぞれ東海道新幹線と東北・上越新幹線のロンチ車両であることは言うまでもないが、一見似ている両者もけっこう異なる部分が多く、それらは200系が耐寒・耐雪装備を数多く備えていることに起因するものだが、ヘッドライト(テールライトにも使われるが、便宜上のこのように表記する)にも若干の差異があることをご存じだろうか?

当サイトのブログにて、ある記事で話の成り行き上、筆者は読者様に「200系のライトは0系よりも大きい」というコメントを書いたことがある。ネット上から得た知識ではあるが、実際に実車写真を見ても大きさに差異がみられたため、筆者としてはなんの疑いもなく書いたのだった。

0系200系目玉_0101

両者のヘッドライトを見比べると、確かに大きさに差があるように見える。


とはいえ、上記の写真は画像のサイズに対し極力車体の大きさを合わせるようにしているのだけど、光前頭(鼻先の丸いカバーのこと)のサイズや、その周辺によって「差があるように見えている」だけかも知れない。正直なところ、写真だけでは資料としては不足である。

具体的に大きさの数値が分かれば一番良いのだが、それを記載している情報は書籍を調べても、ネット上を相当探しても皆無だった。

モヤモヤとする筆者は思った。それじゃ自分で調べりゃいいんじゃね?と。

●突撃!鉄道博物館

早い話が、実車のヘッドライトのサイズを自分で直接計測しようということだが、残念ながら0系はもう走っていないし、それ以前に営業運転中の車両のヘッドライトを計測するのはご法度だ(ホームから身を乗り出すことになる)。

幸いなことに0系、200系ともに保存車両が数多く存在しており(200系は2011年現在も運用されているが、かなりの両数が廃車済みである)、その車体に触れることができる状態のものがほとんどだ。特に大宮にある「鉄道博物館」は0系と200系を両方展示している唯一の展示施設である。神奈川県在住の筆者にとっても場所的なハードルが低く、今回のようなミッション(?)にはまさにうってつけだ。

0系200系目玉_0102

所狭しと貴重な車両が展示されている鉄道博物館。館内の照明が暗くて撮影は苦しいが、やはり実車に勝る資料はない。0系、200系は奥の方にある。

筆者は2回目の来訪となるが、ここにメジャー持参で行ったわけで、どうみても変態です、本当にry・・・ちゃんと他の展示物も見たし、メシも食ったし土産も買って帰りましたけどね。


0系200系目玉_0103

200系は222-35が展示。元K31編成の新青森(違和感ある?)・新潟寄り先頭車で、自動分割併合装置(連結器)があるのが特徴。時間帯によっては、連結器の出し入れをデモンストレーションしている。

200系のK編成はリニューアルされて2011年現在も健在だが、K31編成はK編成の非リニューアル車では最後に残った編成だった。


0系200系目玉_0104

0系は写真の21-25のカットモデルと、別棟にある21-2を展示。ライトの計測だけなら200系の隣にある21-25の方が便利だ(後で21-2も見たけど)。

別棟で1両まるまる保存してある21-2に目が行きがちだが、こちらも開業当時から走っていた初回ロット車。廃車後は長らく秋葉原にあった交通博物館の入口で展示されていたが、交通博物館閉館に伴い鉄道博物館に移設された。


そもそも鉄道博物館にメジャー持参・計測目的で来る人間が他にいるかどうかは疑問だが、鉄道博物館へのメジャー持ち込みおよび計測は禁止事項ではないと思うが、以下の点は注意してほしい(常識の範囲内だと思うが)。

  • 他の来館客の写真撮影等の邪魔にならないように、速やかに計測行うこと。
  • メジャーはポケットに入る程度の大きさにすること。工事現場で使うような化け物サイズは持ってこないように。
  • あくまでも手の届く範囲で。立ち入り禁止個所や、危険を伴う個所の計測は絶対しないこと。

●それでは、計測開始!(「○から日本を〜」の計測部のテーマで)

0系200系目玉_0105

0系は・・・出ました!縦直径が470mm、横直径が540mmで、やや横方向への楕円形


0系200系目玉_0106

200系は・・・出ました!縦直径が560mm、横直径も560mmで、真円


くも○い:「0系はサイズが違うだけでなく、楕円形じゃったとは・・・」

上記数値はリム(ライト周りの銀縁)込みのサイズで、0系、200系ともにリムの太さは30mm弱だった。一応、目視による計測なので若干の誤差はあるかも知れないのでご了承願いたい。

●模型も調査

200系のライトは0系より大きく、形状も若干異なることがわかったが、実車のサイズを計測してその結果を発表するだけではもったいないので、一応新幹線模型レビューサイトを標榜している手前、模型についても調査してみた。0系や200系の模型レビューページを作ってからでもいいと思うがまだまだ先になりそうだし、ページを作ってからでもここに誘導することもできるので無駄ではあるまい。

改めてサイズをまとめてみると、以下のようになる。

直径 実車(リム込み) 1/160換算
0系 470mm 2.9mm
540mm 3.4mm
200系 560mm 3.5mm
リム幅 30mm 0.2mm

0系、200系ともに各社よりモデル化されているが、上記サイズを順守していることが正しいと主張するわけではないので、そこはご注意を。例えばリム幅のNゲージ加算サイズ0.2mmはそもそも表現が難しく、そこを模型として違和感なく見せるために、意図的に実車とは異なるサイズで表現する(デフォルメ)というのは、模型の方法論の一つとして有効な考えである。また、コスト上のパーツ共用化も無視できない要素だ。

軽い気持ちで書いた資料ではないのだが、軽い気持ちで見ていただければと思っている。また、目視による計測なので、誤差があるかもしれない点はご承知置きを。

●カトー

0系200系目玉_0106

0系は「特別企画品」と称してリニューアルされた製品で、ライト周りのリムを印刷で表現。鉄道博物館で限定販売されている200系も同じような感じ。

縦:3.5mm 横:3.6mm(リム込み)


0系200系目玉_0107

200系は発売当初からほとんど変化はなく、リムの表現はない。0系も当時はこんな感じだった。現在は前述の鉄道博物館限定品(先頭車のみ)を除き絶版品。

縦:3.1mm 横:3.2mm


カトーは0系と200系でライトを共用しており、ライトガラスの部分は同じ大きさである。サイズからして基準は0系で、実車ほどではないが一応横長楕円になっている。ということは200系は実車より小さく、真円でもないことになる。発売は200系の方が早かったが、当初から0系の発売も視野に入れていたことが伺える。

0系のリム太さは約0.4mmで、リム込みでは200系に近いサイズとなっている(そう考えると、鉄道博物館仕様製品はちょうどよい?)。やはり0.2mmの印刷は難しいようで、0系としてはやや大きくなってしまったようだ。しかし、リム印刷があった方がリッチに見えることも確かだ。

●トミックス

0系200系目玉_0109

同社の数ある0系のうち、2009年に通電カプラー化された製品をチョイス・・・といっても、発売当初からライトに変更はなく、リムの表現も伝統的に省略されている。

縦:3.5mm 横:3.5mm


0系200系目玉_0110

200系は連結器を備えるようになったモデルをサンプルとしたが、こちらも発売当初からライトに変更はなく、リムの表現もない。

縦:3.5mm 横:3.5mm


トミックスも0系と200系でライトを共用しているが、カトーとは逆で200系が基準になっている(リム込みで考えると非常に近い)。よって0系のライトは大きめであり楕円でもない。

トミックスはこれまでリムの表現をしたことはないが、ライトガラス側にリム表現をしてやると200系にはちょうどよさそう。逆に、車体側に表現したら相当大きくなってしまう。

●マイクロエース

0系200系目玉_0111

まずは0系18次「ひかり」から。同社初期の製品であり、他にもいろいろ言われている製品だが・・・

縦:4.0mm 横:4.0mm(リム込み)

縦:3.4mm 横:3.4mm(リムなし)

すごく・・・大きいです。


0系200系目玉_0112

あまり知られていないことだが2007年発売のお召仕様(Vマーク)ではかなりライトが小さくなった。ボンネット形状もわずかに変化し、塗り分けも0系として違和感なくなっている。

縦:3.4mm 横:3.4mm(リム込み)

縦:3.0mm 横:3.0mm(リムなし)


0系200系目玉_0115

比べてみると一目瞭然ですなぁ・・・


0系200系目玉_0113

200系はリニューアル仕様、後に発売されたK41編成がプロトのやつで。

縦:3.6mm 横:3.8mm(リム込み)

縦:2.8mm 横:2.8mm(リムなし)


0系200系目玉_0114

こちらもリニューアル仕様だが、大宮開業25周年記念のK47編成。

縦:3.4mm 横:3.4mm(リム込み)

縦:2.8mm 横:2.8mm(リムなし)


マイクロエースは0系、200系でライトの共用はしていないし、0系でも発売時期によってサイズが修正されたりしている。同社の場合、当初からリムの印刷表現が行われている。

初期製品である「18次ひかり」は同時期に発売の「1・2次ひかり(木箱入り)」などにも言えることだが、ちょっと大きすぎたようだ。一方、お召仕様はライトガラスが小さくなったうえにリムも細くなっており、真円になってしまっているとはいえ、かなり改善されたといっていいだろう。結果的にカトー0系に近い大きさになったが、こちらは真円のせいかやや小さく見える。

一方、同社の200系は発売当初から比較的評判はよく、その後はいろいろなバリエーションを発売しているがライト周りの変更はない模様。ただし、リムの印刷精度や品質によりサイズはけっこう差異があるようだ。写真のK41編成のリムに使われている銀色は少しラメが入っていて印刷も太めだが、K47編成の方はその点かなり改善され、適正な大きさになっている。

筆者の独断では、0系ではカトーおよびマイクロエースのVマーク仕様がいい感じに思えた。200系はトミックスが大きさ的にジャストであり、あれでリム表現があれば完璧だと思う。

ところで、カトーとトミックスは0系と200系でパーツを共用していて、現在の目で見ると作り分けろとか思ってしまうが、両社製品の発売時期(1983年頃)を考えると0系、200系ともに現在のようなカリスマ性はまったくなく、むしろ鉄道趣味からは外されているような存在だったし、気にするような人も皆無に等しかったので共用はやむを得なかったといえる。

ただ、時代背景が異なる現在まで当時の製品のまま変わっていないというのは、さすがに引っ張りすぎな気がする。そろそろ根本的に改良してもいいのではないかと思う。

●ついでに構造も調査

0系200系目玉_0116

0系、200系のライトには、写真のように内側に筒状の反射板(?)がある。前出の各社製品写真を見てみると、この反射板を表現しているものとそうでないものがあることがわかると思う。


0系200系目玉_0124

その差はライトのパーツ構成によるもので、ボディ(灰色)とライトのプリズム(青)の関係をヘタクソだが簡単な図にしてみた。

左が反射鏡を表現している構成で、カトーはこちら。一方、右はトミックスが採用しており反射鏡の表現はできない。


0系200系目玉_0117

カトーの200系を分解すると、ボディ側に反射鏡(銀色で塗りたい!)が表現されていることがわかる。後方からライトのプリズムパーツを差し込むわけだ。

カトーの200系は30年近く前の製品なのだが、当時でこの設計は結構すごいと思う。


0系200系目玉_0118

カトーがライトに使用しているプリズムはこんな感じ。写真下方の細くとがった棒がライトガラス部分であり、ボディ後方から差し込む構成となる。

それにしてもこのパーツ、妙な既視感が・・・「ギャ○ガ」とかに出ていませんでした?


0系200系目玉_0119

後方は光源を受ける窪みが上下に2つあり、テールライト用はクリアーレッドで塗ってあるという極めてプリミティブなもの。

0系、200系はヘッドライトとテールライトが分かれていないから、光の合流設計に苦労がうかがえる。


0系200系目玉_0120

カトーはヘッドライト用・テールライト用の電球を上下に2つ装備。上が0系、下が200系なのだが、上下が入れ替わっている。ちなみに、200系は下がテールライト用である。

200系は発売当初から設計が変わっていないが、0系は特別企画品と呼ばれるリニューアル製品なので、初期のものとは設計が変更された可能性がある。


0系200系目玉_0121

一方、こちらはトミックスのライト用プリズムで、前出の図でいう右の構成のように、ボディに対し斜めに差し込む形状である。

光源側(写真下方)はカトーと異なり、極めてシンプルな形状である。


0系200系目玉_0122

円形のライトガラス表現が分かると思う。

プリズム内に気泡が入っているのだが、これはライトが平面的に光らないようにするための工夫っぽい。実車のような4灯点灯には遠く及ばないものの、それっぽく光って見えることは確かにある。


0系200系目玉_0123

トミックスは光源が左右に並ぶスタイル。プリズムの光源側の形状を考えると、けっこう大雑把かも。実際問題、正面から見るとヘッドライトとテールライトで左右の光り方に差が出ていることがある。

200系は格納式連結器を装備しているが、連結器のパーツがライト用基板の下を通っており、連結器格納時は点灯がOFFになるように工夫してある。


マイクロエースについては、0系はトミックス方式、200系はカトー方式と分かれているのが面白い。したがって、200系は反射鏡を表現できているが、0系はライトの大きさが改善されたお召仕様も反射鏡の表現はないままだ。

単純な見た目で言えば、反射鏡が表現してあるカトー方式の方が優れているように思えるが、ライトレンズのエッジがくっきりしていない傾向があり、パーツ精度というか、ボディとのはまり具合はトミックス方式の方が優れているように感じた。この辺は他のモデルレビューでも書いているように、離れて見たときにリッチに見えればよいというカトーと、間近で見たときの精度感を重視したトミックスの差なのかもしれない。

いずれにせよ、設計が古く一長一短な感じではある。

【コラム】Nゲージサイズで4灯化は可能か?

0系、200系の実車のヘッドライトを見ると、円形の中に縦型2灯のライトがあることがわかる。つまり、正面から見ると合計4灯のライトが点灯していることになるのだが、Nゲージにおいては4灯を再現したモデルはこれまでにはなく、各社のモデルすべて、ライト全体が点灯してしまっている状況である。

0系200系目玉_0125

トミックス200系のライトを点灯させたところ。この写真ではプリズム内の集光の関係(前述の気泡)で2灯だか3灯だかに見えるが、内部的には2灯点灯する造りにはなってないし、走行中などはやはり全体が光っているようにしか見えない。

これはトミックスだけでなく他社も同様である。


0系、200系ともにモデル化の時期が古く、当時の技術では4灯の再現が難しかったか、再現されていなくても気にしなかったユーザが多かったことが理由だろう。その後、現在まで根本的なリニューアルが行われた製品もなく、未だに4灯点灯は実現していない。

そもそも、Nゲージサイズで0系、200形で4灯の再現は可能なのだろうか?そこで、筆者はトミックス200系をベースに試作してみた。プラ棒と光ファイバーを用いて「とりあえず点灯させてみた」のが以下である。

0系200系目玉_0127

結構いい感じだと思うが、どうだろうか?

光源は白色LEDに換装し、黄色のフィルタをかませてある。もう少しオレンジっぽい色にしてやるとリアリティが増すかも。

光量はまずまずで、工夫次第でもっと増やすことができそうだった。


0系200系目玉_0128

テールライトも点灯するのだが・・・こちらは明らかに光量が足りてないな。

0系や200形のようにヘッドライトとテールライトで点灯を共用するモデルは難しく、ノーマル状態でもメーカーの苦労がうかがえる。筆者もLEDの配置を相当悩んだが、今回はこれが限界。

こちらも改良の余地が相当あるということで・・・


0系200系目玉_0129

「とりあえず点灯」という拙い改造レベルでも、ノーマル(左)と比べるとそれっぽくなった印象がある。


0系200系目玉_0130

トミックスの200系はライト内部の反射鏡が表現されていないが、それも再現してみた。正直サイズ合わせが甘いし、研磨も本気でやってないので見た目は粗いが、一応中空構造を実現できた。

ライトガラスはプリズムからスライスし、研磨して接着する方法を採用。


はっきりいって集光効率は悪いし、全体的にまだまだ練り直す余地はある。光ファイバーではなくプリズムを自作する案もあるのだが、今回はここまで。

とはいえ、ハッキリ分かったことは素人が「とりあえずやってみた」程度の工作でも、Nゲージサイズの0系、200系のライトを4灯化することは不可能ではないということだ。現在のメーカーの技術なら、全く問題ないだろう(まあ、E4系のライトをきちんと点灯させるくらいだし)。今後大幅なリニューアルがあったら、ぜひ実現してほしいんですけどね・・・


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